長野県はナミゲンゴロウが割と多いらしい。
ナミゲンゴロウは各地で著しく減少し、いくつかの県では既に絶滅、多くの都道府県のRDBで絶滅危惧種に指定されています。
長野県では準絶滅危惧種に指定されているものの、局所的というわけでもなく、県内の広い範囲で最近でも採集記録があるようです。
場所によっては個体数も多く、わざわざ県外からナミゲン採集に来る方がいる程です。
去年、私も中信で狙えないかと思い、他の採集のついでにため池に寄ってみたり、水溜りをガサガサしてみたりしましたが…ヒメゲンゴロウとコオイムシ、マツモムシ位しか網に入ってくれませんでした。
真面目に探してもないのに「採れる気がしない」などと思い込み…南信に来た。
あれは、今年の春の事だったでしょうか。
先輩からナミゲンゴロウが信じられない場所で採集されたという話を聞き、捕獲された生体も見せていただきました。
その時、長野に来てから初めてナミゲンゴロウという虫を身近に感じる事ができました。
「ナミゲンはきっと近場のどこかにいる。」
「今年は必ず、探しに行く…!」
2018.09.18
という事でこの日は近場の池を巡って本格的に水生昆虫の採集をやってみることに。
先輩が採集したポイントではまず追加が得られることは無さそうなので……自力でポイントを開拓するところからのスタートです。
目標はナミゲンゴロウですが、それ以前に近場でどんな水生昆虫が採れるか調べるというのが大きな目標になります。

1ヶ所目。この池に到着した時点で時刻は8:00頃。
事前に航空写真とかで調べて一番有望かな、と思った場所に最初に来てみました。
抽水植物が多く生えています。

とりあえず、水生昆虫採集初心者の私はまず池ポチャだけは気をつけなければ(汗)
そう思い、到着直後に長靴に履き替えたら…全ての荷物を安全な場所に避難させた上で網だけを持って偵察に行くことに。
(従ってこの写真も後で撮ったものです)
私、池でのガサガサ採集というのをほとんどやった記憶がありません。
池の淵に立って、網で水草の根元をガサガサするイメージだったのですが、そんな事ができる場所は池のごく一部に過ぎなかった。
大半の場所はガッツリ抽水植物が繁茂していて、網を入れられる感じではない…
岸から網を入れられる場所を一通り掬ってみたものの、数頭のマツモムシが入っただけでした。
抽水植物…というかヨシがまとまって生えてる場所で、そんなに水深が深くなさそうな所があったので少し入ってみることに。
アシをかき分けながら、なんとか網を入れられる場所を探します。
わずか数分で、事件が起こった。
ふと足元を見ると、泥に埋もれかかってる不自然な物体を見つけました。
石かな…と思ったがやけに表面が滑らかで、薄黄色っぽい線に縁取られている…
「これって……まさか。」
何かを察してしまった私は、とりあえず証拠写真をと思い腰に手を伸ばして…気づく。
「カメラもスマホも、
全部陸地に置いてきたんだった……っ!!!」
なんとしても確保しなければ。
今持っているのは網だけ。
水深は浅いものの、周りはアシに囲まれていて、網を使うのはどう考えても無理だ。
素手で押さえつけて…いや無謀すぎる。
かといってこの場を離れて道具を取りに戻るのも…
葛藤の末、ゆっくりとその物体に手を近づけていくと…その物体の下から赤い脚が現れ、一瞬のうちに池の奥へと消えていった…
………。
「ゲンゴロウだ…」
「あれは間違いなく…ナミゲンだ!!」
何も出来なかった。
どうしようもなかった。
それでも、悔しさよりも感動の方が大きかった。
幼い頃は生で見ることすら一生叶わないのではないかと思っていた、ナミゲンゴロウが自然の中で生きている姿を見れたのだから……
この1頭が私の心に火を点けたのでした。
生息環境がイマイチ把握できてなくて、ダメ元だった今回の採集が本気モードに変わる。
「大丈夫だ、ポイント選びは間違ってない!」
急いで陸に荷物を取りに戻り、カメラや採集容器を一通り装備。
網で掬える場所を探しつつ、足元を鬼のようにルッキングして水生昆虫を探していきます。

こんな場所をアシをかき分けながら探します。
採集記とかで見たゲンゴロウ採集とはかけ離れたものになってしまってる気がしますが…仕方がない。
実際ここにナミゲンゴロウがいるんだから(笑)
確かに見たんだ…証拠は何もないけど、自分の目だけは信じられる。
足元を見ているとマツモムシがかなり沢山見つかります、が…網で適当に掬っただけだと全く入ってくれません。
というか、アシが邪魔すぎてまともに掬えない(汗)
どうにか頑張って、アシの隙間から網を伸ばして水中を掬ってみると…マツモムシ以外の水生昆虫が入ってくれました。

ミズカマキリ
Ranatra chinensis Mayer, 1865
自分にとってはかなり久しぶりな虫…ミズカマキリです。
小学生の頃に連れて行ってもらった、奈良のとある山にある池でこの虫を採ったことがありました。
標本をやり始めてからは初採集になります。
その後は網を入れるまでもなく、アシの根元に掴まっている個体を何頭か目視で確認できました。

タイコウチ
Laccotrephes japonensis Scott, 1874
さらにルッキングでタイコウチを発見。
泥をかぶっているもののそれが返って不自然で目立っていました(笑)
この虫はゲンゴロウのように逃げ足が速くないので、落ち着いていけば手掴みで簡単に捕まえられます。
タイコウチは以前、千葉県でティーノさんに採集ポイントを案内していただいた時に採って以来です。
自力での採集は初になります。
タイコウチも長野県では準絶滅危惧種となっており、決してどこでも見られる虫という訳ではないようです。
その後、ルッキングでコオイムシを発見したあたりでここで網を使うのはもはや非効率であることに気づく(笑)
色々な水生カメムシが採れて、だんだん水生昆虫採集らしくなってきました!
が、ゲンゴロウ類は全く網にも入らないし、ルッキングで見つかる事もなかった…
コシマゲンゴロウ・ヒメゲンゴロウくらい網に入ってくれてもいいじゃないかと思ったのですが、この時はまだこの網の致命的な欠点に気付いていなかった…
今日行くポイントの中でここが一番良さげである事やゲンゴロウが実際に見つかった事から…かなり頑張ったのですが、2時間ほどで調べやすい場所を調べ尽くし、次のポイントへ向かう事に。
あの1頭を逃してしまったことがだんだん悔しくなっていきます…

2つ目の池に到着。
微妙に護岸?されていて、藻は沢山あるけど水草らしきものが全然見当たらず、ガサガサする場所がない(汗)
なんとなくダメなのは分かった。
見つけられたのはマツモムシとミズカマキリくらいでした。
見たことの無い奇妙な形の昆虫が上空を飛んでいるを見たのですが、冷静に考えたらタイコウチでした。飛んでる所初めて見た…

オオルリボシヤンマ
Aeschna (Aeshna auct.) nigroflava Martin, 1908
その代わりこのポイントではオオルリボシヤンマが乱舞していました。
最初のポイントでもギンヤンマに混じって数頭のオオルリボシヤンマが飛んでましたが、ここの方が多いです。
(この日訪れた池ではここが一番多かった気がする)
適当に水生昆虫用網を振ったら採れたので、採集しようかと思ったのですが…なんか後ろめたさがあってリリースしました。
今年は色残しへの挑戦から逃げる一方です…
タカネトンボや、初めて見るネキトンボもいました。
ネキトンボは採集するつもりでしたが普通に逃げられてしまった(汗)
次の池へ向かいます。

ヤノナミガタチビタマムシ
Trachys yanoi Y. Kurosawa, 1959
道中、ケヤキがあったのでここでスウィーピングを行いヤノナミガタチビタマムシを確保。
この日はわざわざ長竿まで持ってきていたのですがまともに使ったのはこの1回だけでした(笑)

3ヶ所目の池に来ました。
ここは植物も多くパッと見いい感じですがコイがいた…
岸辺は結構な崖になっており、池ポチャの危険性が高くほとんどガサれませんでした…
やはりミズカマキリやマツモムシ程度しか見つけられませんでしたが、タイコウチが池から急に飛び立ち空高く舞い上がって消えて行くのを見た。めっちゃ飛ぶんですね(笑)

ネキトンボ
Sympetrum speciosum speciosum Oguma, 1915
この池ではネキトンボも多く見られ、1ペア採集する事ができました。
この虫は色が残るかどうかに関係なく採集したいと思えた。
「色が残らないなら採らない」という思考は良くないとは思うけど、半端な気持ちで標本作るのもなあ…という葛藤がずっと続いています。
コイもいるし危険なこのポイントからは早々に撤退し、ここに来る途中で気になった場所を重点的に見ていくことに。

なんだか懐かしい感じがする。
途中にあった風景は、かつて連れて行ってもらった千葉県の谷津田にどこか似ていました。
この辺りの一部の田んぼは現在は利用されていないようで…
イイ感じの掘り上げや水溜りがあちこちに見られました。
確か、こういう環境にも水生昆虫がいるんだよな…
そこで網を入れてみると、大きな甲虫が入った………

ガムシ
Hydrophilus acuminatus Motschulsky, 1854
そうだ、ガムシがいるんだった(汗)
一瞬フリーズしてしまいましたが…ナミゲンゴロウはこんなに水深の浅い場所には普通はいないみたい。
ガムシは夜回りでも常連さんで、灯りの下でよく見つかりますが…ちゃんとした生息環境で見れたのは初でした。
ガムシは環境省、長野県共に準絶滅危惧種となっていますが、正直全然そんな感じはしません……
長野県ならどこでも普通に見られるかと思うのですが……
何にせよ、この日最初の水生甲虫(最初のゲンゴロウを除けば)だったのでちょっとだけ嬉しかった(笑)
ガムシは他にも何頭か見られ…1頭だけコガムシも見つかりました。
水深が浅いのでルッキングもやりやすく、ミズカマキリやコオイムシも何度か見つけられました。

ここからはアカハライモリが入りましたが、相変わらずゲンゴロウ類が見つかる事はありません。
ナミゲンゴロウなんて贅沢は言わないから、どうかゲンゴロウの仲間を…
掘り上げを見回っていると、湿地でキラッと輝く虫を見つけました。
左: オオキベリアオゴミムシ
Chlaenius (Epomis) nigricans Wiedemann, 1821
右: コキベリアオゴミムシ
Chlaenius (Chlaeniostenus) circumdatus xanthopleurus Chadudoir, 1856
美しい2種のキベリアオゴミムシでした。
オオキベリはまだ分かるにしてもコキベリもいるとはなぁ…
(確かにいそうな環境ではあったのですが)
もっといい湿地性ゴミムシも居たりするんじゃ…!?
そんな感じで、次のポイントへ向かいます。

次のポイントに向かう途中でも同様な放棄水田があり、掘り上げに水が溜まっていました。

ミズカマキリやガムシなどが見つかる中…少し離れた場所の水面が不自然に揺れているのが見えた。
そこにはアキアカネの死骸が浮かんでいたのですが、どうやらこの死骸に虫が集まっていたらしい…
近くをじっくり見ていると、その犯人の姿を捉えました。
ゲンゴロウだ!
しかも明らかに初見の種類です!
網で茂みをガサガサしてみると、無事に入ってくれました。

クロゲンゴロウ
Cybister (Melanectes) brevis Aubé, 1838
思った通り…それは初採集のクロゲンゴロウでした。
今までに私が“採集した”ゲンゴロウの中では最も大きな種類になります。
こちらも長野県の準絶滅危惧種となっていますが、ナミゲンゴロウに比べればずっと多くて、たくさん見られる場所も多いようです。
その後も同所で数頭の追加が得られました。
今回の採集で初の、二番目のゲンゴロウです(汗)
良かった…ゲンゴロウ全く採れずに終わるんじゃないかと思った。
そしてここでこれまでコシマやヒメなどのやや小型のゲンゴロウが採れなかった理由が発覚しました。
このポイントではコシマゲンゴロウが何度か網に入ったのですが…ものの数秒で網をすり抜けて逃げている事に気が付きました(汗)
3回目くらいですり抜ける前に取り押さえて確保する事に成功したものの、この網が水生昆虫採集にそもそも不向きである事が分かったのでした…
買い換えよう(汗)

4ヶ所目の池に来ました。
航空写真で見た時点でおよそ察しはついていたのですが…何かコレじゃない感がある(汗)
オオルリボシヤンマやタカネトンボもいるけど流石に数が少ない…
しかし、池の岸近くには枯れ枝が積もってできたいい感じの隠れ場所があり、よく見ると水草も生えていました。
網を入れてみると、どこでも絶対にいるマツモムシはもちろん、多数のミズカマキリのほかタイコウチも入り、ガムシやクロゲンゴロウなども割と普通に入ってきました(汗)
木漏れ日が差し込む水面には、多数のミズスマシ(コミズスマシか?)が泳いでいました。
どうやらここは思った以上に水生昆虫が豊富で優秀な池のようです。
ここでこの日初となるヒメゲンゴロウが入りましたが、ナミゲンゴロウが見つかる事も網に入る事も無く…次のポイントへ移動です。
周る予定の池は残り2ヶ所。
4ヶ所目もそうでしたが、残り2ヶ所も薄暗い林の中にある池です。
「ダメだわこれ」
5ヶ所目の池に着いた時、自分の口から思わずこんな言葉が出てしまうくらいに寂しげな池でした。
辛うじて1,2頭のオオルリボシヤンマやタカネトンボはいるものの、水の中には………
「!?」
水の中の様子は、池の見た目とは全く異なるものでした。
ガムシ、ガムシ…ガムシ。
次から次へと水面へと浮かび上がってくるのはガムシです。
尋常じゃない個体数が伺えました。
岸に近い部分は水深が浅く、水草など隠れる場所も豊富でクロゲンゴロウやミズカマキリもすぐに見つかりました。
ただならぬ何かを感じ始めた時でした…
ふいに目の前に現れたそれは……紛れもなく。
この日の朝、目に焼き付いて離れなくなったあの虫でした。
岸辺から池の奥に向かって逃げていくそれに素早く網を伸ばし、泥ごと思いっきり掬い上げる。
網の中を見ると… いる。
クロゲンゴロウが。
「いやいやいやいや…それはないんじゃないの!?」
「今日何しに来たんだよお前は!」
あまりにも突然だったため焦って掬い方が雑になってしまった。今回は完全に失敗です。
一度ならず二度もロストって…しかもまた証拠写真すら撮れぬままに。
網を放り投げ、頭を抱えてその場に崩れ落ちた時… 岸から池に向かって歩いている甲虫がいた。
「まてまてまてまて!!!!」
押さえつけて、ギリギリ間に合う。
逃げられていなかった。
ちゃんと掬い上げられていた。
さあこれが、三度目の正直です………!!!


ゲンゴロウ
Cybister (Scaphinectes) chinensis Motschulsky, 1854
他のゲンゴロウを採った後だからこそ分かる圧倒的なデカさ、力強さ。
図鑑で見たように、掴むと白い液体を分泌する…臭いらしいが、アオゴミムシ並みにクセになる不思議な臭いだ(汗)
昔から図鑑を見ても遠い存在に思えるばかりで、憧れすら抱く事がなかったナミゲンゴロウに、生息地で天然の個体に出会う日が来るなんて……
初採集のタマムシに出会うのとは全く異なる、心の底から湧き上がるこの懐かしい気持ちはなんだろう。
自分の抱いているナミゲンの生息環境のイメージはもはや捨てるべきなのかもしれない。
この場所でもナミゲンゴロウはいる、いやこの場所こそが正解だった。
この池はこの日訪れたどの池より水生昆虫が多く(ただしトンボは少ない)、この日確認した殆どの水生昆虫(ゲンゴロウ、クロゲンゴロウ、コミズスマシ?、ガムシ、ミズカマキリ、タイコウチ、コオイムシ、マツモムシ)が確認できました。
ついでに初採集のクロズマメゲンゴロウも採れました。
これで最初に逃げれた1頭を悔やむ必要もなくなり、気持ち的にかなり楽になりました(笑)
浮かび上がっては潜っていくガムシたちをぼーっと眺めて癒されつつ、しばらく池の浅い所を行ったり来たりしていると…

2頭目のゲンゴロウが!
今度は落ち着いて、とりあえず池の中にいるゲンゴロウの写真を証拠レベルで撮った(汗)
しばらく様子を見ていると動き出しましたが、優雅に泳ぐゲンゴロウの姿に感動してしまい網を出す事すらできず…
ゲンゴロウは少し移動して、幸運にも手が届くほど近くの岸辺の植物に隠れました。

頑張って写真を撮ってみましたが、こんな程度の写真しか撮れず…
私にとっては、池の中にいるゲンゴロウは虫カゴの中にいるゲンゴロウとは全然違うのです。
この感動は野外で実際に出会わなければ分かりません…
このゲンゴロウも無事に採集できました。
その後もしばらくこの池に留まってガサガサしたりルッキングしたりしましたがゲンゴロウの追加は無く、心ゆくまでガムシを眺めた所で最後のポイントへ向かいます。
6ヶ所目の池は、立ち入り禁止だった(汗)
ギリギリ間に合ったな…
もうこれ以上新たな池を目指す必要もないでしょう…これで今日の水生昆虫採集は終了です。
ここからは次のターゲットを狙うために河川敷に移動しました。


河原で石を起こす事2回で出てきたこのカマキリの卵はウスバカマキリのものです。
この辺りに生息してる事は間違いないはず。
近くの草地で日が暮れるまでスウィーピングしましたが…普通のカマキリすら入りませんでした(汗)
ミヤマシジミやウラナミシジミを採集した程度で、直翅自体が少なかった…
初夏にシンリョクナガタマがそこそこ採れたヤナギもスウィーピングしましたがヤナギチビタマムシは1頭も採れず。
日が暮れた後はムネアカセンチを期待してそのまま草地でのルッキングを開始。
結局採れず真っ暗になりましたが、真っ暗になった後は川沿いの道をライトで照らしながらルッキングして帰りました。
道中では何故かミイデラゴミムシが多く見られ、1頭だけ採集しました。
ゴボウトガリヨトウ
Gortyna fortis (Butler, 1878)
帰りに立ち寄った自販機でゴボウトガリヨトウを採集し、この日の採集は完全に終了。
朝から晩までやりきった…しっかり目標も達成できて本当に清々しい気持ちでした。

今でもゲンゴロウが自分の部屋に居る事が信じられません(汗)
思えば最初に逃げられた1頭。あのゲンゴロウが見つけていなければこんなにも頑張れなかったのではないか、どこかで心が折れてしまっていたのではないかと思う。
本当に幸せな1日でした。
今回採集したゲンゴロウ2頭は幸運にも雌雄ペアだったので、飼育を考えたのですが…今の私には面倒を見てあげたり飼育環境を整えてあげたりできる力が無いので、今回の個体はじっくり糞抜きしたのちしっかり標本にするつもりです。
長めのおまけです。
【最近の夜回り】
2018.09.16

ダイミョウアトキリゴミムシ
Cymindis (Menas) daimio Bates, 1873
この日は通常のダイミョウアトキリゴミムシが採れました。
先輩はモモグロ型のダイミョウアトキリゴミムシを採集しており、合わせると今年確認されたダイミョウアトキリゴミムシは5:3でモモグロ型の方が優勢です。

ヨツボシゴミムシ
Panagaeus (Panagaeus) japonicus Chaudoir, 1861
夜回りポイントでは私は初めて見る、ヨツボシゴミムシもいました、が…手の届きにくいところにうまく逃げられてしまった(汗)
河川敷や遊水地・湿地以外の環境では何気に初遭遇です。

ヤママユ
Antheraea yamamai yamamai (Guérin-Méneville, 1861)
もうすっかりクスサンが多い時期になりましたが…この日はかなり綺麗なヤママユにも出会えました。(採集はしなかった)
この日は蛾は少なく、採集したのはゴミムシのみとなりました。
2018.09.17

ムネアカセンチコガネは夕方に草地で乱舞しているらしい。
今年になって初めてこの事実を知った私は、それを確かめるべく…日が暮れる頃に夜回りポイントを訪れました。
この日は前回1頭を拾ったのと同じ場所で死骸を拾い、その近辺の↑草むらを注意して見ていると…いました。
暗くなり始めた草地に浮かぶ、オレンジ色の飛行物体。
手を伸ばすとそれは素早く不規則に飛び回り、あっという間に見失ってしまいました(汗)
その数十秒後に2個体目を発見。はたき落とすことに成功したもののすぐに草の中に潜ってしまい…これも逃げられた。
その数十秒後に見つけた3個体目はどうにか確保に成功…

ムネアカセンチコガネ
Bolbocerodema nigroplagiatum (Waterhouse, 1875)
この時点で18:05。
この日の日没は17:52でした。
その後も何頭か見つけるもののことごとく逃げられ…(汗)
芝生みたいな環境にいる虫なのかと思ったら、想像以上に「草むら」な感じの場所で多く見られました。
考えてみればこの場所も定期的に草刈りが行われて芝地みたいになってることもありますが…
夜回りポイントでムネアカセンチが見られる場所は複数存在するようなので、他のポイントも探してみることに。
個人的にココはいるだろうなと思っていた場所(初夏にキバネツノトンボを多数確認した芝地)に行ってみたものの…全く見つかりませんでした(汗)
結局最初のポイントでルッキングを再開し、折り畳んだ状態の網を使って上手くキャッチし1♀を追加した辺りでどうやら飛来のピークタイムが終了したようです。
確か終了時刻は18:30前。勝負の時間は日没から30分程度しか無いのか…!?
埼玉の方でも同様に夕方採集をやらなければと思っているのですが、これは何回か挑戦しなきゃならないかもしれませんね…
2018.09.19
この日は先輩に以前も訪れた灯りのポイント(ミカゲゴモクムシが採れた所)に連れて行っていただきました。
気温が低く以前より蛾は少なかったですが…
左上: チズモンアオシャク
Agathia carissima carissima Butler, 1878
右上: エゾギクキンウワバ
Ctenoplusia albostriata (Bremer et Grey, 1853)
左下: オオホソアオバヤガ
Actebia praecurrens (Staudinger, 1888)
右下: シラホシキリガ
Cosmia restituta picta (Staudinger , 1888)
それなりに色々な蛾を採集しました。
先輩に勧められて採ったり自発的に採ったり。

左: キクキンウワバ
Thysanoplusia intermixta (Warren , 1913)
右上: ホシボシヤガ
Hermonassa arenosa (Butler, 1881)
右下: ナカグロヤガ
Xestia undosa (Leech, [1889])
こちらは採集してません。
他にはクロフトビイロヤガ、ベニモンドクガ、ハガタキエダシャクなどが見られました。

クスサン
Saturnia japonica japonica (Moore, 1872)
クスサンは多く見られたのですが、この個体はおかしかった…

めっちゃ小さい。
横に並べたクスサン♂もそんなに大きい個体ではないのですが、今回採集したクスサンは信じられないくらい小型でした。
見たことないけどヒメヤママユとかのサイズ感らしい…(笑)
そして…先日ミカゲゴモクムシやシロオビハイイロヤガが採れたトンネルが今晩もやってくれました。

ベーツナガゴミムシ
Pterostichus (Nialoe) asymmetricus Bates, 1883
トンネルの中では脇に溜まった落ち葉の下に多くのゴミムシ(主にゴモクムシ)が隠れていて、それをかき分けることで今回は初採集の格好いいナガゴミムシ、ベーツナガゴミムシが採集できました。

ナカグロアカガネヨトウ
Atrachea japonica (Leech, [1889])
先輩が採集したこの蛾がこの日の大当たりだったようです。
日本固有で長野と山梨でしか見つかっていないという地味な稀種。
去年の文化祭の時にも先輩の採集個体を見せてもらったのを思い出しました。
あの時は「こんなクッソ地味な蛾でも珍しいと分かれば魅力的に見え…ない。」とか思ってましたが(笑)、今は少しだけ格好良く見えるようになりました。
珍品と言われたからというのもあるかもしれませんが、私自身が普通に『アカガネヨトウ』と名のつく蛾に魅力を感じているからなのかもしれません。
今年、シラオビアカガネヨトウやモンキアカガネヨトウを採集しましたが、私的にはどちらもお気に入りの蛾です。
今年春から先輩の手ほどきを受けて様々な蛾を採るようになりましたが…自分が一番好きなグループは「アカガネヨトウシリーズ(?)」になり得るのではないかとガチで思っています。
その後は続けてさらに別の街灯ポイントへ連れて行っていただき…
移動中、Catocalaの話になって「ベニシタバが未だに採れてないんですよねー」なんて話をしていたのですが…


ベニシタバ
Catocala electa zalmunna Butler, 1877
連れて行っていただいた街灯ポイントで幸運にもベニシタバが採れました。
ボロいですがこれはしっかり採集していきます。
先輩はエゾベニシタバを採集されていた…

コアオマルガタゴミムシ
Amara (Reductocelia) chalcophaea chalcophaea Bates, 1873
街灯の直下にはノグチアオゴミムシがわらわらと歩いていて、石をひっくり返すと気持ち悪いくらい出てきました(汗)
ノグチアオゴミムシに混じってコホソクビゴミムシも数頭見られました。
他には初採集のコアオマルガタゴミムシなど、どことなく砂礫地・河原環境のゴミムシが多い場所のように感じました。
そんな中。


シンシュウマルガタゴミムシ
Amara (Curtonotus) shinanensis (Habu, 1953)
初めて見るこんなゴミムシが採れたのですが、こいつはどうやら只者ではないようです…(汗)
私の採集品の中ではこの日一番の当たりだったのかもしれない。
【追記(9/26)】
同定の結果…このゴミムシはシンシュウマルガタゴミムシであると判明しました。
中流域の河川敷で見られ、今の所は長野県でのみ確認されているゴミムシのようです。
県内でも生息地は限られ決して多い虫ではないようなので…やはりこれはラッキーでした。(追記終わり)

ウスバツバメガ
Elcysma westwoodii westwoodii (Vollenhoven, 1863)
最後は夜回りポイントでウスバツバメガを採集して帰りました。
狙いの虫(ヒメヤママユ)には少し早い時期ですが、それでもなんやかんや毎回楽しめているから凄い…
連れて行って下さった先輩にも感謝です。
【結果】 ※色付きは自己初採集
2018.09.16
アカガネオオゴミムシ
Myas (Trigonognatha) cuprescens cuprescens Motschulsky, 1857
1ex.
オオヨツアナアトキリゴミムシ
Parena perforata (Bates, 1873)
1ex.
ダイミョウアトキリゴミムシ
Cymindis (Menas) daimio Bates, 1873
1ex.
2018.09.17
ムネアカセンチコガネ
Bolbocerodema nigroplagiatum (Waterhouse, 1875)
3exs.
2018.09.18
ヤノナミガタチビタマムシ
Trachys yanoi Y. Kurosawa, 1959
1ex.
オオキベリアオゴミムシ
Chlaenius (Epomis) nigricans Wiedemann, 1821
1ex.
コキベリアオゴミムシ
Chlaenius (Chlaeniostenus) circumdatus xanthopleurus Chadudoir, 1856
1ex.
ミイデラゴミムシ
Pheropsophus jessoensis Morawitz, 1862
1ex.
ゲンゴロウ
Cybister (Scaphinectes) chinensis Motschulsky, 1854
2exs.
クロゲンゴロウ
Cybister (Melanectes) brevis Aubé, 1838
3exs.
ヒメゲンゴロウ
Rhantus (Rhantus) suturalis (Macleay, 1825)
1ex.
コシマゲンゴロウ
Hydaticus (Guignotites) grammicus (Germar, 1827)
1ex.
クロズマメゲンゴロウ
Agabus (Acatodes) conspicuus Sharp, 1873
1ex.
未同定ミズスマシ
1ex.
ミズカマキリ
Ranatra chinensis Mayer, 1865
1ex.
タイコウチ
Laccotrephes japonensis Scott, 1874
1ex.
コオイムシ
Diplonychus japonicus Vuillefroy, 1864
1ex.
マツモムシ
Notonecta triguttata Motschulsky, 1861
1ex.
ミヤマシジミ
Plebejus argyrognomon praeterinsularis Verity, 1921
2exs.
ウラナミシジミ
Lampides boeticus (Linnaeus, 1767)
1ex.
ゴボウトガリヨトウ
Gortyna fortis (Butler, 1878)
1ex.
ネキトンボ
Sympetrum speciosum speciosum Oguma, 1915
2exs.
2018.09.19
ベーツナガゴミムシ
Pterostichus (Nialoe) asymmetricus Bates, 1883
1ex.
オオホソアオバヤガ
Actebia praecurrens (Staudinger, 1888)
1ex.
シラホシキリガ
Cosmia restituta picta (Staudinger , 1888)
1ex.
ミツモンキンウワバ
Ctenoplusia agnata (Staudinger, 1892)
1ex.
エゾギクキンウワバ
Ctenoplusia albostriata (Bremer et Grey, 1853)
1ex.
クロシタキヨトウ
Mythimna placida Butler, 1878
1ex.
クスサン
Saturnia japonica japonica (Moore, 1872)
1ex.
チズモンアオシャク
Agathia carissima carissima Butler, 1878
1ex.
2018.09.20
コアオマルガタゴミムシ
Amara (Reductocelia) chalcophaea chalcophaea Bates, 1873
1ex.
シンシュウマルガタゴミムシ
Amara (Curtonotus) shinanensis (Habu, 1953)
1ex.
ノグチアオゴミムシ
Chlaenius (Lithochlaenius) noguchii noguchii Bates, 1873
1ex.
コホソクビゴミムシ
Brachinus stenoderus Bates, 1873
2exs.
ベニシタバ
Catocala electa zalmunna Butler, 1877
1ex.
ウスバツバメガ
Elcysma westwoodii westwoodii (Vollenhoven, 1863)
1ex.

コメント
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ゲンゴロウ採集はすごいですね!!
フォルムといい素晴らしい昆虫だと思います!
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素晴らしい虫に出会えて、本当に感動でした。
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初ナミゲンゴロウおめでとうございます!!
自分は一度ゲンゴロウ取った!と思い喜んで家に帰ったらどっからどう見てもコガタノゲンゴロウでした…興奮してしまい種の同定すら出来ませんでした。
次はタガメなんかどうでしょう?
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それが、コガタノゲンゴロウもタガメも…長野県では絶滅しているようなのです。
なので今後の県内での水生昆虫採集は小型種に走っていくことになるのかなと(汗)
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飯田ですか? 昔飯田によくいましたので!
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そうなんですか!
今回はそちらでは無いです。