ウバタマムシを感じよう

2019.05.22
この日は午後の空き時間を利用して近場で採集。
クズノチビタマムシとソーンダーチビタマムシの混生地でビーディングでもやろうかと。

ヒゲブトハナムグリ
Amphicoma pectinata (Lewis, 1895)
目的の林縁に向かう途中、道端のしょうもない草地でヒゲブトハナムグリを見つけました。
去年は田んぼ脇の草地で数頭を確認したのみで、そんなにどこにでもいる虫ではないのかなと思っていましたが……今年はこの後もいろいろな場所で乱舞する♂を見ることになりました。
畑の脇とか、草刈りされた後の場所とか、そんな所を素早く飛び回っています。

ヒメシロコブゾウムシ
Dermatoxenus caesicollis (Gyllenhal, 1833)
さらに近くにあったウドの葉裏には初めて見るヒメシロコブゾウムシが。
若い葉っぱが好きなのか、どの個体も小さなウドにばかりついていました。

目的地の林縁、ってもっとまともな写真ないのか……
アカマツ林とクヌギやクリの多い林で、林縁にはケヤキやエゾエノキ、オニグルミなども見られます。
ビーティングしているとマダニがちょくちょく落ちてきました。藪にはあまり入らないように気をつけなければ……

ヒシカミキリ
Microlera ptinoides Bates, 1873
普段やってるような葉っぱのスウィーピングで見かけることは基本的に多くはありませんが、枯れた植物のツルをたたいていると結構な頻度で落ちてくるのがこの虫、ヒシカミキリです。
めちゃめちゃ小さいけど結構いいカラーリングと模様を持っています。

カドツブゴミムシ
Pentagonica angulosa Bates, 1883
なんの植物から採ったのか完全に忘れてしまいましたが(汗)、初めて見るカドツブゴミムシも採れました。
本種は森林環境の指標になる虫、だったような気がする……(うろ覚え)
その後もダラダラとビーティングを続けていきました。
ソーンダーズチビタマムシが採れるたびにくさび型になっていないかどうかを確認していく……もちろんそんなものは見つかりませんでした。
夕方になり、そろそろ帰ろうかと来た道を引き返していたところ……林縁を飛ぶ下翅が黄色い蛾を見つけました。
キシタアツバ……そんなやつがいたな、と思いつつネットを広げて(網部分のみ)追いかけてネットイン。

タイワンキシタアツバ
Hypena trigonalis (Guenée, 1854)
思った通りでキシタアツバ……だったのですがキシタアツバにも何種類かあるようで(汗)
ただのキシタアツバは場所によっては珍しいようですが、こちらは普通に見られる種類のようです。
幼虫はイラクサ科のヤブマオやカラムシなどを食べるようです。
後翅の鮮やかな黄色も美しいですが、上翅の模様も格好良いですね。
この後も2頭ほど見つけて、それを追いかけるために藪の中に入っていったのですが……
「うっ!!!!」
脇腹のあたりに針を刺されたような地味な痛みを感じる。
もしかして……

「やられた……」
マダニに刺されるのはこれが人生2度目。
前回はとにかく焦って取り外しに大変苦労させられました……取り外しには成功したものの半年以上もかゆみが残ってしまい、もう、すっごい面倒くさかった(汗)
今回はあの時のようにはいかせない……
幸いなことに刺された直後に気づくことができたので、ダメ元で酢酸エチルや虫よけスプレーをかけて、脇腹にマダニをつけたまま帰宅。
ここからマダニを取り外すわけですが……ここでピンセットとかで無理やり引き剥がそうものなら、マダニの口器が人体に残ってしまう恐れがあります。
こうなってしまうと、もはや病院に行くしかなくなり余計に面倒なことに(汗)
マダニの口器の構造上、まっすぐ引っ張るのではなく回転させながら外すのが良いようで、最近では簡単にマダニを取り外すための道具として、ティックツイスターと呼ばれるものがあります。
で、私はまだティックツイスターを持っていないので、何かで代用しようと考え……
適当に手元にあったアルミテープで引っ掛けて回転させる作戦で挑みました。
マダニをアルミテープで挟み、右へ左へと回転させていきます。
数分後……

多少の痛みは伴いましたが、無事にマダニが外れてくれました。
口器も残らず取れました。やっぱりアルミテープは万能だ……

シュルツェマダニ
Ixodes (Ixodes) persulcatus Clifford et Anastos, 1960
今回刺されたのはシュルツェマダニという種類でした。
マダニにもいくつかの種類があって、それぞれ媒介する病気が異なるようです。
本種はライム病という病気を媒介しますが、媒介には時間がかかるらしく、刺された初期の段階で取り外すことができれば心配はないようです。
念には念を入れて、最近買ったポイズンリムーバーも使って刺された場所の血を吸い出しておきました。
おかげさまでなのか、その後もかゆみに悩まされることは全くなく、刺された痕もほとんど目立たないほどになりました。
今回は私の完全勝利ですね。
ざまあみやがれ!シュルツェマダニ!!

やっぱりティックツイスターも用意しておこう……


2019.05.25
いい時期のいい天気なので、この日は去年見つけた伐採地に行ってみることに。
途中の林縁でも少し採集しました。

昼間にもかかわらず、林縁を歩くオサムシがいました。
これは何だ……?

♀だし分からない……
ここはイナオサムシが出現すると言われる場所ではないですが、この辺りの地域に分布するのがシナノアオオサムシなのかテンリュウオサムシなのか、両方いるのか正直分かりません。♂が採れるまで保留で(汗)
林縁に生えてる樹木の枯れ枝をすくった時、思いがけずいいカミキリが採れました。

クビジロカミキリ
Xylariopsis mimica Bates, 1884
鳥の糞に見事に擬態しているクビジロカミキリ。ツルウメモドキとかツル植物を中心につくようです。
こげ茶色の部分が見事ですよね、完全に糞の質感を再現している……

すくったのはこちら、マユミのようです。
樹幹にはマユミにつくサメハダヒメゾウムシも何頭か見られました。
クビジロカミキリが採れたということは、もしかしたら近くにツルウメモドキもあったのかもしれません。ツルウメモドキは結構いろんな虫がつく植物なので覚えたいのですが、なぜかなかなか覚えられません……

左: タテスジアカヒメゾウムシ
Moreobaris rubricata (Hustache, 1921)
右: ジュウジクロカミキリ
Clytosemia pulchra Bates, 1884
同じくマユミのスウィーピングで、初めて見るタテスジアカヒメゾウムシが採れました。小さいながらも格好いいゾウムシでお気に入りです。
オニグルミの枯れ枝からはジュウジクロカミキリが。7月くらいでも採れますがこの時期は特に多いようで、どこで枯れ枝をすくっても入ってくるような印象を受けました。
寄り道はこのくらいで、本題の伐採地へ向かいます。
20190811193505b52.jpeg
採集から記事を書くまでに2カ月以上の間が空いてしまっていますが、この写真1枚見るだけで当時の自分が感じたものがはっきりと蘇ります。
気持ちの良い晴天の下で、多数のハルゼミの鳴き声が響く伐採地。
中信の伐採地採集を思い起こさせるこのシチュエーション、なんだかわくわくしてしまうのです。
ミズキの花が少し咲いていて、すくってみるとヒメヒラタタマムシが採れました。

ヒメヒラタタマムシ
Anthaxia proteus E. Saunders, 1873
♂は全身緑色で美しいですが、♀も個体によっては紫色で綺麗だったりします。


キバネツノトンボ
Ascalaphus ramburi MacLachlan, 1875
伐採地の各所で飛ぶキバネツノトンボが見られました。
長野に来てからは毎年どこかで出会えていますが、今年は採集しませんでした。
しばらく伐採地を歩いていると、唐突に目の前に大きなタマムシが飛び出してきました。
この場所で採れるあの大きさのタマムシといえば……(このくだり去年もやった?)

残念ながら最初の一頭には逃げられてしまいましたが……まだいるはず。
その場に立ち止まって、近くのウバタマムシが飛び立つのを待ちます。
遠くの方でウバタマムシが飛んでいるのを確認しましたが、追いつけず。
いったん落ち着いて……目を閉じて伐採地に響くに耳を傾けてみました。
ハルゼミの鳴き声が響く中に混じる羽音はいくつかある。
今のはキバネツノトンボ。
今のはハチかアブ。今のはカメムシ……
今のは…………ウバタマムシだ!!!

ウバタマムシ
Chalcophora japonica japonica (Gory, 1840)
無事に再会できました。私的に縁のない昆虫の代表格であるウバタマムシです(笑)
当時の流れを正確に再現できてるか分からないのですが、確かにこんなやり方で1頭を採集したのは覚えています。


その後も主に羽音を頼りにウバタマムシに素早く反応することができ、何頭か追加個体を得ました。
切り株に飛来している個体も見られました。既に脱出口だらけでボロボロになっているようなものではなく、まだまだ新しいものに来ています(そりゃそうか)。
ところで今の時期に見られるウバタマムシは越冬明けなのだろうか、それとも最近羽化した個体なのだろうか。

この時点でのウバタマムシの鮮度はバラバラで、明らかに野外越冬明けてるだろうという感じのスレスレ個体や、写真の個体のように微かに緑色の光沢が見られる新鮮な個体もいました。
ウバタマムシの緑色個体は羽化直後の新鮮な個体に見られるもので、材から脱出して活動を行うにつれて緑色が抜けていくものだと私は個人的に思っています。
材から出るアオマダラタマムシが活動個体と比べて赤いのと同じようなことがウバタマムシでもあるのだろう、と。
ウバタマムシの生活環の謎は深まるばかりですが……とりあえず8月と比べてこの時期は明らかに多い、という事だけは確かだと思います。
緑色個体に出会うには羽化直後を狙うか、めちゃくちゃ硬い切り株を割るしかないようだ……

これは少し前の探索で発見していたコナラ。幹が途中から折れていていかにもタマムシが好みそうな木です。
そんな予想は当たり……

左: ムツボシタマムシ
Chrysobothris succedanea E. Saunders, 1873
右: クロナガタマムシ
Agrilus cyaneoniger E. Saunders, 1873
ホソアシナガタマムシの他にクロナガタマムシやムツボシタマムシも採れました。
初採集種とかはないけど、伐採地の採集はタマムシの方からガンガン来てくれる所が楽しくて好きです。
キスジトラカミキリも採れました。結構好きなトラカミキリで見つける度に採集しているのですが、今年はエゾエノキとかハルニレのスウィーピング、花すくいで本種と出会うことが多くてとうとうスルーし始めました(汗)
しかしそれはまた後の話……
コナラから少し離れた位置にはカラマツが倒れていて、一部に木漏れ日が当たっていました。
こんな木なら……と思い見に行ってみるとそこにはやはり、あのタマムシの姿。
しかし倒れたカラマツは他の木に引っかかって宙に浮いた状態にあり、姿は確認できても採集は難しくて失敗してしまいました。
倒木の上を這う虫を下から網ですくうのは、どうやればうまくいくのだろう。
側面に来たタイミングで上から下に引きずって落とす感じかなあ……
ありがたいことに失敗しても待っていれば再び飛来してくれるので、何度も挑戦させてもらえました。そして何度も失敗した(汗)
倒木の根元の方に登って待つ。
何回目か分からなくなるくらい失敗した後、しばらく戻って来なくなった。
もうさすがに無理かなあ……
と思ったのですが。

って足元にいるし!!
下に網を構えて素手で取り押さえにかかります……

ヤマムツボシタマムシ
Chrysobothris igai Y. Kurosawa, 1948
どうにか採れました。南信では今回が初採集でした。
カラマツやアカマツに来るヤマムツボシタマムシは普通のムツボシタマムシより大きく、斑紋が小さめです。
普通のムツボシタマムシにはなんやかんや出会えるようになりましたが、こちらはまだまだ縁に恵まれず……これまでに出会えたのは本個体を含め3頭のみです(汗)
カラマツの枯れ枝とか積極的にスウィーピングしていったらもっと採れるのかな……

ゴマダラコクヌスト
Kolibacia squamulata (Gebler, 1830)
伐採地を後にして、オニグルミの枯れ枝をすくっていたら初めて見るゴマダラコクヌストが採れました。
この日の採集はこんなところで終わりました。
伐採地行くと暑すぎてスウィーピングとか全然やる気にならなくてダメですね(汗)
コナラとかクリで狙う虫もいないしなあ……
この伐採地にはミズナラが無いのでやっぱりクロホシタマムシはいてくれません。
それでもウバタマムシを全身で感じられていい1日でした(笑)
【結果】 ※色付きは自己初採集
2019.05.22
アオグロナガタマムシ
Agrilus viridiobscurus E. Saunders, 1873
1ex.
シラケナガタマムシ
Agrilus pilosovittatus E. Saunders, 1873
3exs.
ソーンダーズチビタマムシ
Trachys saundersi Lewis, 1893
1ex.
アカガネチビタマムシ
Trachys tsushimae Obenberger, 1922
1ex.
カドツブゴミムシ
Pentagonica angulosa Bates, 1883
1ex.

ヒシカミキリ
Microlera ptinoides Bates, 1873
1ex.
ヒゲブトハナムグリ
Amphicoma pectinata (Lewis, 1895)
4exs.
ヒメカメノコテントウ
Propylea japonica (Thunberg, 1781)
1ex.
ヒメシロコブゾウムシ
Dermatoxenus caesicollis (Gyllenhal, 1833)
3exs.
アラハダクチカクシゾウムシ
Rhadinopus sulcatostriatus (Roelofs, 1875)
1ex.

ムラサキヒメカネコメツキ
Limonius eximia Lewis, 1894
1ex.
タイワンキシタアツバ
Hypena trigonalis (Guenée, 1854)
2exs.


2019.05.25
ウバタマムシ
Chalcophora japonica japonica (Gory, 1840)
5exs.
ヒメヒラタタマムシ
Anthaxia proteus E. Saunders, 1873
1ex.
クロナガタマムシ
Agrilus cyaneoniger E. Saunders, 1873
1ex.
ムツボシタマムシ
Chrysobothris succedanea E. Saunders, 1873
1ex.
ヤマムツボシタマムシ
Chrysobothris igai Y. Kurosawa, 1948
1ex.
ホソアシナガタマムシ
Agrilus ribbei Kiesenwetter, 1879
1ex.
ヒメアサギナガタマムシ
Agrilus hattorii Nakane, 1983
1ex.
アサギナガタマムシ
Agrilus moerens E. Saunders, 1873
1ex.
シナノアオオサムシ
Carabus (Ohomopterus) insulicola shinano Ishikawa et Ujiie, 2000
1ex.
キスジトラカミキリ
Cyrtoclytus caproides caproides (Bates, 1873)
1ex.
ジュウジクロカミキリ
Clytosemia pulchra Bates, 1884
3exs.
クビジロカミキリ
Xylariopsis mimica Bates, 1884
1ex.

アトジロサビカミキリ
Pterolophia zonata (Bates, 1873)
1ex.
オオマルクビヒラタカミキリ
Asemum striatum (Linnaeus, 1758)
1ex.
タテスジアカヒメゾウムシ
Moreobaris rubricata (Hustache, 1921)
1ex.
サメハダヒメゾウムシ
Nespilobaris nipponica (Kôno, 1928)
3exs.

ヤツボシハムシ
Gonioctena nigroplagiata Baly, 1862
3exs.
ゴマダラコクヌスト
Kolibacia squamulata (Gebler, 1830)
1ex.

センモンヤガ
Agrotis exclamationis informis Leech, [1889]
1ex.

コメント

タイトルとURLをコピーしました