大きなエノキと早春の蛾

2018.03.12_05:31 a.m.
「あ。(寝坊した)」

珍しく失敗したので、今日はやる気がない。
正直気乗りしないけど… 今回の採集は避けては通れません。
30分程度の遅れなら問題なかったので、急いで準備して出発しました。

「で、でっけえ……」
目的地へ到着したのは8:30頃。
開始早々巨大なエノキを見上げて唖然としていましたが…このくらいの大きさのエノキはまだまだ見つかりました。
今回は クロマダラタマムシの生息環境をこの目で見て体感しようの回です。
記録のある千葉県の某所へやってきました。
採集の方も期待していないことは無いですが…環境の視察が目的。自らボーズをくらいにいくようなものなのでなかなか行く気になれずこんな時期になってしまいました(笑)
実行を今まで引き延ばしした事が結果的に幸運をもたらしたのですが…



いつもの河川敷で見つかるようなエノキと比べると、幹が太かったり樹高が高い事はもちろんなのですが…なにより、枝が広く大きく伸びていて 段違いに迫力があります。

枯れ枝も思っていたより見つかりました。
今回、材はその場では削らずに一度回収し、後でまとめて削ることにしました。
その方が時間短縮になりそうな気がしたので…


怪しい脱出孔も一つ見つかりました。(下の写真は上の脱出孔をすこし削ってみたもの)
形や大きさは近い種類であるアオマダラタマムシとほぼ一致するのですが、 脱出孔の向きが気になりました。
タマムシって材にきっちり平行な向きで脱出孔を開ける事が少ないような気がしています。
(どっちかといえば垂直な向きに作ってる事が多いような気がしています)
ウバタマコメツキのこともあるし…今回の場合、期待させておいてコメツキっていうパターンも大いにあり得る(汗)
この日見つかった疑わしい脱出孔は…この一つだけでした。
昼前までの時点で一通りポイントのエノキ大木を調べ、材を拾い集めたのでここで少し場所を変えて、やりやすい所で材を削っていきます。


袋にぎっしり詰まった材は11本。
落ちてからあまり時間が経っていなさそうな枯れ枝から樹皮の剥がれた古い枯れ枝まで、色々と気になったものを持ってきました。
材がただの木片に変わるまで、大体1時間ほど削り続けて…
ボーズが確定しました(笑)
期待しても無駄なのは分かってたけど、材選びにもかなり問題があったように思う。
こんなん絶対虫入ってないじゃんみたいな材ばかりで…

ムモンチャイロテントウ
Micraspis kurosai Miyatake, 1977
材を削っている最中に、初めて見るムモンチャイロテントウが採れました。
嬉しいけど、どこか虚しい…
これで終わりか、今日は…
ムモンチャイロテントウが採れるくらいだから、いいゴミムシが採れる湿地があるんじゃないか?
そう思い、適当に歩き出します。

イタドリハムシ
Gallerucida bifasciata Motschulsky, 1860
道端の草の上では多数のコガタルリハムシやナナホシテントウが既に活動していました。
そんな中でイタドリハムシを一頭だけ見つけました。こんなに早く出てくる虫なのか…
テングチョウやモンシロチョウも既に飛んでいました。モンシロチョウは今シーズン初見だったかな?
奈良帰省の際に既にムラサキシジミ(3/4)とテングチョウ(3/3)をシーズン初確認しています。
もうすっかり春ですね…

なんとなくこんな場所を通りかかって…
Twitterの方で写真がたくさん上がっている「フチグロトゲエダシャク 」という蛾をふと思い出します。
2月から3月にかけて短い期間だけ、河川敷などの草原に出現するという格好いい早春の蛾です。
あの虫がいる環境ってこんな感じなんじゃないのかな??
まともに探す気は無いのでひたすら歩いて進んで行くのですが、道沿いにこんな環境はずっと続いていて。
ある時、モンシロチョウにしては小さく黄色っぽい…蛾と思われる昆虫が視界に入りました。
その虫は遠くの藪の中に消えていきました。
あれがそうだったり…しないよな。
この時期に活動してる蛾はフチグロトゲエダシャクだけではないし…
しばらくして。
「暑いな…」
この日は確か15℃くらいまで気温が上がって、さすがに暑かったので上着を一枚脱ぐ事に。
リュックを置いて一息ついた時でした…

「!?!?」
自分の丁度真正面の位置に不自然な物体を確認しました。
あれだ…間違いなく フチグロトゲエダシャクだ(汗)
まさか本当にいるとは。
ネットインするまでもなく姿を拝めるとは(笑)
この時の私は迷わず写真を撮りに行ったのですが遠くから1枚撮った後はあっさり逃げられた(汗)
フチグロは深い藪の中に消えていきました…

今回は万が一の時のために網を持ってきていました。持ってきて正解だった。
網を展開して歩きやすい所を歩いていきます。
飛び出してきたらいつでも反応できるように網を構えて集中します。
しばらくすると、来た!!一頭目!!!
…って、 どこいくねーーーん!!!(汗)
フチグロは天高く舞い上がり青空の中に消えていった…
「消える」っていうのはこれのことか(違う)
飛翔スピードは、たしかにその辺を飛んでるモンシロチョウなんかと比べると圧倒的に速いですが…感覚的には止まらないデカいベニシジミって感じでした。
横方向に飛んで逃げるなら追いかければなんとかなりそうですが、上に逃げられるとどうしようもない…
(持ってきていたのは2.2m玉の柄でした)
現在の時刻は14:30頃。
昼間活発に飛び回るそうなのですが…多分もう飛翔時間のピークは過ぎている。
飛んでる個体を見つけられない場合は 近くを歩いて飛び出してきた個体を瞬時にネットインするしかない(汗)
さらにもう一頭の個体に空へと逃げられ(汗)
最初の一頭を見つけてからおよそ30分後。
平日なので、部活中の学生に変な目で見られて、若干辛いけどなんとか集中を切らさないように枯れ草に目を向けていると…ソレと思われるものが飛び出した。
「よしきた!!」
ド正面に現れたので天空に逃げられる前にジャンピングキャッチを試みる(汗)
だっせえぇ(笑)
なんだ今の間抜けなジャンプは…

動画を撮ってればアレで一発芸の完成だったな…(笑)
今年もやらされるのかなあ…

なんともみっともないジャンピングキャッチ(笑)はどうやら成功していたらしく…網の中には探していた虫の姿がありました。

フチグロトゲエダシャク
Nyssiodes lefuarius (Erschoff, 1872)
今回が初採集です。Twitterとかで散々見てましたがやはりカッコいい蛾ですね。
本当は翌日埼玉の方で探すつもりで…今日採れてしまうとは思いませんでした(汗)

その後も、少し離れた場所を飛ぶ個体を走り抜けつつネットインしたり、天空へ逃げようとした個体をつま先立ちした上に腕を限界まで伸ばしてギリギリでネットインしたりして2頭を追加しました。
思ったよりも上手くネットインできて自分でもビックリです(笑)
普段なら絶対失敗するようなやり方でもこの日は振った時は全てちゃんと網に入ってくれた…運が良かった。
3頭目を採集した時点で15時を回っており、この後は陽が傾き始めてしまい飛び出す個体も見つからなくなりました。
結局ゴミムシ採集をやる事はなく、この日の採集はこれで終了となりました。
20180314235857118.jpeg
既に咲き始めている桜もありました。
途中からは完全にフチグロトゲエダシャクの採集記になってしまいましたが…
本来の目的であるクロマダラタマムシの環境視察を終えて感じたことを書いておきます。
基本的にクロマダラタマムシの幼虫は太い枯れ枝や幹の衰弱部分を食べるとされています。
なので普通は落ちているような枝には幼虫は入ってないんじゃないかと思うのですが、実際に落ちてる材から出している人もいるので…何かしらの条件の下では落ちているような枯れ枝に入っている場合もあるのだろうと思っています。
なので落ち枝をしっかり探せば脱出孔などの手がかりが少しは見つかるのかな…と思っていたのですが全然そんな事は無くて(汗)
立派なエノキの大木は複数あって、クロマダラの発生木が1つとは思えなかったし気付かずに見逃してしまった可能性もあるけど… 生息地だからといって落ち枝から簡単に脱出孔が見つかる訳では無いと分かりました。
本来の生息地でさえこれなんだから…
近場の河川敷でちょっとエノキの材調べて、脱出孔が見つからなかったからと言って「この河川敷には生息していない」などと判断するのはあまりにも気が早すぎるなと思いました。
埼玉にせよ長野にせよ、もう少し頑張って捜索を続けようかと思います。
河川敷にあるエノキの中にも今回訪れた場所のエノキと張り合える規模の大木はあるので…可能性はゼロではないと信じます。
一番の問題はどうやって探すかという所で。
材割りで採れれば楽な事この上ないのですが…アオマダラのように簡単にはいかず、材選びに結構センスが求められるような気がするので修行が必要かもしれません(汗)
ナガタマムシが入る材(脱出孔が多く開いている材)も結構決まってる感じはするのですが、何がポイントなのかよく分かっていません…
タマムシの材採集、材割り採集に関しては本当にダメダメなのです。彼らが好む材というのがさっぱり分からんのです(笑)
クロマダラに関しては夏場に訪れて、樹冠をスウィーピングしたり太い枯れ枝や衰弱部を眺めたりするのがやはり一番良いのでしょうか。
積極的に機会を作っていきたいです。
今の時点では、クロマダラは日本産タマムシの中で一番の憧れの種。
拝める日は一体いつ訪れるのでしょうか…
【結果】 ※色付きは自己初採集
フチグロトゲエダシャク
Nyssiodes lefuarius (Erschoff, 1872)
3exs.
ムモンチャイロテントウ
Micraspis kurosai Miyatake, 1977
1ex.

イタドリハムシ
Gallerucida bifasciata Motschulsky, 1860
1ex.

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