私が所属している大学のサークルでは(だいたい毎年)会誌を出すのだそうです。
内容は生き物の話に限らず各々が書きたいことを自由に書いてまとめる、というようなもの。
販売とか文化祭で公開とかもされずに、サークルの部屋の本棚に詰め込まれて放置保管されています。
私も一応記事を作ったのですが、同期の他の人が作ったって話を全く聞かないので今年は発行されずお蔵入りになりそうな気がしています(実際そうなったらしい)
かつてこのサークルにいた虫屋の先輩方はどんなものを書いたのだろう、そう思って過去の会誌を読んでみました。
私も今年何度もお世話になった場所の名前が出てくる事が多くて…その中でも今年私が出会えなかった虫の話とか近場にいるとは思ってなかった虫の話とか…興味深い話ばかりでした。
そんな中で気になったのが、「雪上昆虫」の話でした。
真冬、雪が積もった後にその雪の上に現れる虫。
他の多くの昆虫とは真逆で、「寒くなければ活動ができない」というような特徴を持つ虫もいます。
私が今年度何回も行った谷でも、「イマニシガガンボダマシ」、「セッケイカワゲラ」、「クモガタガガンボ」などが見られるようで…これは行くしかあるまいと思いました(笑)
しかし、前回の採集記を書いた時点(1/21)ではまだ雪がまともに積もっていませんでした。
先日関東の方でも大雪があったみたいですが、その時になってこちらでもようやくまともに雪が積もってくれました。
これで条件は整った。
行こう。
雪の積もった谷へ…
2018.02.04

谷に到着したのはだいたい9時くらいでした。
なんとなく沢沿いを見ていくのがよさそうに思えたので雪を見ながら沢沿いの道を登っていきます。

場所によりもっと深いところもありますが、大体の道はこの程度しか積もっていません。
雪が積もったの中での採集といえばコアオマイマイカブリの時に地獄に近いものを経験してるので、それと比べればなんてことはないだろう、と 前回と全く変わらない格好で来てしまいました(汗)
足先が死ぬほど冷たかった。
せめて靴下は2重にすべきだった。
学習して……
なんとなく歩いていたら絶対に気づかないと思いますが、雪の上を見ながら歩いていると思ったより虫が見つかります。

ユスリカの一種
一番よく見つかるのはユスリカの仲間です。
詳しいことは分かりませんが、ユキユスリカという虫も存在するみたいなので、これもあえて雪の上にいる虫の一つなのかもしれません…
最初のユスリカの写真を撮っていたら、隣にももう一頭…

「あれ…?」
「これじゃないよな」
雪の上に仰向けになって亡くなっているその虫はユスリカというには脚が長い。
近くを調べると同じような虫が見つかりました。

ガガンボというには…止まり方がおかしい??
あとは触角がやたら長い気がする。
どうやらこれが… 「ガガンボダマシ」の仲間のようです。
ただし本命のイマニシガガンボダマシではなく別の種類のようです。一応採集したけど同定できる気がしない…
近くでさらにもう一頭見つかりました。
少し強い風が吹くと雪の上をコロコロと転がっていきます。
この寒い時期に強く生きているように見えて、とても弱々しい生き物です。
運悪く転がった場所に水があって、翅が絡まってしまったら…最初に見つけた個体のようにそのまま最期を迎えることになるのだろうと思います。
なぜか、この虫にものすごく魅力を感じた。
同定することができるなら、この仲間にもっと興味を持てたかもしれません…
雪の上には、少ないながら他にも生き物は見られました。

左上からハチ?、ハネカクシ、クモ、ガガンボ?、ハエ。
この辺りの虫の同定は本当にダメです(汗)
あえて雪の上にいるのか、それともたまたま落ちてきただけなのか。
ハチとかクモに関しても歩いてる個体を何頭も見てるので、やっぱり意図的に雪の上にいるのかなと思いました。
写真は撮ってないですが他にはトビムシとかもいました。
さらにはこんな虫も。

モンキツノカメムシ
Sastragala scutellata (Scott, 1874)
この虫に関しては何かしらのトラブルがあってここに落下してしまったに違いない…(汗)
ハートの紋のエサキではなく、ただのモンキツノカメムシは初めて見ました。

日が昇って気温が上がってくると、だんだん虫が見つかりにくくなっている気がしました。
最初のガガンボダマシの所に戻ってみても何もいませんでした。
時刻は13:00現在の気温は… 2℃
「2℃かあ…暑すぎるよなあ(汗)」
などと意味の分からない言葉が口から出てきてしまいましたが、今回探してる雪の上の虫たちにとっては暑い気温になるようなのです(汗)
一番活発に動くのは、氷点下数℃〜0℃とか(虫による)
そのためこれらの虫を探すには夜の方が良いとも会誌には書かれていました。
しかし、氷点下の夜にこんなところまで来ようという気にはなれなかった…(汗)
最高気温が0℃の日とかも限られるし…昼間に雪の上の虫探しをやるにはタイミングとかも色々考えなきゃダメだったなと思いました。
気温とは反対に、心も体も寒くなってきた14:30頃。
そろそろ帰ろうと、来た道を引き返していると足元に怪しげな虫が一頭。

「これはもしや!!!」

セッケイカワゲラ…じゃないっ!!!(汗)
よくセッケイカワゲラと間違えられている気がしますが、これは別の種類のカワゲラです。
本当のセッケイカワゲラ(ユキクロカワゲラ)はこれより小さく、全身真っ黒で翅がありません。
写真のと同種と思われるカワゲラは近くでさらに数頭確認できましたが、他には特に何もなく終了(汗)
最後に逆転かと期待したけど甘くはなかった…
結局この日は最初に挙げた3種のうち1種も出会えませんでした。
雪が積もってれば採れるだろう、という感じでちょっと甘く見てました。
多分、前のコアオマイマイカブリの採集の時にちゃんと探せばおそらく採れたんですよね(汗)
あの辺りは大きな川沿いでもセッケイカワゲラが見つかるらしく、確かコアオマイマイカブリ採集当日の気温は日中も氷点下だったし(汗)
正直、サークルの会誌を読むまで雪の虫のことをすっかり忘れてました(汗)
次に探すときは気温もちゃんと考えて狙ってみます。

これで長野一年目の採集は終わりになるはずです(汗)
先輩方と比べれば私は全然通ってない方なのですが、この谷にも一年間お世話になりました。
来年度は別のキャンパスに移りますが、ちょいちょいこちらにも帰って来ようかなと思います。
今年出会えなかったタマムシに会うために。
【結果】 ※色付きは自己初採集
未同定ハネカクシ
1ex.
モンキツノカメムシ
Sastragala scutellata (Scott, 1874)
1ex.
未同定カワゲラ
1ex.
未同定ガガンボダマシ
2exs.
未同定ガガンボ(?)
1ex.

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