トウカイコルリの居るブナ帯へ

今シーズンはオサ堀りのモチベーションが何故か全然上がらない。
イナオサとか、コマガネアオオサとか…ちょっと遠出すれば狙える未採集種もいれば、チュウブオオオサとかテンリュウオサみたいに自転車でも狙いに行けそうな未採集種もいる。
なのに何故か全然やる気にならない…
去年調子に乗って色々オサムシを採りまくった反動が来たのか、まだしばらくはいいかな、という感じです。
まだ手付かずなオサムシには他にも高標高地のオサムシ(ホソアカガネ、アルマン、コクロナガ)があり、これも遠征して狙いに行くほどのやる気はなかった…
もし、近場で狙えるとしたら…?
今までやったことはないけど、移動手段が自転車+徒歩のみでも頑張ればブナがある高標高地まで行けるらしい(そういう採集をやっている先輩もいるというので)
ブナ帯には他にも気になってる虫がいるし、来年の採集の下見も兼ねてという事で…今回頑張って行ってみることにしました。


2018.11.18

一応向かったのはA谷の方ですが…こっちの方にはあまり来た事がない。
スジバナガの時に来た場所の最深部です(→採集記)。
前回は道が途切れたところ(写真の場所)で行き止まりかと思って引き返してしまったのですが、どうやらその先にも道は続いていたらしく…
よく見ると道路のような物の跡(枠というか何というか)や、崩れ落ちた橋のような塊が沢に転がってました。
ここにあった道は随分前に洪水で破壊されてしまっているようでした。
山を登るのに時間がかかりそうなのでこの日は早めに起きて出てきたのですが…ここまでで既に8時を回っていました。もうちょっと早く来た方が良かった(汗)
目的地のブナ帯へ行くにはそれなりに山を登って標高を上げなければなりませんが、登山道のようなものが存在しないので尾根から登っていく作戦でいきます。



ここの標高は1100m程で、既に立ち枯れや落ち枝にルリクワガタの産卵マークが確認できました。
(削ってみるも何も出ず)

藪をこぎ、急斜面を這い上がり…どうにか尾根まで辿り着きました。ここから尾根を登り、標高を上げていきます。
基本的に尾根の周辺はカラマツ林が広がっていて、広葉樹は時々混ざる程度です。
最初はコナラやクリしか見られませんでしたが、しばらく登っていくとミズナラが少しずつ見られるようになり、

ブナも時々見られるようになりました。
尾根上に生えた大きなブナの木は樹洞が発達していました。夏場にここまで来る気力があるとは思えませんが、来たら何か採れそうな気がする…
標高を上げるにつれて下草の笹が多くなり、笹が邪魔で登るのが大変になってきました。
登り始めてから1時間半後。

「もう無理だわ」
自分の肩の高さくらいある笹が繁茂しており、これ以上は前に進む事が出来そうにない(汗)
本当はもっと登るつもりでしたが…ここで尾根を外れて沢沿いの広葉樹の多い方を目指すことにしました。
尾根から離れれば笹は少なくなりますが、その分斜面がキツくなり標高を上げるのが困難になります(汗)
この時点で標高は1500を超えており、目標のブナ帯にもギリギリ入ってそうな感じだったので、横方向に移動しながらブナを探します。

ここまで来るとルリクワガタの産卵痕もごく普通に見つかるようになりました。
しかし出るのは幼虫のみ…

少しだけ登ると、ブナ林とまではいかないもののブナがまとまって生えている場所にたどり着く事が出来ました。
とりあえず落ち枝や枯れ枝を調べていき、未採集種のタマムシであるコガネナガタマムシの脱出孔を探しましたが…それらしきものは一切無かった。
一応今日の主目標でしたが…ここではダメみたいでした(汗)
発生期にブナ帯を訪れる機会が中々無いので、来年はどうやって狙うか考えなければ…
ナガタマは諦めて、もう一つの目標種であるコルリクワガタを探してみる。
ルリクワガタが比較的太めの枯れ枝、立ち枯れを好むのに対して、コルリクワガタは細めで、地面に埋まっている材を好むと言われています。
日当たりの悪い斜面で、枯葉の中に埋もれているような材を調べていくと、確かにルリクワガタより少し小さめの産卵痕が見つかりました。
少しずつ削っていくと…


トウカイコルリクワガタ
Platycerus takakuwai takakuwai Fujita, 1987

中からようやく成虫のルリクワガタが出てきてくれました。
現地では判断に自信が持てませんでしたが、狙い通りコルリクワガタだったようです。
この地点の標高は1518mでした。
この辺りではトウカイコルリクワガタ(基亜種)になります。
トウカイコルリクワガタ(基亜種)は随分前に丹沢で1♀を採集したのみ(→採集記)だったので、♂は今回が初採集でした。
奈良で今年採集したキンキコルリはトウカイコルリの近畿亜種になっているようです。

すぐ近くにあった、苔むした倒木。
標高的に考えて、ここなら高地性のオサムシが出てくれても良いのでは…そんな期待を抱きながら苔を剥がしてみると、下から小さめなオサムシが姿を現した…

クロナガオサムシ
Carabus (Leptocarabus) procerulus procerulus Chaudoir, 1862
普通のクロナガオサムシだった。
翅が茶色く無かったのでなんとなく察しはついていたのですが…
この辺りで採集できる可能性があるのは、コクロナガオサムシの飛騨御嶽木曽亜種(オンタケクロナガオサムシ)ですが…分布域に含まれて無さそうな感じだし、もっと標高が必要かも。
亜種にもよるようですが、コクロナガオサムシはもっと明らかに小さいようなので、見たらコレだと分かるのでしょう…
これ以上登っていくのは時間的に考えても厳しいと思われたので…ここからはルリクワ材やオサムシが入りそうな倒木を調べつつ沢沿いに下っていくことに。
木に掴まったりしながらバランスを取り、慎重に下りなければ…
去年のルリクワ採集ほどでは無いですが、ここもザレ場みたいな環境の急斜面なので体制が崩れると大変な事になりそう(汗)
何回か転倒したものの軽い怪我程度で済みました。しかし本当にヒヤッとしたシーンが何回かあったり(汗)
絶対にこんな所に人を連れてきてはいけない(確信)

相変わらず産卵痕は頻繁に見つかるのですが出るのは幼虫ばかり。
成虫が出やすい材のポイントとかあるのでしょうが、まだまだしっかり理解できてる気がしません(産卵痕の古さ以外の要素)

ミヤママルクビゴミムシ
Nippononebria (Nippononebria) chalceola chalceola (Bates, 1883)
ルリクワ探して材を起こしていると見つかる事がある、ミヤママルクビゴミムシ(この日はこの1頭のみでした)
下の地面が小石(ザレ場って呼び方で正しい?)の環境である事が関係してるのかもしれません。去年のルリクワ採集の時も同じような感じで何頭か見かけました。
少し離れた場所にある細材が(ルリクワ的に)すごい良さそうなオーラを放っていたので、頑張って登って調べに行ってみる。
結構えげつない場所にあったので体を安定させるのに苦労しましたが…割ってみると、また出てくれました。

トウカイコルリクワガタ
Platycerus takakuwai takakuwai Fujita, 1987
幸運にも♂の追加個体を得る事ができました。
写真だと青っぽく見えますが、実際の個体はどちらかといえば緑色っぽいです。
(この間採集したタダルリ♂の方が青い)
〆た後に変色したのかもしれませんが、元からここまで青くは無かった気がします。

材と一緒に。
脱出孔の古さとか、朽ち具合が(これまでの数少ない経験的には)絶妙な感じでした。
しかしこの他に成虫が出る事は無かった…
この地点の標高は1455mでした。

結構下って、沢に近づいてくるとミズナラの林が広がっていました。
笹も程よく生えていて、さっきの場所と比べると湿度が保たれそう。
さっきまで居た急斜面のザレ場みたいな環境(日当たりがいい場所は特に)だと、材が地面に埋まれず乾燥する場合が多かったりする。
倒木もあんまり朽ちないし、あんまり冬季採集やるのに良い環境じゃなかったよなと今更ながら思う(汗)


早速見つけた、苔むした朽木を崩してみると…オサムシとゴミムシが1頭ずつ見つかりました。
まずはゴミムシの方を取り出してみました。

ミヤマクロナガゴミムシ
Pterostichus (Eosteropus) karasawai Tanaka, 1958
こちらは初採集のミヤマクロナガゴミムシでした。
そこそこ大きめで格好いいナガゴミムシです。
オオクロナガゴミムシに雰囲気似てますが、あちらは低地性です。
もう片方、オサムシの方を(ホソアカガネを期待しつつ)引き出そうとすると…なんか見覚えのある口髭が目に入りました。

ヒメマイマイカブリ
Carabus (Damaster) blaptoides oxuroides (Schaum, 1862)
「マイマイかよ…!」
標高は1467m。
こんな所でマイマイカブリに出会うとは思わなかった(汗)
山地で見られるマイマイカブリ…いわゆるヤマイマイは小型化するとか脚が長いとか言われます。
脚の長さはともかく体は小さめ(33mmほど)でした。
それからしばらくして…


「またマイマイかよ!!」
15時頃からは材も大体スルーして本格的に沢沿いを下り始めました。
(暗くなる前に脱出できるか不安になってきたため)
1200m辺りまで下った所で目に付いた朽木を崩すと、またしてもヒメマイマイカブリが採れました(笑)
今度の個体は40mm程ありました。
河川敷でやるより難易度低いんじゃないのか…?
さらに枯れ木のすぐそばにあった材にはルリクワの産卵痕があったので削ってみると、


ルリクワガタ
Platycerus delicatulus delicatulus Lewis, 1883
タダルリの♀が1頭出ました。
材の写真とか全く撮ってないけど、正直出ると思わない材から出たので意外だった…
写真の撮り方の問題で随分と青くなってますが、実際はもうちょっと黒っぽい青です。
タダルリ♀はこの間の採集で1頭得た他には樹皮下で死骸を1頭見ていますが、どちらも同じよう薄暗い色。
黒化型とか言われるこのタイプの個体がこの地域には割と多いのかもしれません。
その後はなんとか下りきり、歩きやすい道まで戻ってきました。
暗くなる前に余裕で帰れると思っていたのですが、結局日没までに山を出られず、ヘッドライトのお世話になった(汗)
冬場の採集だといつも危険な事ばかりしてしまうの、何とかならないのか…
20181118154112b23.jpeg
そんな感じでこの日の採集は終了。普段の採集と比べると随分と高い所まで登ったな…(笑)
高標高地のオサムシには全敗、コガネナガタマもダメでしたが…トウカイコルリ♂が採れてくれたのは本当に嬉しかったです。
また同じ場所を訪れる事があるかは分かりませんが、次行くときはもうちょっと早く家を出るようにしたいですね。
ほとんど移動時間に消費してしまうので…しっかり探索できる時間が少なかった(汗)
ゴミムシとかもっとちゃんと探せたら面白そうな環境はあったんですが、そこまでやってる時間無かった。
高地性のオサムシに関しては、狙う環境や標高をもっとちゃんと考えるのもそうですがそもそもどれも分布域に入って無さそうなので、近場(自転車で行ける範囲)で狙うのは諦めた方がいいかもしれない…(汗)
高標高地でやる事はやったので、今度こそ…
【結果】 ※色付きは自己初採集
2018.11.15(夜回り)

チャバネフユエダシャク
Erannis golda Djakonov, 1929
1ex.


2018.11.17
ヒメマイマイカブリ
Carabus (Damaster) blaptoides oxuroides (Schaum, 1862)
2exs.(33mm, 40mm)
クロナガオサムシ
Carabus (Leptocarabus) procerulus procerulus Chaudoir, 1862
1ex.
ミヤママルクビゴミムシ
Nippononebria (Nippononebria) chalceola chalceola (Bates, 1883)
1ex.
ミヤマクロナガゴミムシ
Pterostichus (Eosteropus) karasawai Tanaka, 1958
1ex.

ルリクワガタ
Platycerus delicatulus delicatulus Lewis, 1883
1ex.
トウカイコルリクワガタ
Platycerus takakuwai takakuwai Fujita, 1987
2exs.

コメント

  1. 匿名 より:

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    ヒメマイマイってこんな小さいんですね…
    もっと大きいのかと思ったら写真見てビビりましたw

  2. 執虫 より:

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    ヒメマイマイだと35〜40mm位が普通サイズじゃないかと思いますが、ホンマイマイとかと比べたらやっぱり小さいですね。

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