絶版になっていたタマムシ大図鑑
2013年にむし社から発売された『日本産タマムシ大図鑑』は、タマムシ類の同定を行う上で欠かせない図鑑でした。
(むし社HPより)
しかし、いつの間にか絶版になり、しばらくの時が経ちました。
以降タマムシに興味を持つも、同定の壁に直面する方も少なからずいた事でしょう。
(元々、2万円近くする大図鑑だったので購入を躊躇、断念した方もいたのではないでしょうか)
中古でたまに出回る大図鑑の価格も5万円とかになっていたり、タマムシの仲間は気軽に同定できない分類群になってしまいました。
(※大図鑑は大きめの図書館に行けば置いてある場合があるので、なんとかなる場合も)
※2024年。再販かも!
日本産タマムシ大図鑑 (月刊むし・昆虫大図鑑シリ-ズ)
森の宝石。タマムシハンドブック
2022年5月、そんな現状を打破してくれるものが発売。
森の宝石と称される美しい色模様が特徴の日本産タマムシの識別図鑑。日本産タマムシ科甲虫131種を収録‼️
5月9日発売|福富宏和・山田 航・瑤寺 裕/著 尾園 暁/写真【#タマムシハンドブック】https://t.co/6CYt0BJXRs pic.twitter.com/bKCCxhlgfD
— 文一総合出版【公式】((( つ'∀')⊃📗))) GWカレンダー通り営業 (@BunichiSS) May 6, 2022
タマムシ ハンドブック
福富宏和・山田 航・瑤寺 裕 著 / 尾園 暁 写真
数々のハンドブックシリーズを出している文一総合出版から、遂にタマムシのハンドブックが登場です!!
本書では日本に約220種存在するタマムシ科の内、半分以上にあたる131種について掲載されています。
同定の難しいチビタマムシ類・ナガタマムシ属に関しては背面と腹面の両方が掲載され、同定の上で重要なポイントが見やすく示されています。
ナガタマムシ属は更に側面写真に加え、タマムシ大図鑑には無かった全種の交尾器まで載っています。
種名や同定のポイント、珍品度などについても情報が追加・更新されており、大図鑑を既に持っている方でも重宝するものになるでしょう。
その他、タマムシ類を探すための方法や道具、生態や飼育方法、標本の作り方に至るまで……採集・観察を行う上で必要なあらゆる情報が盛り込まれています。
至れり尽くせり……
これだけの充実した内容が、1,760円(税込)と非常にお手頃な価格で入手できてしまいます!
図鑑としての有用性
以降はこの文章を書いている私(一応タマムシ類を中心に採集しているつもり)から見た本書の印象、というかレビューというか……を書いていきます(めちゃくちゃ恐れ多いんですが)
始めに、タマムシハンドブックに掲載されている種数は国産種の半分以上、というように先ほど述べましたが……
全てが網羅されていない以上、野外で出会うタマムシがハンドブックに載ってない、という現象は当然起こり得ます。
しかし、少なくとも本州ではその可能性はかなり低いと思います。
本州から脱出できていない私が、これまでに出会ったタマムシは81種ですが、この内ハンドブックに掲載されていない種はどのくらいかと言うと……
・イマサカナガタマムシ
・ツヤナガタマムシ
・ロニノナガタマムシ
・クヌギナガタマムシ
・ニセウグイスナガタマムシ
・ニセシラケナガタマムシ
・コーヨーナガタマムシ
・クロチビタマムシ
・キタドウイロチビタマムシ
・ナガヒラタチビタマムシ
以上の11種(14%)でした。
私が見た限り、本州に分布していてタマムシ大図鑑における珍品度★★(普通)以下の種は、ロニノナガタマムシ1種を除いて全種が掲載されています。

ロニノナガタマムシ「俺もいるぞ!」
でも本種も珍品度★★の割にほとんど出会ったことがありません……
その他は全て大図鑑の珍品度★★★(やや少ない)以上の曲者で、生息環境を理解し真剣に狙わないと中々出会えない種です。(ニセシラケナガタマムシは……??)
つまり、本州で野外にふらっと出掛けて偶然出会うようなタマムシはハンドブックにはほぼ確実に載っていると言えます。
国産種の種数が膨大だったカミキリムシやハムシのハンドブックでは『載ってない現象』がまあまあありましたが……今回のタマムシハンドブックではその心配はほぼ無し。むしろ載ってない種に出会えたら幸運です!
従って、例え大図鑑を持っていなかったとしても、ハンドブックがあればタマムシの同定は大抵なんとかなると私は思いました(南西諸島でなければ)。
実際にフィールドで使ってみました

携行性に優れたハンドブックですので、実際フィールドに持って行って使ってみました。
タマムシ類が採れそうな環境を訪れ、スウィーピングで入ったタマムシをハンドブックで実際に同定してみます!
クヌギから落ちたが本種はクワナg___
ハンドブックには属までの検索表が掲載されています。
グループが分からなくてもまずはそれを頼りに属まで落とし、以降は個々に見て同定する感じでやれそうですね。
えっと、、
前胸背板の後縁は強く波状。跗節の第一節は二節より明らかに長___
いや冷静になれ、肉眼では厳しいだろこれは……
フィールドでこれをやるには、OLYMPUSのTGシリーズを始め高倍率なマクロ撮影ができるカメラか、ハンディ顕微鏡みたいなアイテムは必要不可欠ですね。
さらに種までの同定を考えれば、少なくとも一度確保して側面や腹面をしっかり見なければなりません。
(チャック袋に入れると多少見やすい)
しかしフィールドでそこまで(種同定)やれるだろうか……?
そしてもちろん、交尾器を見るには採集が必須です。(大部分の種で同定に交尾器抜きは必須でないが)
つまり、タマムシを持ち帰って(顕微鏡などで)じっくり見ながら同定する際に開く、というのが現実的なハンドブックの使い方なのかなと思いました。
(ハンディサイズである意味があんまりない……?)
いや、コンパクトで掲載種が絞られているので大図鑑より遥かに使い勝手は良いです。
図版と解説が一緒になってるのもありがたいですよね。
なお1cm以上の大型種や顕著な種なら現場同定やれないこともありませんが……(写真はムネアカナガタマムシ)
現場で小型のタマムシをパパっと同定するというのは難しいので、じっくり観察できる状況を作るか、いい撮影機材を併せて使いましょう……(笑)
繰り返し同定を行っていけば、個々の種の色や体形、前胸背板の形やそれぞれの変化幅などが記憶され、ヒトの顔を識別する感覚で現場でも分かるようになります。
私もその辺にいるタマムシであれば小型種であろうと、見れば大体は種が分かるようになった(と思う)ので、(図鑑として)このハンドブックを最大限活用、レビュー書くのに向いてないですね……(今更!?)
おわりに
なんか十分な紹介ができない記事になりましたが……
タマムシハンドブックは大図鑑を入手できなかった方にも、既に持っている方にもオススメできる素晴らしい書籍です。
一般書店等での販売は本日5月9日(月)からです!
(Amazon等では先行販売中)
買いましょう!
そしてタマムシを探そう!
これからが各種タマムシのシーズンです!!
タマムシ ハンドブック
福富宏和・山田 航・瑤寺 裕 著 / 尾園 暁 写真


ハンドブックを多くの方が手にして、タマムシに今までより目を向けていただけたら私もうれしく思います。
(私は当書の制作・販売の関係者ではありません。一切関与していません。)
ついでに。
本ブログでもタマムシ類の採集記や採集方法の紹介記事を書いています。
もはや必要のないものですが、タマムシに興味が湧いたらこちらも読んでみてください!
(ちょっとずつ更新しています)
タマムシ類の生息環境と採集方法などに関するまとめ ~ナガタマムシ・チビタマムシなど~
タマムシ類とはタマムシChrysochroa fulgidissima fulgidissima (Schoenherr, 1817)タマムシ、といえば玉虫厨子に用いられた本種(ヤマトタマムシともいう)はご存じな方もいると思います。本種に代表される『タマムシ科』の甲虫類は日本に200種類以上が生息しています。そしてその大部分を占めているのが…
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