2018.05.12
GW明け一発目の週末であるこの日は、カエデの花掬い(ギリギリ間に合うかどうかというところ)やスウィーピングでのナガタマムシ採集を期待して近場の谷へ向かいました。

もう何回か訪れているこの谷の事を、今後は都合上A谷と呼ぶ事にさせてください。
B谷とかC谷がそのうち現れてややこしくなると思うので…(笑)
用事があって少々出遅れましたが…11時ごろにポイント入り口に到着しました。
入り口から早速スウィーピングを開始していきます。
クヌギやコナラもまだ柔らかいとは言え葉っぱが出ているのでそろそろナガタマムシが採れ始めるはず。
スウィーピングをしながら少しずつ進んでいると、道の奥からこちらに向かって来る黒い蝶が見えました。
もしかするとアレは…
網を構えてじっと待つ。
近づいて来たその蝶の、輝く翅の色を見て確信する。
「間違いない…ミヤカラだ!!」

ミヤマカラスアゲハ
Papilio maackii Ménétriès, 1858
これがミヤカラ、美しすぎる…
カラスアゲハとは全然違う。細かい部分を見なくともすぐにそれと分かる美しさでした。
今日採れてくれたら嬉しいなと一番思っていた虫で、これが人生初採集です。
私が初めて読んだネット上の採集記である、東京農工大の昆虫研究会のページを初めて訪れた時…上がっていたのがミヤマカラスアゲハの採集記でした。
ミヤカラという呼び方をそこで知って、ガチの採集者はこんな素敵な虫を採りに行くのか!とすごく興奮した思い出。

しばらくしたらもう一頭飛んできて、こちらも採集に成功。
発生初期のようで、こちらもピカピカの個体でした。とても嬉しい。
スウィーピング中や歩いている最中に前から後ろから飛んで来るミヤマカラスアゲハが本当に多くて、この後も何度も出会えました。(展翅板の限界を考えて今回は2頭で止めておいた)

トラガ
Chelonomorpha japana japana Motschulsky, 1861
ミヤマカラスアゲハの他には美しいトラガも何頭か飛び交っていました。
トラガは去年よく通っていた中信の谷でも見られましたが、こちらの方が数は多そうです。

ウスバシロチョウ
Parnassius citrinarius citrinarius Motschulsky, 1866
ウスバシロチョウも非常に多くの個体が見られました。
ウスバシロに関しては山まで入らなくてもその辺の畑、なんなら下宿先の玄関先ですら見る事が出来ます(笑)
冗談抜きでモンシロチョウよりも見かけています…
↑写真の個体、なんかうまく羽を広げた写真が撮れないなと思っていたのですが…

展翅してみてびっくり。左右非対称な個体でした。
ウスバシロチョウはこういうアシンメントリーな個体も結構出現するみたい!?
こんな感じで、しばらく鱗翅採集に夢中になってしまった(笑)

シロオビナカボソタマムシ
Coraebus quadriundulatus Motschulsky, 1866
道路脇のキイチゴ類にはシロオビナカボソタマムシが。
個体数は非常に多く、好きなだけ摘んでいけるような状態でした。

クロヒメヒラタタマムシ
Anthaxia reticulata shinano Y. Kurosawa, 1963
タンポポの花は既にほとんど綿毛に変わっていて、花の上で見られたクロヒメヒラタタマムシはこの1頭だけでした。
これ以外に伐採木に飛来している個体は何頭か見かけました。
クロヒメヒラタのシーズンもあっという間でしたね…

新緑のクヌギ。
このくらいの感じだとアサギナガタマムシが採れそう…
掬ってみると、案の定それらしいナガタマムシが1頭入っていました。
(この個体に関しては後ほど…)
とりあえずこれが南信に来てからの初のナガタマムシとなりました。
いよいよこちらでもナガタマスウィーピングの時期が始まった。気合い入れていかないと(汗)
採集中にすれ違った車から、声をかけて来たおじさんが「変わった模様の蝶がいたよ」と教えてくれました。
模様があるってことは黒いアゲハではないし、話からして普通のアゲハチョウとかタテハの類ではないだろう。
「アイツしかいない…」
さらに道を進んでいくと、路肩に咲いた花に大きな蝶が止まっていました。
やっぱり思った通りだった。

アサギマダラ
Parantica sita niphonica (Moore, 1883)
「アサギ、久しぶり!!」
最後に採ったのはいつだったか…小学生時代まで遡る事になりそう(汗)
自分的には、出会う機会があっても何故か採れない蝶で、標本やり始めてからは初採集でした。
去年も色んな場所で見かけては逃げられていた…
ちょっと欠けてるからリリースも考えたのですが、この後追加が得られる自信がなかったのでしっかりキープしておきました(汗)
これも今日採れないかなと期待していた虫の一つでした…

ここではやはり多かったようで…しばらく後に綺麗な個体も追加できました。
アサギマダラは父が日本で一番好きな蝶。
私は現時点ではオオムラサキが一番好きとか言う事が多いです(綺麗な生体を見た事ないけど)
改めてアサギマダラを見ると、単純な白だと思っていた部分が青みがある透き通った色をしていて、オオムラサキとかミヤカラみたいに派手・キラキラって感じではないけどデカいし落ち着いた美しさがある事に気付かされます。
これが浅葱色というやつなのですね。
アサギマダラってこんな綺麗な蝶だったんだな…
(心なしか標本にすると赤色の鮮やかさ落ちてしまった気がする…)
〆る時にきっちり〆れていないと、腹部からの排出物や腹部の黒っぽい鱗粉が後翅の赤い部分を汚してしまうようです。
取り扱いには気をつけなければなりません…
ミヤマカラスにアサギマダラと、嬉しい大型鱗翅を採ったことで後の不安(展翅板不足的な意味で)もありますが、採集成果的にはすごく充実感がある。
時刻は13:00を回りましたが、この後まだ花掬いのポイントがある(汗)
必要以上に立ち止まらないように先に進んでいると、陽の光を反射して眩しく輝く甲虫が道の先へと飛んで行きます。
その虫は何故かUターンして自分のいる方へ戻って来たので、タイミングを合わせてネットインすることができました(笑)

ハンミョウ
Cicindela chinensis japonica Thunberg, 1781
「ハンミョウ!やっぱりいるじゃん!!」
前回来た時、この辺りならハンミョウも普通にいそうだなとは思っていました。
先輩は近場で見た事がないと言っていたので、近場では見られないものなのかと思ってましたが…しっかり生息しているようです。
この日出会えたのはこの1頭のみでした。

カエデの花ポイントへ到着。
不安でしたが…まあギリッギリ花は残っているようです(汗)
とりあえず掬ってみる。
…ダイミョウヒラタコメツキが入ったので今年はしっかりキープ。
(カミキリは採ってすぐ毒瓶に投入しています)
トゲヒゲトラやヒナルリハナはかなり多いですが、去年のようにミヤマルリハナやカエデヒゲナガコバネが死ぬほど入ってくるような事はありません。
ヒメハナカミキリの類が結構たくさん入りましたが、大体一度見たような奴が多い。
同定難しい奴も多いので油断は出来ませんが…
一通り掬いましたがめぼしいものは特になく、ここで一度昼食休憩を挟む事に。
時間をおいて再び掬います。
カミキリはダメでも、カエデにつくミドリツヤナガタマムシは採りたい。
一度花は無視して、去年一頭採った木と同じ種類と思われるカエデ(多分オオモミジ)の葉っぱを中心に頑張ってスウィーピングしてみると…

コジマヒゲナガコバネカミキリ
Glaphyra (Glaphyra) kojimai (Matsushita, 1939)
Glaphyraが入った(笑)
今回のもまた初採集のヒゲナガコバネカミキリでした…
花掬い的にはとりあえずこれで満足です。
そして、


ミドリツヤナガタマムシ
Agrilus sibiricus fukushimensis Jendek, 1994
期待していたミドリツヤナガタマムシも結果的に2頭採れました。
あんまり緑色じゃないけど…(汗)
このカエデポイントでは、他にヒラタチビタマムシも採れました。
キイチゴ以外からヒラタチビタマムシが採れるとちょっとドキッとするな…
(少ない種であるヒメヒラタチビタマムシもキイチゴに付くのでどちらにせよ油断はできないけど)
カエデのポイントを後にして、先に進んで行きます。

ソーンダースチビタマムシ
Trachys saundersi Lewis, 1893
道沿いにはウツギ類がかなり多く生えていて、葉上にソーンダースチビタマムシやアカガネチビタマムシがよく付いています。
バイカウツギとかもあるのかななどと思っていましたが…この時はまだ判別方法を理解していなかった。
コナラなどのスウィーピングを行なっていくものの特にナガタマムシの追加はなく。
まだ出始めなのかな…?

ダイミョウナガタマムシ
Agrilus daimio Obenberger, 1936
そんな事を思っていたら網の中にいつのまにかダイミョウナガタマムシの死骸が入ってました。
寄主植物のアブラチャンはめちゃくちゃ生えてますが、成虫がよく集まるケヤキがこのポイントにはそんなに生えてないので、今年はあまり採れなさそう(とこの時は思っていた)
南信ラベル1頭目という事で一応持ち帰りました。
伐採木の溜まり場。
雰囲気は良さげですがやはり時期が早いようで、この日はウグイスナガタマムシ1頭しか見つけられませんでした。

左: キクスイモドキカミキリ
Asaperda rufipes rufipes Bates,1873
右: カラカネハナカミキリ
Gaurotes (Paragaurotes) doris Bates, 1884
周辺のスウィーピングで、2種のカミキリが採れました。
今回が何気に初採集だったカラカネハナカミキリは確かコナラか何かの花から入った…あれでもちゃんとカミキリとか来る花なんですね。
写真撮るの忘れてしまったのですが、ここで見落としてた第2のカエデポイントがありました。
花も割と残ってるし日当たりもいい場所で、掬うと先程とはまた違ったカミキリが入ってきました。

キベリクロヒメハナカミキリ
Pidonia (Pidonia) discoidalis Pic,1901
やや大きめでカッコいいPidonia。これは初採集でした。

左: アカイロニセハムシハナカミキリ
Lemula nishimurai Seki,1944
右: ピックニセハムシハナカミキリ
Lemula decipiens Bates,1884
ニセハムシハナカミキリの仲間は、一番多いキバネも含めて3種入りました。
アカイロは今回が初採集ですが、これはハムシっぽさが3種の中で一番強くて最初本当にクビナガハムシの類かと思いました(汗)
見た目もそうですが動きも含めてハムシそっくりです。

左: ムラサキヒメカネコメツキ
Kibunea eximia (Lewis, 1894)
右: キンムネヒメカネコメツキ
Kibunea ignicollis (Lewis, 1894)
葉っぱのスウィーピングでもたまに見かける美麗コメツキ2種が花掬いで一緒に入りました。
去年もそうだった気がするけど、この辺りはキンムネの方が多いみたいです。
一般的にはキンムネの方が少ない虫だった気がするけど…
こちらのポイントではヒゲナガコバネカミキリやミドリツヤナガタマムシが採れることはありませんでした。

シロジュウシホシテントウ
Calvia (Anisocadvia) quatuordecimguttata (Linnaeus, 1758)
これはたしか生葉のスウィーピングだったと思うのですが、とてもカッコいい模様のシロジュウシホシテントウ(シロジュウシホシテントウであってるよな?)が採れました。
斑紋の個体変異が大きいとされる種ですが…こんな斑紋の個体は初めて見ました。

ヤシャブシ。
この木を見る度に思い出す、石川遠征のトラウマ(笑)
今はまだ時期が早いけど、今年こそはリベンジするのだ…
このポイントでも採れたりしないかな…?
特に何も考えずに掬ってみると、目を疑うような虫が中に入っていました…

ヨコヤマトラカミキリ
Epiclytus yokoyamai (Kano, 1933)
「どういう事だ!?!?」
「まるで意味が分からんぞ!」
思わずこの言葉が出た(笑)
ヨコヤマトラカミキリはムネアカオオアリに擬態しているというちょっといいカミキリ。
非常に格好いいカミキリで、これも密かに今日採れたりしないかと、冗談半分に期待していた虫の一つでした(笑)
とはいえ採集方法を全く知らなくて、ヤシャブシのスウィーピングで入った事が全く理解できなかったのですが…どうやらヤシャブシが本種の寄主植物だったようで、枯れ枝に来ていた個体が偶然網に入ったようです(汗)
とんでもないミラクルに感動…この後は特に何もなく終了しましたがもうお腹いっぱいです(笑)
最後に、今回の採集の序盤にクヌギから採れたナガタマムシについて。


ミドリツヤナガタマムシ
Agrilus sibiricus fukushimensis Jendek, 1994
アサギナガかと思っていたこのタマムシは…どうやらミドリツヤナガタマムシの青い個体だったようで(汗)
このタマムシが採れた場所のすぐ近くにもオオモミジが生えていたのでそこから移った可能性も充分考えられます。


オオモミジから採れたミドリツヤナガタマムシ(左)との比較。
並べると全然違うような気もしますが、個体変異も大きいみたいだし他に当てはまる種もいないのでとりあえずミドリツヤナガタマムシという事にしておきます(汗)
というわけで、今回は憧れだったミヤカラにアサギマダラ、ハンミョウにヨコヤマトラ、ミドリツヤナガなどなど…美しい虫のオンパレードで本当に充実した谷採集になりました。
こんなん通うしかないわな(笑)
【結果】 ※色付きは自己初採集
シロオビナカボソタマムシ
Coraebus quadriundulatus Motschulsky, 1866
7exs.
ダイミョウナガタマムシ
Agrilus daimio Obenberger, 1936
1ex.
ミドリツヤナガタマムシ
Agrilus sibiricus fukushimensis Jendek, 1994
3exs.
ウグイスナガタマムシ
Agrilus tempestivus Lewis, 1893
1ex.
ソーンダースチビタマムシ
Trachys saundersi Lewis, 1893
1ex.
アカガネチビタマムシ
Trachys tsushimae Obenberger, 1922
1ex.
ヒラタチビタマムシ
Habroloma subbicorne (Motschulsky, 1861)
1ex.
ハンミョウ
Cicindela chinensis japonica Thunberg, 1781
1ex.
カラカネハナカミキリ
Gaurotes (Paragaurotes) doris Bates, 1884
1ex.
アカイロニセハムシハナカミキリ
Lemula nishimurai Seki,1944
1ex.
ピックニセハムシハナカミキリ
Lemula decipiens Bates,1884
2exs.
キベリクロヒメハナカミキリ
Pidonia (Pidonia) discoidalis Pic,1901
1ex.
セスジヒメハナカミキリ
Pidonia (Cryptopidonia) amentata amentata (Bates,1884)
1ex.
シロトラカミキリ
Paraclytus excultus Bates, 1884
1ex.
ヤマトシロオビトラカミキリ
Kazuoclytus lautoides (Hayashi, 1950)
1ex.
ヨコヤマトラカミキリ
Epiclytus yokoyamai (Kano, 1933)
1ex.
キクスイモドキカミキリ
Asaperda rufipes rufipes Bates,1873
1ex.
コジマヒゲナガコバネカミキリ
Glaphyra (Glaphyra) kojimai (Matsushita, 1939)
1ex.
クロアシコメツキモドキ
Languriomorpha nigritarsis (Waterhouse, 1873)
1ex.
シロジュウシホシテントウ
Calvia (Anisocadvia) quatuordecimguttata (Linnaeus, 1758)
1ex.
ヒメゴマダラオトシブミ
Paroplapoderus (Paroplapoderus) vanvolxemi (Roelofs, 1875)
2exs.
ヒメキベリトゲハムシ
Dactylispa angulosa (Solsky, 1872)
1ex.
ダイミョウヒラタコメツキ
Anostirus daimio (Lewis, 1894)
3exs.
ムラサキヒメカネコメツキ
Kibunea eximia (Lewis, 1894)
1ex.
キンムネヒメカネコメツキ
Kibunea ignicollis (Lewis, 1894)
1ex.
未同定アオハムシダマシ
1ex.
ミヤマカラスアゲハ
Papilio maackii Ménétriès, 1858
2exs.
ウスバシロチョウ
Parnassius citrinarius citrinarius Motschulsky, 1866
2exs.
アサギマダラ
Parantica sita niphonica (Moore, 1883)
3exs.
トラガ
Chelonomorpha japana japana Motschulsky, 1861
1ex.
サラサエダシャク
Epholca arenosa (Butler, 1878)
1ex.
青空の下で輝く
採集記・記録+昆虫綱(五目採集)
コメント