オニグルミ依存症

2018.08.02
期末考査終了。つまり夏休みの開始です。
後期はちゃんと後の事を考えた分かりやすいノートを取るようにしよう、そう決意したのでした(笑)
何らかの単位を落としていたとしても文句は言えない、そんな手応えです…
終わったことを気にしても仕方がない。
この日の午前で試験が全て終了し、午後に時間ができたので近場採集に出ることに。
もう時期的には充分、クルミナガタマムシが狙えるようになっているはずだ…
今年の夏休みも前年同様に最初の何日かは長野の方に留まって採集を行う余裕を残しています。
埼玉への帰省までに近場のオニグルミを何ヶ所か掬いに行くつもり。
近くを通りかかったので、久しぶりにクロコモンが見られるヤマナラシのポイントにも寄ってみました。

ヤマナラシの枝が折れているのは、台風の影響かそれとも…
クロコモンタマムシの発生期は8月まで。
時期的には終盤だろうし、同じポイントで既に10頭ほど採集しているので、今年の個体に関してはそれなりに減ったかなと思っていたのですが…


クロコモンタマムシ
Poecilonota variolosa chinensis Théry, 1926
「なんか前より増えてねえか…?」
ヤマナラシの幹を活発に歩き回るクロコモンタマムシは、まだまだたくさん見つかる状態でした(汗)
心なしか、前に採集した時より黒っぽい個体が多いような気もしました。
完品に思えた個体を2ペア採集したのですが、帰ってから確かめるとどの個体も爪や触角が僅かに欠けていて、シーズンの終盤を感じられました。
生態写真を撮ろうと思ったのですが中々いい高さに降りてきてくれず…満足するまでクロコモンを眺めたらポイントを後にしました。
いつもの流れでケヤキの伐採木置き場も見ていく。
相変わらずルリボシカミキリが多いです。
ここが埼玉の河川敷なら間違いなく(ヤマト)タマムシが来る環境なのですが、全く見当たりません。
長野県のタマムシはどういう所に行けば見られるんだろうか…
歩き回るルリボシカミキリの中に、明らかに不自然な個体が1頭混じっていました。

ルリボシカミキリ
Rosalia (Rosalia) batesi Harold, 1877
稀に出現するという…斑紋異常個体でした。
軽く視界に入っただけでも「おかしい」と分かるくらいの違和感がありました。
近くにいたかなり大型の通常個体も一頭採集。
ケヤキナガタマムシも1頭だけ飛来してたけど、別にいいかとスルーしてしまった…
貴重な8月ラベルって事で採っておいても良かったかも。
近くのエゾエノキのひこばえにはヒシモンナガタマムシが多数集まっていました。
これは春からの居残り勢というより新成虫勢なのかな?
(これも採らなかったけど、ちょっと後悔している…)
この後、移動して本格的にオニグルミを掬い始めたのですが…何も採れなかった。
採集品ゼロ…オニグルミノキモンすら数頭しか入らなかった。
というわけで近場オニグルミ開拓①は失敗に終わったのでした。


ヌスビトハギチビタマムシ
Trachys tokyoensis Obenberger, 1940
しかしこれで終わらず、帰り道で偶然ヌスビトハギを発見、ヌスビトハギチビタマムシも多数確認できました。
ちゃんとヌスビトハギって分かる植物でヌスビトハギチビタマムシが採れたのは初めてかも(笑)
新成虫のようで非常に綺麗な個体ばかりでした。
近くにいたクズノチビタマムシもついでに1頭採集。
今年の秋はチビタマムシ採集に力を入れたいです。
冬場に回すととんでもなくキツイ事が去年分かったので…(笑)
寄主が分からない種を狙うためのビーティングとかちゃんと出来るようになりたいですね。
これだけだと内容が薄いので…次の採集の話も繋げます。


2018.08.04
久しぶりに電車で遠くへ行く採集をやる事に。
狙いの虫は、色々考えた結果今年本気で狙うのは無理と判断されたので、今回はダメ元でポイント開拓を試みた(汗)
朝、始発に間に合うようにセットしたアラームで目を覚ましたものの、やる気が全く出なかった…
というのも、
・駅からポイントまで10km(徒歩以外の選択肢なし)
・ポイント付近に通行止めの箇所がある

という嫌すぎる事前情報があり…無駄回になる予感しかしなかったのです(笑)
とはいえポイント付近に近場では見られないような樹種がある事は確かなので…本命は外してもいつもと違う虫が採れるはず。
それに電車で遠くに行く採集今年全然やってないからそろそろどこかに行きたかった。
そんな訳で爆死上等、プチ遠征採集に出たのでした…(笑)
始発電車に乗り、目的の駅に着いたら遠くに見える山奥を目指してひたすら歩く。
最短ルートで行ってもいいけど、それではつまらないので道中スウィーピング出来そうな場所にも寄りつつ進みます。

川沿いの林を歩いていたらネムノキがありました。
さすがに無理か…と思いつつ掬ってみると、ネムノキナガタマムシは何頭か入ってました。

ネムノキナガタマムシ
Agrilus subrobustus E. Saunders, 1873
完全に忘れてましたが…ネムノキナガタマムシも出現時期に8月が含まれており、この時期でも採れる数少ないナガタマムシの一つでした。
有り難い…
ネムノキの隣にはオニグルミ。
今回この採集をやろうと決めた理由の中で最も大きなものはこれでした…(笑)
あの辺でオニグルミ掬ったらクルミナガ採れるんじゃないか___
今日も今日とて、オニグルミは片っ端から掬っていきます。
掬っているとゼフィルスが飛ぶのが見えたので、オナガだろうと思いつつ網の中に流し込む。
網を下ろして確認すると、その裏翅はオナガではないミドリシジミ系の何かでした…
分かるよ…
これ絶対……緑じゃないやつだ……


クロミドリシジミ
Favonius yuasai Shirôzu, 1947
「……な?」
クロミドリがちょっといいシジミとか言われてももはや喜べない…悲しいな(笑)
緑色採れない呪いはいつ解けるのでしょうか…
ここでは他に、アオヘリアトキリゴミムシも採れました。

また別の場所のオニグルミでは…


カラカネチビナカボソタマムシ
Nalanda ohbayashii Y. Kurosawa, 1957
もうすっかり見慣れてきた、カラカネチビナカボソ。
しっかり採れてくれると安心します…
網に入ったのは2頭(別々の木から)でしたが採集は1頭のみ。今シーズンカラカネチビナカボソめっちゃ採ってる気がするから自粛…(笑)

コフキコガネ
Melolontha (Melolontha) japonica Burmeister, 1855
同じ木からは、何気に久しぶりに見るコフキコガネも。
毛も擦れたりしていない綺麗な個体だったので採集しました。
201808102130251e1.jpeg
ひたすら歩いて山の方へ入っていきます…
クヌギやコナラ、ヤマハンノキなどを掬いつつ歩くこと2時間。

イマイチ何も採れなくて、既に心が折れかけていた時に目をつけたのがこんな場所。
樹木に絡んだクズを見てタゾエナガタマムシとか採れないかなーと思って(n回目)、掬ってみると、
当然タゾエナガは入っていないのですが…網の中には見たことのない大きさ、形のタマムシが入っていました…
「これって…もしかして!!」


クリタマムシ
Toxoscelus auriceps auriceps (E. Saunders, 1874)
「クリタマアアアアア!!!!!」
コナラやクリなど平地でも普通に見られるブナ科広葉樹を寄主としており、散々掬ってきたにも関わらずこれまで全く縁が無かった…クリタマムシが遂に入ってくれました。
先ほど掬ったクズが絡みついていた樹木がコナラだったようで…そこから入ったものと思われます。
まさかこんな所で採れるとは…今年ももうダメかと諦めかけてたくらいでした。
とりあえずこれで今日ここに来た甲斐はあったと思える…

クスベニカミキリ
Pyrestes nipponicus Hayashi, 1987
その後は道の上を飛んでいたクスベニカミキリをキャッチ。
最初はサシガメが飛んでるのかと思って眺めてましたが、速度がゆっくりで…そこで前回クスベニを採ったときの事を思い出してギリギリ間に合いました(汗)
この飛び方はしっかり覚えておこう…

左: ミヤマジュウジアトキリゴミムシ
Lebia (Poecilothais) sylvarum Bates, 1883
右: フタツメゴミムシ
Lebidia bioculata bioculata Morawitz, 1863
オニグルミやコナラの他にもミズナラ、ブナ、ヤマハンノキ、ヤシャブシ、シナノキ、サワフタギ、ズミなどを掬いながら登っていきますが、時々格好いいアトキリゴミムシが入るだけでタマムシが入ることは無い…
微妙に残ってたリョウブの花からはヒメヒラタタマムシが採れました。
しかしアトキリゴミムシの仲間ってあんまり特定の植物につく感じじゃないし、丸一日スウィーピングして同じ種が1頭しか採れないとか…ゴミムシ屋さんはキツイよなぁ、と思ったが
タマムシは寄主が分かってても、丸一日オニグルミ掬っても一頭も採れないのが自分の中で当たり前になっている事に気付いた…
でもタマムシはアトキリと違ってポイントを当てれば複数個体得ることも難しくなかったりもする。
クルミナガ10頭とフタツメゴミムシ10頭なら絶対クルミナガの方が簡単なはずだ…
どっちも採るからこそ、辛さも分け合えるんだ…(?)

ハコネマルツノゼミ
Gargara doenitzi Matsumura, 1912
ノブドウが絡んだ何かを掬った時、初めて見るハコネマルツノゼミが入りました。
標高高めな場所で見られるやや少ない種のようです。
13時頃。
休憩もはさみつつ7時間程歩いた。
この辺りからはそろそろ探してるあの樹木が出てくるはずだ…
しかし出て来たのは…
「通行止め」

別の道、というか川沿いを歩いていけば行ける気もしたけど、強烈な日差しの下でこんな岩がゴロゴロした場所を進みたくは無かった…
帰りの時間もあるし、ここで引き返す事にしました。
本命の虫には最初から期待はしてないし、まあこうなるだろうとは思ってたよ…
帰りはスウィーピングも大してやらずにひたすら道を下っていきましたが、ちょっとした幸運がありました。


アカエゾゼミ
Auritibicen flammatus (Distant, 1892)
やけに低い位置からエゾゼミの鳴き声が聞こえて来て、それを辿っていくとそこには真っ赤な塊がありました(汗)
抜け殻かと思ったのですが、しばらく眺めているとそれがセミである事に気付き、なんとか無事に確保。
それは初めて見るアカエゾゼミで…しかも、腹部の背面まで赤くなるこの個体はアドニス型と呼ばれるちょっとレアなタイプのようです。
初のアカエゾゼミがアドニスとは運がいい…が、この後何も採れなかったのは言うまでもありません(笑)
結局、スタート地点の駅までなんとか辿り着いて電車に乗り、下宿先の最寄駅に戻ってきました。
最寄駅に着いたらこのまま帰るつもりだったのですが、以前クルミナガを採ったポイントは駅からの方が近いという事を思い出す。
20km歩いた後の足は悲鳴を上げていたけど、電車の待ち時間や移動時間で大分回復した…自転車くらいならこげるはずだ(笑)
この際行ってしまおう…!
急いでクルミナガのポイントへ向かいました。

前回最後に掬ったのはこの木だった。
つまり、この木や周辺のオニグルミで間違いなくクルミナガタマムシが発生している。
日没まで残り1時間弱。
日が暮れた後も手元が暗くなるまで、滅茶苦茶オニグルミ掬った…

左: ゴマダラチョウ
Hestina persimilis japonica (C. Felder et R. Felder, 1862)
右: アカスジキンカメムシ
Poecilocoris lewisi Distant, 1883
その過程で飛来したゴマダラチョウと、網に入ったツートンカラーのアカスジキンカメムシの他、アオヘリアトキリゴミムシも採集できました。
で、やっぱり。

クルミナガ、採れなかった…
前回の一頭はマグレだった、という事なのでしょうか。
もっと通いやすい場所でポイントを開拓しなければなりませんね…
もっと通いやすい場所へ…


2018.08.06

というわけでこの日は久しぶりにB谷へやって来ました。
ここもオニグルミが多く、ブロイニングも採れた実績のある場所なので期待しつつオニグルミを片っ端から掬っていく…

ダイミョウツブゴミムシ
Pentagonica daimiella Bates, 1892
初めて見るゴミムシが入って来ました。
アトキリとカタキバの間みたいな見た目。(分類的にもその辺りに近縁なようです)
成果は以上です。
やっぱりここでもクルミナガは採れなかった。
というか今回はあまりにも虫が採れなくてオニグルミノキモンを持ち帰るほどでした…
そんな感じで、ここ最近はどこへ行っても狂ったようにオニグルミばかりを掬っていました。
本命のクルミナガタマムシは既に1頭採れているにも関わらず(汗)
一頭採ったポイントもダメ、近場のオニグルミを掬ってもダメ…
もう流石に心が折れてしまいましたが、今後もオニグルミを見つけた時、私の体はそれを素通りできる気がしません。
もはや、見つけたオニグルミを掬わずにはいられない体になってしまいました…(笑)
【結果】 ※色付きは自己初採集
2018.07.23
ミカドアリバチ
Mutilla europaea mikado Cameron, 1900
1ex.


2018.07.26
スジミズアトキリゴミムシ
Apristus grandis Andrewes, 1937
1ex.
ヒメキマダラヒカゲ
Zophoessa callipteris (Butler, 1877)
1ex.


2018.08.01

ウメチビタマムシ
Trachys inconspicuus E. Saunders, 1873
1ex.
※ウメチビタマムシはキャンパス内で採れました。


2018.08.02
クロコモンタマムシ
Poecilonota variolosa chinensis Théry, 1926
4exs.
クズノチビタマムシ
Trachys auricollis E. Saunders, 1873
1ex.
ヌスビトハギチビタマムシ
Trachys tokyoensis Obenberger, 1940
4exs.
ルリボシカミキリ
Rosalia (Rosalia) batesi Harold, 1877
2exs.
アゲハモドキ
Epicopeia hainesii hainesii Holland, 1889
1ex.


2018.08.04
ヒメヒラタタマムシ
Anthaxia (Haplanthaxia) proteus E. Saunders, 1873
1ex.
カラカネチビナカボソタマムシ
Nalanda ohbayashii Y. Kurosawa, 1957
1ex.
クリタマムシ
Toxoscelus auriceps auriceps (E. Saunders, 1874)
1ex.

ネムノキナガタマムシ
Agrilus subrobustus E. Saunders, 1873
1ex.
アオアトキリゴミムシ
Calleida (Callidiola) onoha Bates, 1873
1ex.
アオヘリアトキリゴミムシ
Calleida (Callidiola) splendidula (Fabricius, 1801)
2exs.
ミヤマジュウジアトキリゴミムシ
Lebia (Poecilothais) sylvarum Bates, 1883
1ex.
フタツメゴミムシ
Lebidia bioculata bioculata Morawitz, 1863
1ex.
クスベニカミキリ
Pyrestes nipponicus Hayashi, 1987
1ex.
ナカジロサビカミキリ
Pterolophia (Ale) jugosa jugosa (Bates, 1873)
1ex.

コフキコガネ
Melolontha (Melolontha) japonica Burmeister, 1855
1ex.
コヒゲシマビロウドコガネ
Gastroserica brevicornis (Lewis, 1895)
1ex.
シラホシヒメゾウムシ
Anthinobaris dispilota dispilota (Solsky, 1870)
1ex.
ゴマダラチョウ
Hestina persimilis japonica (C. Felder et R. Felder, 1862)
1ex.
クロミドリシジミ
Favonius yuasai Shirôzu, 1947
1ex.
アカスジキンカメムシ
Poecilocoris lewisi Distant, 1883
1ex.
ハコネマルツノゼミ
Gargara doenitzi Matsumura, 1912
1ex.
アカエゾゼミ
Auritibicen flammatus (Distant, 1892)
1ex.


2018.08.06
ダイミョウツブゴミムシ
Pentagonica daimiella Bates, 1892
1ex.

オニグルミノキモンカミキリ
Menesia flavotecta Meyden, 1886
1ex.
アオハナムグリ
Cetonia (Eucetonia) roelofsi roelofsi Harold, 1880
1ex.

コメント

  1. 匿名 より:

    SECRET: 1
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    コフキコガネって結構好きなんですけど街灯採集でしか見たことありません。
    いつかは木で採集したいですw
    僕はなんと言ってもあの触った時の感触が僕には溜まりませんw

  2. 執虫 より:

    SECRET: 0
    PASS: c2d6779891af30736e4a55227e1c3fdb
    モフモフ感がたまらないですよね。
    クヌギの木から採れることが多いような気がしていますが、どこにでもいる虫と言うわけではなさそうです…

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