瑠璃色と飴色

2018.11.03
この日は以前から行こうと思っていた近場のルリクワガタ採集を決行すべく…A谷へ向かいました。

7時にアラームをセットしたのに起きたら9時で…やる気を無くして行くか行かないか迷った(汗)
結局行くことにしたものの、Google Mapsの最短ルートで近道しようとしたらひたすら登り坂でいつもより余計に時間かかってしまい…11時頃になっていた(汗)
前回来てから2ヶ月ほど経って、すっかり秋らしくなっていました。紅葉が綺麗な季節です。
今回は最深部まで行くつもりなのでここからまだまだ登らなければいけません。
来るたびに洪水の影響で雰囲気が変わってる道を進みながら…自転車で行ける限界まで行って、そこから山に入っていく。

「その辺の山入ればルリクワ採れるよ」
夏場にお会いした方にそんな事を言われ、実際夏場に産卵マークと幼虫を確認したのはこの辺り。
イタヤカエデが多く、時々ミズナラもあります。
前回は道から外れたりしなくてもあっさり産卵マークや幼虫が見つかったため意外と簡単なのではと思っていたのですが…何故かこの日は産卵マークの付いた材を全然発見できませんでした(汗)


ようやく1本産卵マークのある材を見つけたものの…ここからは何も出ず。(硬い部分が多くてあまり削れなかった)

それから少しして、ようやくまともな材を発見。幼虫くらいなら出そう…

「あっ…?」

ルリクワガタ
Platycerus delicatulus delicatulus Lewis, 1883
出てきたのは…ルリクワガタの成虫♀でした。
♀は初採集です。通常はもっと銅色っぽい感じになるはずなのですが、この個体は紫色っぽくてとても格好いいです。


ルリクワガタ
Platycerus delicatulus delicatulus Lewis, 1883
直後に♂も出てきました。
去年採集した個体に比べたら小ぶりですが、やはり瑠璃色が綺麗な良いクワガタです。
「こんなにあっさり採れてしまうのか……(汗)」
去年は結構な金額を払って遠征して、危険な崖っぷちを這いつくばりながら一日中材を探し続けて、やっとの思いで採ったルリクワガタでしたが…(→採集記
今年は登山道から大して外れることも無く、しかもここまでの交通費は0円。
嬉しいような虚しいような気持ちでした…(笑)

「なんだこれ?」
ちょうどルリクワ♂の写真を撮っていた時、視界の隅を妙な姿の生き物が通り過ぎました。
一瞬思考が停止しましたが…すぐにあの虫だと分かった。

「クモガタガガンボ…!」
翅は無く、真冬でも普通に活動し雪の上を歩き回るという事がよく知られている奇妙な虫。
雪が積もってからでないと中々見つからない虫ですが、発生自体は晩秋からスタートするみたい。
雪が積もったら改めて探しに来るつもりでしたが…こんなタイミングで出会えるとは(汗)
体長は8.5mm程。自分が思ってたよりずっと大きな虫で、実際異常な大きさな気がする(汗)
ニッポンクモガタガガンボの大きさには当てはまらないし、触角短いからガガンボダマシでも無さそうだし…具体的な種名までは分からなかった。
201811061952175a1.jpeg
その後も紅葉を眺めながらルリクワ材を探し、山道を進んでいきましたが…いい材は見つからないまま最終目的地まで辿り着いてしまいました。

訪れるのはこれで三度目となるこの場所。
以前はここでの石起こしでヤマトクロヒラタゴミムシやキバナガゴミムシを始めとする様々なゴミムシを採集できており、他の場所よりも(ゴミムシ的な意味で)良い環境だと感じていた…
この間イナナガチビゴミムシを採ったB谷とはかなり離れてるけど…むしろこっちの方がチビゴミムシが採れそうだと思っていた。
革軍手もマジックテープ付きでサイズの合ったものを買い直した。
ささっと昼飯を食ったら…手のひらをほぐして万全の装備で挑む。
B谷のあの場所で採れるならここで採れないとは思えない。
全ては良い環境を見つけられるかどうかにかかっている…
今までの癖で…大きな礫が積もった場所をついつい掘りたくなるが、グッと堪えて粘土質の場所を探す。

「こことか粘土質じゃない…?」
普段なら絶対に掘らないような場所ですが…そこには確かに粘土質の土があって、掘ってみるとしっかり礫も混ざっていました。
礫を追いかけるように掘り進める…

「これは、アリだな…」
粘土質の土には適度に礫が混ざり、大きめの礫を取り除くとその奥へと続く空間が見える…
土の色が少し違う気はするけど、それ以外の条件はあの時と全く同じに思えました…

ムラサキモリヒラタゴミムシ
Diacanthostylus integratus (Bates, 1883)
上の方の土からはムラサキモリヒラタゴミムシが出ました。
先日B谷でも採集していて、モリヒラタゴミムシの中では体型が格好良くて好きな種です。
この時期に多くなる虫なのか…今日は石起こしでもこのゴミムシばかりが見つかりました。

チャバネコガシラハネカクシ
Philonthus gastralis Sharp, 1874
それから良く出てきたこのハネカクシ。春先にも同所で良く見かけた気がします。
この虫は深い位置からでも浅い位置からでも出るようで…よく分からない存在です。
ガロアムシはやはり多くは出てこない。
それでもあの時に近い確かな土質…信じて掘り続ける事1時間半。


気づけばこのくらいの穴が出来ていた…(汗)
寝そべるようにして頭を突っ込んだり、色々姿勢を変えながら掘るが結構キツい(そもそも掘り方がヘタクソ)
定期的に上の粘土を崩して取り除き、穴を広げないと掘るのに支障が出てきます。
深さ的には前回イナナガチビゴミムシを出した時と同じくらいまで来ていると思うのですが、それらしき虫は一向に現れません(汗)
少し休憩、という事で周囲で適当に石起こしをやりました(ここでムラサキモリヒラタがたくさん出た)。
地味に期待していたナガゴミムシの仲間は今回は何も採れませんでした。もう時期が遅いかな…
気を取り直してまた穴掘りを再開しましたが手応えはなく…一旦冷静になる。
水の流れ、雨が降った時に浸水する深さ…その辺りを考えながら、掘る方向を変えてもう少し上流方向へ掘り進める事に。
掘り始めた直後、ガガンボか何かの幼虫が固まって出てきました。
それと同時に極めて小さな飴色の虫が出てきた…
「なんだこれ…?」
頭にうっすらと何かが浮かぶ中…とりあえず吸虫管で吸ってみる。

「ちょっと待て!!!!」
「これってまさか!?!?!?」



それは紛れもなく…チビゴミムシの仲間でした。
しかも前回採集したイナナガチビゴミムシとは異なり、複眼を持たないメクラチビゴミムシの仲間です。
おそらくこの虫は長野県でも各地で発見されているクラサワメクラチビゴミムシ属(Kurasawatrechus)の一種だと思われますが、この仲間で今回採集した場所(中央アルプス)が分布域となっている種は図鑑には載っていないし、軽く調べただけだと出てこない…一体何者なのか。
メクラチビゴミムシの仲間は真っ暗な地下での生活を続けるうちに複眼が退化したと言われていますが…必要の無いものを捨てる方向に進化した結果とも言えます。(複眼を捨てた代わりに、体の表面には感覚毛を発達させている)
名前だけで酷い虫だとか言われるメクラチビゴミムシですが…いつかの私はこの虫のそんな生き方にすごく魅力を感じてしまったのでした。
こうやって自分の手で探し当てる日が来るとはなぁ………
以下、採集環境です。



出てきたのは置いてあるパイプハンマーの先の辺り。
地表からの深さで言えば30cmくらいしかない、かなり浅い所でした。
自分にとってのチビゴミムシのイメージは深い所から出る真っ黒なやつ(イナナガチビゴミムシ)で固まってしまってたので今回の個体を見た時は違和感しかなく、かえって変に焦ることもなく落ち着いて対処できたので良かったです(笑)
こんなに浅い所からメクラチビゴミムシが出るとは幸運だなと思ってましたが…帰ってから図鑑を見るとこの類(クラサワメクラチビゴミムシ)は地下浅層性だけでなく地中性という記述があることに今さら気がつきました。
地中性…つまりはナガゴミムシとかが出てくるような浅めの環境でもこのチビゴミムシの仲間は出てくるという事(だと思ってる)
なんにせよ、今日掘っていた場所もチビゴミムシが出る環境で間違ってなかったようです。
過去に同所でやった2回の掘り採集とは全く異なる環境を攻めて、ちゃんと結果を出せました。
なんだよ…ちゃんと自力開拓できるじゃないか。
(運が良かっただけと言われればそれまで…)

(今ならもしかすると…………)
何か危険な考えが頭をよぎった気がする。
もうちょっと。もうちょっとだけ自信を持たせてください(汗)
あと何回か成功体験を重ねたい。

その後も薄暗くなるまで追加を狙って掘り続けましたが…チビゴミムシの追加が出ることはなく終了しました。

アカツノカニムシ
Pararoncus japonicus (Ellingsen, 1907)
盲目種かなと思って採集したカニムシ、普通に有眼種でした。
カニムシの仲間はチビゴミ掘りの時はもちろん、トゲフタオ採集の樹皮めくりでも出会える生き物なので割と縁があって見かける機会は多いです。
格好いいから色々集めてみたくなったけど、同定の壁が厚そうですね…

ルイスヒメゴモクムシ
Psychristus (Nipponobradycellus) lewisi (Schauberger, 1933)
埋め戻しの際にルイスヒメゴモクムシが採れました。
大きさとか色とか、チビゴミっぽくて騙されました…
帰りも新たなルリクワ材を探しながら山道を下りましたが、やっぱり見つからずでした。
ルリクワもちゃんと採れて、チャイロホソモリヒラタなどという者ではなく本物のチビゴミムシも採れ…大変充実した採集でした。
去年と同じ事をやってるようでちょっとだけ前に進めてると思うことができた。
採れるに違いないと思ってたイナナガチビ、まさか採れるとは思ってなかったKurasawatrechusが採れてしまった以上…去年みたいにチビゴミムシ狙いの近場採集をこれ以上やる必要もなくなりました。
で、今後どうするか。
イナオサムシが自転車ではさすがに採りに行けない距離にいる虫である事を数日前に知り、その辺りの面倒くさいオサムシたちに手を出す気もすっかり失せてしまった…
高山のオサムシとかも別に遠出してまで狙いたいとは思わないけど…(頑張れば自転車でも採りに行けるのか??)
そろそろ後回しにしてきた冬のタマムシ採集をやりましょうかね…
いくつか選択肢はあるのですが、どれを選んでも苦行になる予感しかしない(笑)
【結果】 ※色付きは自己初採集
未同定チビゴミムシ
Kurasawatrechus sp.
1ex.

ムラサキモリヒラタゴミムシ
Diacanthostylus integratus (Bates, 1883)
1ex.
ルイスヒメゴモクムシ
Psychristus (Nipponobradycellus) lewisi (Schauberger, 1933)
1ex.

ルリクワガタ
Platycerus delicatulus delicatulus Lewis, 1883
2exs.
チャバネコガシラハネカクシ
Philonthus gastralis Sharp, 1874
1ex.
未同定クモガタガガンボ
1ex.
アカツノカニムシ
Pararoncus japonicus (Ellingsen, 1907)
1ex.

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