2017.08.05
今日は前期最後の地元採集をやります。
遠征が続くのはさすがに身体がもたないので…
普通に起きて、ゆっくり目に準備して採集地へ向かいます。

目的地…伐採地に着いたのは8時過ぎ頃でした。
この日の最高気温が予報では確か…34°Cとかで(汗)
この時点でかなり気温が高く…辿り着くまでで相当体力を消耗しました。
(来るまでの間に何回小休止を挟んだか分からない)
なかなか過酷な採集になりそうな予感がしていました…
前の採集でも言ったように、大半のナガタマムシがスウィーピングで採れるシーズンを終えています。
今日の目標は…8月がシーズンに含まれるタマムシを採ることです(汗)
具体的にいうなら…
タマムシ、ウバタマムシ、クロタマムシなど大型の真夏のタマムシ。
未採集のムツボシタマムシ類、チビナカボソタマムシ類。
後は…クリタマムシ類
ナガタマムシがいなくなっても…まだまだ狙えるタマムシはいるのです。
とりあえず今日は、クリタマムシ狙いでひたすらコナラ、カシワなどの、スウィーピングをやりつつ伐採地でムツボシ等のタマムシを探すことにしました。
暑い中のスウィーピングはしんどい…

左: ルリツヤハダコメツキ
Hemicrepidius subcyaneus (Motschulsky, 1866)
右: ナガヒラタムシ
Tenomerga mucida (Chevrolat, 1829)
スウィーピングで入って来る甲虫もずいぶん少なくなった気がします…
こういう時だからこそ、普段は迷うような虫でも採集できます(汗)
この時期は虫が減るばかりではなく、新たに出現する虫もいます。

左: ヒメカマキリモドキ
Mantispa japonica MacLachlan, 1875
右: オオフトヒゲクサカゲロウ
Italochrysa nigrovenosa Kuwayama, 1970
前回、谷の方で採れたアミメカゲロウ2種が、こちらでも採れました。(コナラスウィーピングにて)
ヒメカマキリモドキの方は3頭も確認できたので、今がちょうど発生期なんだろうと思います。
後は…夏といえば、セミ。
なんてイメージですが、実際はツクツクボウシとか一部のセミは「鳴き始めると夏の終わり」なんて言われるくらいです…
今日は既にツクツクボウシが鳴いていました…もう夏が終わってしまうんですね。
人間の感覚の夏と昆虫感覚のの夏は違うので、夏休みに入った時点で夏の虫的には既に終盤なのです…
この地で毎年鳴いているセミは全て出揃ったようです。
いろんなセミの鳴き声が聞こえてきますが、一つ懐かしい鳴き声が。
「チッチッチッチッチッチッ…」
と単調な鳴き声…チッチゼミです。
幼い頃、夏はセミ捕りばかりしていましたが…このセミはどうしても捕まえられなかったんです。
丘陵地など、松が多いところで鳴き声が聞こえて来て…その度に「チッチゼミ鳴いてるね…届かないけど」と父親と話していたのを思い出す(汗)
基本的には針葉樹のめちゃくちゃ高いところで鳴くセミなので…今の私の装備を持ってしても太刀打ちできません。
が…何故か、今日この時だけは…コナラやクリのそう大きくない木が並んで生えている場所からこの鳴き声が聞こえてきました…
逃げられないように、鳴き声がする方へ音を立てずにゆっくり近づいていく。
本土では最小の種。とても小さいセミだからなのか…姿は見えない。
この辺かなあ、と思ったところを掬ってみると…
入ってない(汗)
やっぱダメか、と思ったその時…掬った場所のすぐ隣から再び鳴き声が。
よく耳を澄ませて…一本の枝先に狙いを定め、下から受ける形で掬う。
まあダメだろうなと思っていたのですが…

チッチゼミ
Cicadetta radiator (Uhler, 1896)
網の中には、私が10年以上前からずっと憧れを抱き続けてきた…初めて見るチッチゼミの姿があった。
まさか…チッチゼミを網で採れる日が来るとは思わなかったな…
灯火じゃなきゃ無理なものだと思ってた…
かつての自分が出会えないと諦めてた虫の一つに、出会う事が出来ました。
採集続けてて良かった、そう思えました。
チッチゼミの他には、エゾゼミの鳴き声も聞こえてきます。
そういえば、自力でエゾゼミを採集した事はまだ一度も無かった事を思い出しました(汗)
エゾゼミも、昔からの憧れの虫の一つでした。
標本は一つあるのですが祖父が拾って来たものだった…
エゾゼミは奈良に住んでた頃は山に登ると時々鳴き声を聞く程度…どこでもそうか。
こちらもまた、鳴き声を聞く機会がそもそも少ない上に基本的には高いところで鳴くセミ…のはずが、さっきチッチゼミを採った場所のすぐ近くから鳴き声が聞こえて来ました…(汗)

非常に分かり辛いですが…写真のちょうど中央あたり、一番太い幹に止まっています。
昔、図鑑で見た事がある…逆さまに止まって鳴いている姿を運良く見る事が出来ました。
位置的に網を近づけにくい場所ではあるのですが、かつて毎年意味もなく大量のセミを捕まえていた私にはなんとなくこうすればいいって体が覚えているみたいで…

エゾゼミ
Tibicen japonicus (Kato, 1925)
難なくネットに落とせた。
セミは逃げる時絶対下に落ちるので真下に網を受けておけば逃げられる事はそう多くないのです。
かつての自分には程遠い存在だったセミ2種を採集し…改めて自分が今いる場所の環境に恵まれてる事を実感させられました。
普段なら高所にいるセミが低い位置で鳴いていたのは、この場所が小さな丘の頂上みたいなところだったので下で生えている針葉樹の高い枝から飛んで上がって来たからなんじゃないかと思います。


太い伐採木や細いクヌギの枯れ枝など…ムツボシタマムシの来そうな所を見ていくのですが…さっぱりダメです。
もちろんナガタマムシはいないし、カミキリすらいなくなりました。
アカハナカミキリだけが近くを飛び回ってます…
アカハナカミキリが見られるようになると夏の終わり、というのもよく聞きますが…カミキリ的な意味では確かに終わりの感じですね…

クヌギの周りを大きな蝶が飛ぶのが見えたので…近づくと、樹液が出てました。
ここでは樹液が出てる木は初めて見つけました。

オオムラサキは飛来しているのですが…やはり♂はボロボロです。
もっと早く気づいていれば…
…大分しんどくなってきた。
休憩を何度も挟みながらやってはいるのですが、だんだんとその間隔が短くなり…
しばらく立ち上がれず、なんてことも。
水分補給だけは欠かさずにやってるので熱中症になるほどではないですが…網を限界まで伸ばした状態で持ち上げる事が出来なくなった。
スウィーピングはここで終了し、伐採木のルッキングに移ることに。

普段あんまりちゃんと見ていない伐採木の溜まり場。
ここであんまり虫が飛んでるのを見た事がなかったので基本スルーしていたのですが、オオヨツスジハナが飛んでいたのでネットインしました。
片手にオオヨツスジハナを持ち、写真を撮ろうとしていると…奥の方で綺麗な虫が飛ぶのが見えた。
タマムシ飢えが尋常ではなかったのでしょう…伐採木の溜まり場に足を引っ掛けまくりながらそこに走っていく(笑)
…そこにいたのは。
あ、ルリボシか…
近づいてルリボシに気づいたちょうどその時、足元からまたしても綺麗な虫が飛び立つのが見えた。
「これは…タマムシだ!!!!」
飛び立った中型のタマムシを見失わないように…目で追いかける。
目で追いかけるとかいうレベルじゃない…獲物に必死に狙いを定める目だった(汗)
この時、正直すごいえげつない顔してた思う(汗)
伐採木の溜まり場の中に着地したタマムシを確認してみる。

クロタマムシ: 日本亜種
Buprestis (Ancylocheira) haemorrhoidalis japanensis E. Saunders, 1873
「クロタマだあああ!!!!」
片手にオオヨツスジハナ、後ろではルリボシがいて、クロタマが目の前にいる。
焦るな…何を優先すべきかよく考えるんだ…
考えた結果。

オオヨツスジハナカミキリ
Macroleptura regalis (Bates,1884)
まずは片手に持ったままのオオヨツスジハナの写真を撮り、ケースにしまう。
両手がフリーになった所で、クロタマを狙う。
左手で落下を受けるように構え、右手で一瞬で掴みにかかる。
普段なら絶対失敗するやつだけど、タマムシに飢えていた当時の私はこの時の集中力が尋常ではなく…一瞬にしてクロタマを手の中に収めていた…(笑)

尋常じゃない手汗の量が当時のテンパり具合をよく表している…(汗)
やっぱり、アオタマと同じように黄色い液を吐き、腹部を曲げて足をそらすように擬死体勢を取りました。
クロタマムシは3年前に奈良に帰省した際に踏まれた直後の死体を拾う、という形で出会いを果たしましたが未採集扱いになっているので…今回が初採集となります。
なんとか初採集種追加できて良かった…


ルリボシカミキリ
Rosalia batesi Harold, 1877
その後、無事にルリボシカミキリも採集できました。
とりあえず…少なくともクロタマムシは採れる事が分かった。
赤松の伐採木や切り株は多くあるので…それらを見回って追加を探すことに。
伐採地の斜面を登っていくと…早速目の前をそれらしきタマムシが飛んでいるのを見つけました。
網を構えてタイミングを伺っていたのですが…顔面に向かって飛んできてしまい、焦っていたら一瞬のうちに視界から消えてしまいました…
すぐ近くにある伐採木や切り株を重点的に見ていくと、ある切り株から突如タマムシが飛び立つのが見えました。
また逃げられた。
中々簡単にはいかないな…
切り株とかについてたら割とすぐ分かりそうだと思ってたけどそんなことは無さそう…(汗)
その後も周囲の切り株や伐採木を見ていきますが見つからず。

さっき逃げられた切り株に戻ってきました。
もしかしたらアオタマみたいに帰ってきてるかもしれない…

って本当にいるし!!!!
思ってた以上に体の色合いが赤松の樹皮に溶け込んでいて、近くで見るまで気づけませんでした…
かなり低い位置なのでここは素手で_____
すり抜けられた!?
マジで!?
確かに一度押さえ込んだはずが…するりと抜けて飛んで行ってしまった…
ここのクロタマムシたちは対人訓練でも受けてるのか…
しばらくして。
やっぱり。
今度は強めに押さえ込んでしっかり確保。

普通に拭き落としてしまったけど、灰色の粉をふいている個体は新鮮な証なのだそうです。
木屑かと思った…
その粉のせいで樹皮に溶け込めているのかも。

歩くのもしんどくなってきたので、伐採地の真ん中…木陰で休みながら飛び出す個体を待つことにしました。
これが思いの外いい作戦だったようで…順調に3頭も追加できました。


何故か自分に向かって飛んできた個体もいたので、座ったままその場から動かずに採集できたこともあった(笑)
5匹採って満足し、飲み水も尽きたので…まだ14時頃でしたがこれで今回の採集は終わることに。
翌日の採集に備えてしっかり休む。

結局スウィーピングではまともな成果はなかったのですが…思いかけずいいセミが採れたり、初採集タマムシをまた一つ加える事ができたりして十分いい地元採集の締めくくりになったかなと思います。
タマムシ(ヤマト)とかウバタマムシは今日は流石に…と思ってたのですがダメでした(汗)
他にも思い残しが多いですが、来年以降別の場所で頑張ってみます。
それにしても…ホソナカボソを今年採らなかったのはかなりやっちまった感がある(汗)
地元で採れるって気づくのが遅すぎだったんですよね…(汗)
【結果】 ※色付きは自己初採集
クロタマムシ
Buprestis (Ancylocheira) haemorrhoidalis japanensis E. Saunders, 1873
5exs.
ルリボシカミキリ
Rosalia batesi Harold, 1877
1ex.
オオヨツスジハナカミキリ
Macroleptura regalis (Bates,1884)
1ex.
トガリシロオビサビカミキリ
Pterolophia (Pterolophia) caudata caudata (Bates,1873)
1ex.
ルリツヤハダコメツキ
Hemicrepidius subcyaneus (Motschulsky, 1866)
1ex.
ナガヒラタムシ
Tenomerga mucida (Chevrolat, 1829)
1ex.
アカバハネカクシ
Platydracus paganus (Sharp, 1874)
1ex.
チッチゼミ
Cicadetta radiator (Uhler, 1896)
1ex.
エゾゼミ
Tibicen japonicus (Kato, 1925)
1ex.
ヒメカマキリモドキ
Mantispa japonica MacLachlan, 1875
1ex.
オオフトヒゲクサカゲロウ
Italochrysa nigrovenosa Kuwayama, 1970
1ex.
夏も終わりの伐採地、クロタマムシ
タマムシ科
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