私が2012年から2023年までに趣味で作成した昆虫標本は、10000件を超えるほどになりました。
コレクションラベルを全ての標本につけたことで集計できるようになりました
せっかく作った標本。
いろいろな利活用を図ってみたいと思いまして、標本のデータを一部公開することにしました。
標本データの公開には個人収蔵.comを用いました。
そして、一定の条件をご理解いただける方に限定して、
(基本的に調査・研究などの目的の方に)
- データベースに標本写真を追加
- 標本の詳細データを提供
- 標本の譲渡(貸出でも可)
などの対応を行っていきたいと考えています。
今のところ、条件を付ける代わりに無料でやっていくつもりですが、運用方法は状況を見ながら変えるかもしれません。
標本データの確認方法と形式
データなど提供の条件
利用目的は主に「調査・研究」であること
利用して実施した研究などの成果を共有
所蔵者は把握できるようにしたい
対応できないことや注意点
譲渡できない標本がある
同定、間違えてるかも
サンプリングの依頼は私の興味次第
利用の方法
この活動の目指すところ
標本活用の事例づくり
無料でいいのか?
ぜひ拡散してください
標本データの確認方法と形式
個人収蔵.comでは、データの閲覧のみであればアカウント作成を行う必要はありません。
データベースの検索条件を指定する際、「所蔵者」の欄に「113231954195523742834」を入力して検索すると、私が登録したデータが表示されます。
本当にごくわずかですが、クモ類もあります……
科名の絞り込みはできないため、特定のグループのデータだけ見たい場合は和名や学名を使って分類群の抽出を行ってみてください。
(あるいは、私に問い合わせてください)

検索結果はこのように表示されます
データの形式はおおむね以下のようにしています。
- 和名
(基本は河川水辺の国勢調査生物リストに準拠) - 学名
(Global Names Verifierを利用して取得、命名者表記は省略) - 性別
- 採集地(市区町村まで)
- 緯度経度:省略
- 採集年月日
- 採集者:イニシャル表記
- 同定者:省略(ほぼ私です)
- 所蔵者:113231954195523742834
- 所蔵者Twitter:@syutyu_064
- 標本番号:コレクションラベルの番号
- 画像:基本なしで、要望があれば追加
- 保存法:9割以上が乾燥標本です
- ライセンス:パブリックドメインですが、省略されたデータであることに注意
- コメント:採集方法などに関するコメント
例:シラケトラカミキリのデータ
本来の標本データ(座標など)を詳細に公表してしまうとトラブルの原因になりかねないため、ここで公開する採集地は市区町村までで止めました。
データなど提供の条件
ここからは標本やデータを実際に利用したい方に向けて、利用の条件を書いていきます。
原則として以下に示す条件を守っていただける方に提供したいと思っています。
- 利用目的は主に「調査・研究」であること
- 利用して実施した研究などの成果を共有
- 所蔵者は把握できるようにしたい
順番に説明します。
利用目的は主に「調査・研究」であること
データや標本を利用する目的は、「調査・研究」を主体とします。
例えば、
- 分類学的な研究の材料として標本を使う
- 分布調査の報告にデータを使う
- 生態や生活史などを調べる上でデータを使う
- 同定の参考になる資料として標本の画像を確認したい
などなど……
私自身が標本の利活用についてあまり知識がない部分があり、この他の用途については述べられませんが、何かご提案いただければ対応は検討できます。
もちろん、研究機関に所属していないような一般の方でも利用していただけます。
ただし、単に「コレクションとして、ほしい」というだけの方には公開している標本やデータの提供は(少なくとも現段階では)しないつもりです。
標本を私が持っているのと、別の人が持っているのとで大して変わりがないからです。
そういう意味での譲渡は、本当に私が活動停止しそうになってきたら検討したいと思っています。
(そうなったら先に、博物館に相談すると思いますが……)
利用して実施した研究などの成果を共有
私から提供した資料を用いて、何らかの成果が出たor報告された場合には私にも共有してほしいです。
「論文をください」とかそういう話ではなくて、「私が提供した標本は実際にこんな風に活用されました」という事例を集めたいのです。
したがって大まかな内容で構いませんので、何らかのフィードバックをください。
特に何も分かりませんでした、なら「分かりませんでした」を返してください。
これが実質的な資料の使用料になると考えていただければと思います。
(標本をお送りする場合にも送料などはいただかないつもりです)
所蔵者は把握できるようにしたい
標本を譲渡する場合、その後の利用については特に制限しません。
解剖してしまうのも良いですし、第三者や機関に託すのも良いです。
ただ、そういった処置を行う場合はご連絡いただけると幸いです。
標本がどこにあり、どういう状態なのかは私も把握できていた方がいいかなと考えているためです。
(譲渡後も個人収蔵.comにデータは残すつもりでいます)
譲渡後に「標本を私に返してください」となることは基本的にないようにするつもりです。
しかし、例えば譲渡後の標本データを使って私が報告を書きたいときは(あるか?)、標本現物の在不在や所蔵者が把握できていないといけません。
そのため、私の手を離れた後の標本についても提供者の方から情報を共有していただけると助かります。
対応できないことや注意点
ここまで、対応できることについてお伝えしました。
以下では対応できないこと、注意点について書いていきます。
譲渡できない標本がある
公開しているデータの中には、私が採集したものではない標本や、本来公開しないはずのものが混じっている場合があります。
- 仕事関係の標本(業務に関わる)
- 卒業論文の証拠標本
- 特別な許可を受けて採集された標本
- 特定第二種国内希少野生動植物種
など。
仕事関係の標本(私が管理してること自体がおかしいのですが)は許可なくデータを表に出せないため、データベースからはじくように設定しています。
卒論に関するものも1種1個体は証拠標本として手元に置いておくか博物館に収めるか……した方が良さそうなので、必要以上に分散させないつもりです。
(データとしては公開しています。卒論と非卒論の標本は混ざり過ぎて一括で除外できませんでした。)
また、私のうっかりミスで公開してちゃダメなやつが混入してしまっている可能性もあります(いかんでしょ……)。
これが利用申請されたものに混じっていた場合、申し訳ないのですが提供お断りさせていただきます。
言うまでもなく、種の保存法にかかる生物(タガメ、マルガタゲンゴロウなど)は標本の譲渡に制約があるため注意です。
(調査研究目的であれば許可を得れば可能ですが……難しいと思う)
さらに、既に短報で報告に使った標本は、所在を「筆者が保管」にしているため動かすことができません。
短報で使った標本には、データベース上も「コメント」の項に文献名が書かれているはずです。
また、要確認のものとして以下が挙げられます。
- 自分以外の採集品
- 人に教わったポイントでの採集品
- もらい物の標本
など。
私の独断で標本や詳細データを外部に出せないものは、関係者に確認を取ってからの対応をするつもりでいます。
場合によっては提供をお断りさせていただく可能性があること、ご理解ください。
同定、間違えてるかも
そもそも論ですが、公開している同定結果が絶対に正しいものとは言えません。
データはパブリックドメイン、つまり著作権フリーで公開しているため、その気になれば個人収蔵.comから分布記録を引用し、勝手に報告もできます。
私がパブリックドメインにしている以上、引用の仕方は各人の判断に委ねますが……事前にご連絡いただければ同定は見直しが行えます。
あるいは画像などでご確認いただけます。
それに、不完全な住所データを引用するよりも詳細なものを使った方が良いと思いますので、データの利用にあたってはご連絡いただけた方が、より良い形にできそうです。
コレクション目的の方への譲渡はNG
先ほども述べた通りで、単にコレクションとして集めている方への標本や採集地情報の提供はお断りさせていただきます。
私の標本やデータは「目的がある方」に、優先して使ってほしいものだからです。
……私が持っていても、確かにほとんどの標本を役に立てることができないけど、コレクションとしての標本をいちばん大切に管理できるのは、採集した本人じゃないでしょうか。
だからできるだけ自分の手元でお世話をして、真に必要とする方のもとに、自分の手から送り出したいのです。
サンプリングの依頼は私の興味次第
「この分類群を調べているので標本をください」みたいなのは良いですが、「探して採って送ってください」みたいなのは……無理、とは言わないけど限界があります。
私は誰かのサンプリングのお手伝いをするために昆虫採集をしているわけではないので、あくまで自分の興味の範囲内でやりたいところです。
ただし、不慣れな分類群の採集も、自分でやってみて興味が湧いたら……積極的に集めて随時データ・標本を提供するみたいな形は有り得ます。
利用の方法
ここまでの利用上の留意点をご理解いただいた上で、標本や、データ、標本写真を使いたいという方は
- お名前(あれば所属)
- 利用の目的
- 必要なデータや標本
を書いて、本ブログのメールフォームか
各標本データには「お問い合わせ用リンク」がついているため、これとか標本番号を使って聞いていただけると分かりやすいです。
ちなみに私が観察した生物の生体写真はiNaturalistにどんどん投稿しています。
CC BY-NCのライセンスで投稿しているため、非営利の目的で引用元を示していただければこちらも使っていただけます。
(私に直接ご相談いただければ、この限りではありません)
あらゆるデータ、標本の利用に関して料金は今は無料です!
(あとあと変えるかもしれません)
無料にする代わりに、標本送る際の梱包とかは大目に見ていただけると幸いです。
この活動の目指すところ
時間をかけて集めてきた標本を大量に手放しかねないようなことをどうしてやるのか、という話を最後にさせてください。
標本活用の事例づくり
博物館はキャパオーバーの話であふれ、標本を墓場に持っていこうとする人がいたり、遺族に勝手に処分されたり……個人の趣味で集められた標本の行く末というのは明るくないイメージです。
このような現状に対して何が必要か、考えた時に
標本が実際どのように役に立っているか知ってもらう
ことに大きな意味があるのではないかと思いました。
私の標本を博物館に収める前に、自身で利活用の事例をできるだけ集めて、それを公開できれば……
自分の標本を墓場まで持っていこうとしている人の考えが変わるきっかけを作れるのではないかと思ったのです。
私はあくまでも趣味として、なんの研究機関にも所属せずに昆虫採集をしています。
そんな人間が、趣味で作った多数の標本をどう活かすのか。
その手本を示すことも目指して、このデータ公開に踏み切りました。
無料でいいのか?
昆虫を採集して、同定して、標本を作る。
これにかかる時間と労力は膨大なもので、同定の精度を高めるには経験も必要です。
これを(全く面識のない人にまで)無料で提供しますなんていうのが、本当にいいのだろうかとは思いました。
たとえ調査研究の目的であったとしても、私はこういう活動が全部ボランティア精神みたいなものだけで補われるべきでないことも分かっています。
それでも、現実的な料金の設定とか考え始めると……それがネックになって利用が進まなくなってしまう恐れがありました。
それは私の望むところではないのです。
私の願いは、自分が大切にしてきた標本に、少しでも多くの活躍の場を与えることです。
役に立てるための障壁は取り除く。
自分の身を切ることになっても、自分の手元を離れることになっても……標本が今より輝ける場所まで道を作ってあげたい。
それが、「そんなに標本を集めてどうするの」に対する答えであり、奪ってきた命に対する報いにもなる、と……信じています。
ぜひ拡散してください
まずは何よりデータ公開を行っていることを多くの方に知ってもらわなければなりません。
この記事の趣旨に賛同いただけるようでしたら、SNSなどで記事を拡散していただけるとうれしいです。
また、「このやり方には問題がある」というような意見もあればお知らせください。
かなり見切り発車なので、まずい結果になりそうなら見直しを行っていくつもりです。
この活動で趣味としての昆虫採集の必要性が理解され、個人標本の活用が盛んになっていくことを願っています。

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