変なサシガメを拾う
2020.08.11
「ん? なんだこれ」
ススキ草原の端っこで休んでいたら、草地を素早く歩く虫を見つけました。
追いかけて見てみるとサシガメのようでしたが……かなりデカかった。
しかし翅がついていなかったのでまだ幼虫と思われました。
こんなに大きなサシガメなら調べればすぐに分かるだろう、と思ってその場で検索をかけてみましたが……何なのか分からず。
形はよく見るハラビロマキバサシガメみたいですが、体長は18mmほどと明らかに大型。ヨコヅナサシガメ並みの巨大さです。
幼虫でこれなら、成虫は一体どんな姿なのだろうか……?
羽化したら見たことのある種に化けるのか?
それとも初見の別種なのか?
このサイズならすぐに成虫になりそうだし、育ててみるのもアリかもしれない……!
持ち帰って飼育することに

で、こちらがそのサシガメです。
大きさだけはヨコヅナサシガメ級なのですが……褐色で見た目は全く異なっています。オオトビサシガメ辺りも疑いましたが、胸部の形などから違うことが分かります。
先輩に聞いたりTwitterに上げたりすれば、たぶん一瞬で答えが分かるのですが……せっかくなので今回は自分で育てて答え合わせをすることにします!
あまりにも早い
翌日。
サシガメ飼ったことないので、調べながら少しずつ環境を整えていくことに。
昨晩からプラカップに入れていたサシガメが、ずっと動き回っていて何だか落ち着かない様子。
脱皮などの際に登れるものが必要との事だったので、適当なもので構造物を作り、高さのあるカップに移します。
ようやく落ち着いた様子。よかった。
ちゃんと茶色い所を選んでいて、自分の体色を理解しているようだ……
次は餌を用意しなければ。
サシガメの仲間は肉食で、種類によっては好む餌が決まっている(例えばアカシマサシガメ→ヤスデなど)場合もありますが、基本的に結構色々食べてくれるようです。
他にもいろいろと……調べているうちに、事件は起こった。
なんと、画像検索で本種と全く同じ姿のサシガメの写真が偶然ヒットしてしまったのです。
このページを開けば、この虫の正体がおそらく分かってしまう……!
この飼育の最大の楽しみが失われてしまうが……ちょっと特殊な生態の虫なのだとしたら、飼育のヒントを探る上で情報を得るべきなのではないか……!
しばらくの葛藤を経て、思い切ってそのページを開いてみました。
そこには確かに、本種と全く同じサシガメの写真とともに、その名前が記されていました。
その名前は……!
ハネナシサシガメ
「ちょっと待ってくれ……」
思わず手に持っていたスマホを落とした。
そして瞬時に全てを理解した。
飼育、終わりです(完)
ハネナシサシガメ Coranus dilatatus (Matsumura, 1913)
日本では北海道と本州で見られる大型のサシガメで、成虫になっても翅を全くもたない種類です。ただし稀にちゃんと翅のある個体(有翅型)も出現するらしい。(つまりハネアリハネナシサシガメ……)
そんなに普通に見られる虫ではないようです。(北方系の虫?)
画像検索ですぐにヒットしなかったのも納得。そりゃ見覚えもないわけだ……
今回採集した個体は完全な成虫でした。
つまり、どれだけ真剣に育ててもこれ以上大きくはならないし、翅が生えてくることもないのです。
ネットで偶然本種の写真を見つけられていなければ、しばらくの間は育たない虫に餌を与え続けることになっていたのか……
羽化させて正体を知る、という目的を失ってしまうとこの飼育の意味がなくなってしまうし、やる気も完全になくなってしまいました。
私は愛でるという意味での生き物の飼育が出来ない人間だと自覚しているので……潔く標本にします。
普段の採集では何も思わずに毒瓶に虫をポイポイ入れているのに、こういう時だけ可哀想というか、申し訳ないみたいな気持ちになるの、何か変だよなあ……と思いながら。
飼育を振り返るもなにも……
うーん、ひどいな(感想)
日記をつけるように少しづつ文を書いて、久々にまともなブログ記事が書けるかなと思っていたんですけどね……
自分の中に珍しく生じたやる気というか、この気持ちをどこに向ければよいのでしょうかね(笑)
とりあえず、完全にネタとして記事を書きました。
タイトルに「衝撃の結果に……」とか入れようかと思ったけど不思議な嫌悪感に襲われたのでそこまで思い切れませんでした(笑)

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