平地の湿地でみられるナガゴミムシ15種を同定しよう【Pterostichini族】

全体黒色で、ツヤがあるゴミムシ

カジムラヒメナガゴミムシ
カジムラヒメナガゴミムシ
平地の河川敷や湿地ではいろいろなゴミムシの仲間がみられます。
その中でもナガゴミムシの仲間の同定には苦戦させられることが多いかと思います。
本記事では、関東地方を中心とした平地の湿地でみられるナガゴミムシ15種を紹介し、各種を同定する上でのポイントをまとめました。
注意していただきたいのは、写真のみでの同定は非常に難しいです。
彼らを同定する上では体長がけっこう重要なポイントになるので、それが分からないような写真では同定できない場合が多いです。
標本にするつもりで持ち帰って、その上で同定することを想定して記事を書いています。
本記事で取り上げる「ナガゴミムシ」は、オサムシ科ゴモクムシ亜科に属するゴミムシのうちPterostichini族の種を指します。「〇〇ナガゴミムシ」という名前の種はほとんどこの族に入っています。
ヨツボシツヤナガゴミムシ
ヨツボシツヤナガゴミムシは湿地性のナガゴミムシですが、別族です
今回の範囲からは除外される種としてヨツボシツヤナガゴミムシがいますが、斑紋が特徴的で分かりやすいため特に説明しません。
また、今回は湿地性のものを重点的に取り上げる都合上、平地にも生息する森林性のヨリトモナガゴミムシやアカガネオオゴミムシは除外しました。
その辺りを除いて、15種のナガゴミムシを紹介します。

美しいキンナガとオオキンナガ

キンナガゴミムシ
典型的な個体は左。右はごく稀にみられる緑銅色型
キンナガゴミムシはナガゴミムシとしては少数派の色があるゴミムシで、赤銅色の美しい光沢があります。
同じく美しい光沢があるオオキンナガゴミムシに少し似ますが、体形が異なります。
キンナガゴミムシとオオキンナガゴミムシの違い
キンナガゴミムシとオオキンナガゴミムシ
この2種を見分けるのはそう難しくないはずです。
キンナガゴミムシ
キンナガゴミムシ(★★)
Poecilus (Poecilus) versicolor (Sturm, 1824)

キンナガゴミムシは北海道から九州にかけて分布し、体長は10~13 mmとされます。
草地で得られることが多く、大発生している現場を見たこともありますが基本的には単発で採れる虫です。
今回の記事では、こんな感じで各種の紹介も挟んでいきます。
種名の隣に示す★は珍しさです(★~★★★★★まで。筆者の主観です)。
オオキンナガゴミムシ
オオキンナガゴミムシ(★★★)
Poecilus (Poecilus) samurai (Lutshnik, 1916)

オオキンナガゴミムシは北海道から九州にかけて分布し、体長は13.5~17 mmとされます。
キンナガゴミムシとは体長が重複せず、大きさだけでもおおよそ区別がつきます。
色彩変異に富んでいて、緑や赤、青などさまざまな色の個体が出現します。
本種は関東の低地では一度しか出会ったことがありません。私の行動圏ではあまり多くはない印象です。
ただし寒冷地に行くと多いようで、北海道とか長野ではちょこちょこ見かけました。

ナガゴミムシか、それ以外か

キンナガとオオキンナガはすぐわかるとして、問題はそれ以外。
まず大前提として本記事で取り上げるナガゴミムシか、そうでないかを見分けましょう。
典型的なナガゴミムシとその特徴を以下に示します。
体は全体黒色で、種によって脚は赤みを帯びます

ナガゴミムシの例
オオクロナガゴミムシ(左)、ヒメホソナガゴミムシ(右)
グループとしての厳密な特徴は原色日本甲虫図鑑(II)に書いてありますが、私はそんな細かいところを確認して「ナガゴミムシ」と判断しているわけではなく……もっとざっくりした見分け方です。
言うなれば……顔が違うんですよね。
ナガゴミムシとゴモクムシの比較
ナガゴミムシとゴモクムシの比較
まずゴモクムシの仲間と比べてみましょう。
ゴモクムシの仲間の多くはナガゴミムシより頭部が広く、中脚のトゲがよく目立つ印象があります。
ゴモクムシの仲間の多くは脚の色が黄褐色なので、脚の色にも着目すると良いでしょう。
もちろん紛らわしいのもいます。
クビナガゴモクムシなんかは最たる例でしょうね。
ナガゴミムシとクビナガゴモクムシの違い
ナガゴミムシとクビナガゴモクムシの違い
クビナガゴモクムシは一見すると頭部が細長くてナガゴミムシ風なのですが、やはり中脚のトゲが目立ち、跗節も太短いです。
クビナガゴモクムシはそんなに頻繁に採れる虫ではないので、そんなに気にしなくても大丈夫だとは思います。
続いて、オオスナハラゴミムシも紹介しましょう。
ナガゴミムシとオオスナハラゴミムシ
ナガゴミムシとオオスナハラゴミムシ
オオスナハラゴミムシは平地でもふつうに見られる大型のゴミムシで、やや光沢が弱い上翅が特徴的です。
本種を含むスナハラゴミムシの仲間は大あごの形がナガゴミムシとは違っていて左右非対称です。
さらに、マルガタゴミムシやトックリゴミムシ類とも迷うことがあるかも。
トックリナガゴミムシと似た種の比較
左からトックリナガゴミムシ、マルガタゴミムシ、ニセトックリゴミムシです。
こうして並べると、自分でもどうやって見分けているのか分からなくなるくらい似てますね(笑)
トックリゴミムシの仲間は光沢が弱く、前胸背に点刻がない点で見分けられます。
マルガタゴミムシの仲間はたいてい銅色の光沢があり分かりますが、ここで示したトックリナガゴミムシにも鈍い銅色光沢があり、慣れないと見分けるのは難しいかもしれません。
一応、マルガタゴミムシの触角は根元が黄褐色になるところもポイントです。
さらに同じマルガタゴミムシの仲間でも、ナガマルガタゴミムシとかはもっと似てます。

左からコガシラナガゴミムシ、ナガマルガタゴミムシ、ヒメセボシヒラタゴミムシ
この中でナガゴミムシは左のコガシラだけで、あとは別のグループです。
オオマルガタゴミムシやナガマルガタゴミムシなどこの手のマルガタゴミムシには前胸背基部両側に目立つ隆条が平行に立ちます。この平行な隆条をみると「あ、マルガタゴミムシの仲間だな」と分かります。
右はヒラタゴミムシの仲間で、分類的にはナガゴミムシの仲間に近いですが体形が異なり平たいです。
__ここまで、ナガゴミムシ以外のゴミムシを除外するための話を続けてきましたが、着いてこれていますか?
上述したナガゴミムシ以外のゴミムシに当てはまらなければ、それはきっとナガゴミムシです。
ここからはいよいよ、各種を見分ける方法を解説していきます。

まずは大きさでグルーピングします

15種のうちキンナガゴミムシとオオキンナガゴミムシは既に紹介したので、残りは13種です。
ここではこれらのゴミムシを大きさ別に区分し、それぞれについて見分け方を書いていきます。
つまり、彼らの同定には体長の計測が必要です。
体長を計測せず、ぱっと見や写真から同定するというのは訓練されたゴミムシ好きにしかできない所業です。
初めのうちはしっかり採集し、体長を測った上で以下の検索に向かってください。

<検索>
大型種:15~25 mm
オオゴミムシ、クロオオナガゴミムシ、オオナガゴミムシ、オオクロナガゴミムシ
準大型種:11~15 mm
ヒメホソナガゴミムシ、ノグチナガゴミムシ
中型種:8~11 mm
ヒロムネナガゴミムシ、アシミゾナガゴミムシ、トックリナガゴミムシ、コガシラナガゴミムシ
小型種:5.5~8 mm
カジムラヒメナガゴミムシ、トネガワナガゴミムシ、コホソナガゴミムシ

大型種: 15~25 mm

ここで紹介するのは体長20 mmを超えることもある大型のナガゴミムシです。

オオゴミムシの体長は20 mmを超える

まずは大型ゴミムシの中でも特にデカいオオゴミムシを紹介します。オオゴミムシの体長は20mmを超えます。
オオゴミムシとオオナガゴミムシ
オオゴミムシとオオナガゴミムシ
体長が重複する種の中ではオオナガゴミムシによく似ています。
2種の見分け方は簡単で、前胸背後角が丸いものがオオゴミムシです。
オオゴミムシとオオナガゴミムシの違い
オオゴミムシとオオナガゴミムシの前胸背を拡大
丸ければオオゴミムシ、角ばっていたらオオナガゴミムシまたはクロオオナガゴミムシです。
オオゴミムシ
オオゴミムシ(★★)
Lesticus (Triplogenius) magnus (Motschulsky, 1860)

オオゴミムシは北海道から九州にかけて分布し、体長は20~24 mmとされます。
どちらかと言えば樹林のある環境で出会うことが多いゴミムシです。
冬季採集で出会うことは少ないですが、積もった枯れ草の下から出たことが数回あります。

オオクロナガとクロオオナガはそんなに似てない

続いて、名前が極めて似ている2種を比較してみます。
オオクロナガゴミムシとクロオオナガゴミムシ
見分け方は先ほどのオオゴミムシvsオオナガゴミムシと同じで、後角が丸い方がオオクロナガゴミムシです。
体形も両者で異なるので、ここを見分けるのは案外難しくありません。
オオクロナガゴミムシとクロオオナガゴミムシの比較
オオクロナガゴミムシとクロオオナガゴミムシの比較
この写真で、後角の違いがより分かると思います。
また、オオクロナガゴミムシの体長は20 mmには達しないので、オオゴミムシと迷うことはありません。
オオクロナガゴミムシはひょうたん型に近い体形で、平地では他の湿地性ゴミムシと見分けやすい部類です。
(山地に行くと似たようなのが出る)
オオクロナガゴミムシ
オオクロナガゴミムシ(★★)
Pterostichus (Eosteropus) japonicus (Motschulsky, 1860)

オオクロナガゴミムシは北海道から九州にかけて分布し、体長は14.5~18 mmとされます。
平地の湿地や河川敷周辺で出会うことが多いゴミムシで、冬季は朽ち木の中で越冬します。
名前のよく似たクロオオナガゴミムシは越冬場所も違っていて、あちらは土中で越冬することが多いです。

間違えやすいオオナガとクロオオナガ

残るオオナガゴミムシとクロオオナガゴミムシは非常に間違えやすいゴミムシです。
オオナガゴミムシとクロオオナガゴミムシ
オオナガゴミムシとクロオオナガゴミムシ
2種は前胸背の形状により見分けることができます。
オオナガゴミムシとクロオオナガゴミムシの違い
オオナガゴミムシとクロオオナガゴミムシの違い
オオナガゴミムシの前胸背側縁が後角に向かって急激に狭まるのに対して、クロオオナガゴミムシではゆるやかです。
また、前胸背基部両側にある縦隆条はオオナガゴミムシの方が強く発達します。
(野外写真なし)
クロオオナガゴミムシ(★★)
Pterostichus (Platysma) leptis Bates, 1883

クロオオナガゴミムシは北海道と本州に分布し、体長は16.5~22 mmとされます。
オオクロナガゴミムシと異なり本種は土中や石の下で越冬し、崖掘りなどで時折得られます。
本種の分布は中部以北に限られるようなので、西日本であればオオナガゴミムシの可能性が高まります。

オオナガゴミムシ(★★★)
Pterostichus (Platysma) eschscholtzii (Germar, 1824)

オオナガゴミムシは北海道から九州にかけて分布し、体長は17~21 mmとされます。
個人的にかなり謎の多いゴミムシで、栃木県の湿地で枯れ草の下から得た5頭以外に出会ったことがありません。
SNSなどでの投稿を見る感じ、クロオオナガゴミムシより少ない種という印象はあながち間違いではなさそうです。

準大型種:11~15 mm

ここでは、準大型種を紹介します。
ここに該当するナガゴミムシは少なく、ヒメホソナガゴミムシとノグチナガゴミムシの2種のみです。

ヒメホソナガとノグチナガは生息環境が違う?

ヒメホソナガゴミムシとノグチナガゴミムシはどちらも湿地周辺に限ってみられるナガゴミムシで、寸胴な体形が特徴的です。
ヒメホソナガゴミムシとノグチナガゴミムシ
ヒメホソナガゴミムシとノグチナガゴミムシ
2種を見分けるのはそう難しくありません。前胸背後角を確認しましょう。
ヒメホソナガゴミムシとノグチナガゴミムシの違い
ヒメホソナガゴミムシとノグチナガゴミムシの違い
後角が丸ければヒメホソナガ、角ばっていればノグチナガです。
ヒメホソナガにはよく似た種が本州の山地や北海道に分布します。
少なくとも関東の低地ではノグチナガとの違いだけを意識していれば大丈夫です。

ヒメホソナガゴミムシ(★★)
Pterostichus (Pseudomaseus) rotundangulus Morawitz, 1862

ヒメホソナガゴミムシは北海道から九州にかけて分布し、体長は10.5~12 mmとされます。
ヨシ原など水際の湿地に多く、冬は湿った地面にたまった枯れ草の下や地面に接した朽木から見つかります。

ノグチナガゴミムシ(★★★)
Pterostichus (Melanius) noguchii Bates, 1873

ノグチナガゴミムシは本州から九州にかけて分布し、体長は12.5~15 mmとされます。
基本的にヒメホソナガより大型で、体長は重複しないようです。
北海道にはノグチナガが分布しない代わりに、ヒメホソナガの近縁種エゾホソナガゴミムシが分布します。
ノグチナガゴミムシは個人的には近所の河川敷でしか出会えていないゴミムシです。
他の採集例や自分が出会う場所の環境から推測するに、本種は谷戸や雑木林に隣接する比較的暗い湿地を好む種なのではないか? と思っています。
開放的なヨシ原にいる虫、という感じはあまりしないんですよね。

中型種:8~11 mm

ここでは中型種を紹介します。
中型種はヒロムネナガゴミムシ、アシミゾナガゴミムシ、トックリナガゴミムシ、コガシラナガゴミムシの4種です。
よく出会う種を含んでいるので、ゴミムシをやっているとこの辺の同定はたくさんやる事になると思います。

トックリナガには弱い金属光沢がある

まずはこの中だと分かりやすいトックリナガゴミムシからいきましょう。
トックリナガゴミムシとコガシラナガゴミムシ
トックリナガゴミムシとコガシラナガゴミムシ
トックリナガゴミムシは他のナガゴミムシと比較しても幅広な体形で、むしろマルガタゴミムシの仲間に似ています。
体の背面には弱い金属光沢があり、余計にマルガタゴミムシっぽさが強いです。
トックリナガゴミムシ
トックリナガゴミムシ(★★)
Pterostichus (Eurythoracana) haptoderoides japanensis (Lutshnik, 1922)

トックリナガゴミムシは北海道から九州にかけて分布し、体長は8~9.5 mmとされます。
湿地というよりもむしろ周辺の草地にいる印象の種で、ほんとにマルガタゴミムシと一緒に見つかります。
某所野焼き後の採集で出会った記憶がないので、やはり他のナガゴミムシとは生息環境が異なるのかもしれません。

ヒロムネナガの前胸は丸い

続いて、ヒロムネナガゴミムシを見分けましょう。
ヒロムネナガゴミムシとコガシラナガゴミムシ
ヒロムネナガゴミムシとコガシラナガゴミムシ
ヒロムネナガゴミムシとコガシラナガゴミムシはサイズ感がほとんど同じです。
ですが両者の違いははっきりしているので、そのポイントだけを抑えておけば同定できます。
ヒロムネナガゴミムシとコガシラナガゴミムシの違い
ヒロムネナガゴミムシとコガシラナガゴミムシの違い
見るのはやはり前胸背の後角です。
ヒロムネでは側縁が非常に滑らかなカーブを描き、前胸が円形に見えるほどです。
一方コガシラやアシミゾなど他のナガゴミムシでは鈍角であるものの角が認められます。
本記事でこの丸いか角ばるかの見分け方を繰り返し示している通り……ここは本当に大切なポイントなのです。
ナガゴミムシの写真を撮るときは前胸背後角の状態が分かるものを意識しましょう。

ヒロムネナガゴミムシ(★★★)
Pterostichus (Argutor) dulcis (Bates, 1883)

ヒロムネナガゴミムシは北海道、本州、九州に分布し、体長は9~10 mmとされます。
湿地やその周辺で、石起こしや朽木崩しなどをしているとたまに出てくる虫、という印象です。

アシミゾナガとコガシラナガは最大の難所?

中型種として最後に残るのがこの2種。
この2種は正直何を書いていいか悩んだところでした。
現場で見たら分かるんですけど、体長も被るし、前胸背後角はどちらも鈍角だし……マジで何をもって見分けているのか自分に問いたい
アシミゾナガゴミムシとコガシラナガゴミムシ
アシミゾナガゴミムシとコガシラナガゴミムシ
とりあえず比較画像を作って、図鑑の記述を見ながらあれこれ考えていました。
すると、見えてきました。この2種の極めて分かりやすい違いが……!
アシミゾナガゴミムシとコガシラナガゴミムシの違い
基部の点刻具合が異なっていた!
アシミゾでは前胸背の基部にほとんど点刻がみられませんが、コガシラではかなりしっかり点刻されます。
前胸背の形も微妙に違うんですよね。コガシラの方が四角みが強い感じ。
あとは体長も被るとはいえアシミゾの方が小型の傾向があり、私は総合的な姿をもって判断してきました。
アシミゾナガゴミムシ
アシミゾナガゴミムシ(★)
Pterostichus (Argutor) sulcitarsis Morawitz, 1862

アシミゾナガゴミムシは北海道から九州にかけて分布し、体長は8~9.5 mmとされます。
平地の湿地にふつうに見られる種で、枯れ草の下や朽ち木中で越冬します。
個体数も多く、湿地で何かナガゴミムシが出たらまず最初に疑うのが本種ですね。
神奈川県レッドリスト(2006)では準絶滅危惧(NT)ですが、やっぱりふつうにいる種みたいです。
コガシラナガゴミムシ
コガシラナガゴミムシ(★)
Pterostichus (Rhagadus) microcephalus (Motschulsky, 1860)

コガシラナガゴミムシは北海道から九州にかけて分布し、体長は8.5~11 mmとされます。
本種は別に湿地性というわけでもなく、草地や樹林など幅広い環境に出現するジェネラリストです。
冬季採集ではアシミゾより大きめのナガゴミムシが出たらまず最初に本種を疑います。

小型種:5.5~8 mm

ここでは小型種を紹介します。小型種には珍しいカジムラヒメナガゴミムシやトネガワナガゴミムシが含まれる一方で、ふつうに見られるコホソナガゴミムシもいます。
しかし、湿地性のナガゴミムシは小型であるほど珍しい種の可能性が高いので、小さいからと言って無視せずにきちんと持ち帰る心がけが大切です。

カジムラヒメナガはコガシラナガの小型版

最初にカジムラヒメナガゴミムシを見分けます。
この3種の中では形態が特徴的で、比べればすぐに分かります。
カジムラヒメナガゴミムシとコホソナガゴミムシ
カジムラヒメナガゴミムシとコホソナガゴミムシ
カジムラヒメナガゴミムシは幅広な体形で、前胸背前角が前方に突出します。
むしろコガシラナガやトックリナガに似ていますが、それらより明らかに小型であることや銅色の金属光沢がないことなどで見分けられます。
カジムラヒメナガゴミムシ
カジムラヒメナガゴミムシ(★★★★)
Pterostichus (Eurythoracana) kajimurai Habu & Tanaka, 1957

カジムラヒメナガゴミムシは北海道と本州に分布し、体長は7~7.5 mmとされます。
限られた湿地環境でしかみられない珍しい種類です。ただし生息地での個体数は多いこともあります。
冬季は石の下や積もった枯れ草の下で過ごしており、夏場も湿地周辺のルッキングで見ることがあります。

最後の砦、コホソナガとトネガワナガ

いよいよこれが最後です。コホソナガとトネガワナガを見分けましょう。
コホソナガゴミムシとトネガワナガゴミムシ
コホソナガゴミムシとトネガワナガゴミムシ
こうして見ると本当によく似てますね。
これもどうやって見分けているかと問われると悩んでしまう部分がありますが……体長が違います
コホソナガは7~8 mmですがトネガワナガはさらに小さく5.5~6 mmとされます。
コホソナガゴミムシとトネガワナガゴミムシの違い
コホソナガゴミムシとトネガワナガゴミムシの違い
前胸にも違いがあり、最大幅を取る位置が両種で異なります。
コホソナガゴミムシ
コホソナガゴミムシ(★★)
Pterostichus (Phonias) longinquus Bates, 1873

コホソナガゴミムシは北海道から九州にかけて分布し、体長は7~8 mmとされます。
湿地にふつうに見られる種ですが、アシミゾナガとかに比べるとちょっと少ないかなという印象です。
冬季は湿地の枯れ草を起こしていると見つかります。

トネガワナガゴミムシ(★★★★)
Pterostichus (Badistrinus) gosci Jedlička, 1930

トネガワナガゴミムシは北海道と本州に分布し、体長は5.5~6 mmとされます。
ごく小さいですが珍しいゴミムシです。
枯れ草や石の下から得られますが、まとまって見られることは少ないようです。
「生息地では多いが見過ごされている」という説もありますが、みんなが言う「生息地」はおそらくほぼ同じ場所を指しているので、国内、特に本州では生息地が非常に限られていると思われます。
(北海道では、なんてことはない公園で採れたが……)
名前から推察するに利根川流域にはいると思うので、いつかじっくり調べてみたいです。

おわりに

お探しのゴミムシはちゃんと見つかったでしょうか?
本記事では大きさ別にグループ分けを行い、各グループでの同定ポイントを示しました。
本記事の内容は基本的に原色日本甲虫図鑑(II)に従っています。
図鑑はリンク先の国立国会図書館デジタルコレクションを利用すれば無料でも読めるので、本記事と併せて参考にしてください。
最初の内は計測とあわせて同定を行った方が安心でしょうが、たくさん標本を作ればいずれは彼らを見抜く目が養われます。
慣れてくれば大きさを測らずとも「これはコガシラ」とか分かるようになるでしょう。
湿地性ナガゴミムシ
格好いい湿地のナガゴミムシたち
ナガゴミムシといえば山地の渓流沿いにいる格好いい奴らの印象が強いですが、今回ご紹介したように平地の湿地にもたくさんのナガゴミムシが生息しています
河川敷で冬に崖を掘ったり、朽ち木を崩したり、枯れ草をかき分けたりすることでも出会える昆虫です。
もちろん夏場の夜間ルッキングでも出会えるので、ぜひ本記事を参考に採集と同定にチャレンジしてみてください!

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