2018.12.29
大晦日でも良かったけど、この日は時間が出来てしまったので午後から河川敷採集を行うことにしました。
問題は…何をやるのか。
・湿地でゴミムシ採集、林でマイマイカブリやオサ堀り…
・樹皮めくりでチビタマムシとか…
↑もう散々やったし、毎年毎年同じ事やるのも面白くない。
なんか新しい虫が期待できるならともかく、全く同じ事の繰り返しみたいな感じの採集は正直楽しくない…
ゴミムシなら何か新しい種が望めるかもしれないけど、コレといって狙いもなく採集行くほどのやる気は無かった。
今の自分がやりたい採集、楽しめる採集ってなんだろう…と考えて頭にふと浮かんだのが、
篩採集でした。
特に、ケシマグソコガネの仲間狙いでの砂篩い。
ケシマグソコガネの仲間とは妙な縁があって、ある時は苔めくりで引き当てたり、またある時はオサムシの飼育用に適当に持ち帰った砂の中から大量に羽化してきたり…(笑)
そんな感じで採集自体は出来ているのですが、砂篩いで採集出来た事がまだ一度も無いのです。
いまいちコツが掴めなくて…長い間やらずにいました。
良い機会だし、しっかり時間取って挑戦してみたい!
ということで河川敷へ向かいました。

河川敷へやってきました。
とりあえず砂の多い川のそばへ。
枯れたイネ科植物の根元とかから砂をすくい上げて篩にかけてみる…特に何も出ない。
似たような環境で採集した砂からは大量のセマルケシマグソコガネが羽化しましたが、幼虫が確認できた時期や羽化の時期を考えると(セマルケシマグソコガネに関しては)この時期は卵が多いのかもしれません。
となると狙いはコケシマグソコガネかホソケシマグソコガネ辺りになりそうだけど…この2種が採れる環境が正直よく分からない(汗)
ネットで調べた感じだと砂地と言うよりは芝地みたいな環境で採集されてる方が多いような印象を受けたので、↑の写真にあるような草地で適当にやってみることに。
どこを掘ればいいのかさっぱり分からないけど…
とりあえず、イネ科の枯れ草が少し溜まっていた部分を掘って篩にかけてみる。すると…


ホソケシマグソコガネ
Trichiorhyssemus asperulus (Waterhouse, 1875)
採れた!
あまりにも動かないので死骸かと思ったけど、ちゃんと生きてました。
この環境も間違ってはないみたいだけど…
その後も篩を続けると、たまにハネカクシが出てきたりはしたもののケシマグソコガネの追加が得られることは無かった。
ここ全然芝地じゃないし、ケシマグソコガネのベストシーズン自体今じゃないみたいなので、さっきの一頭はやっぱり運が良かっただけなのかも。

マグソコガネ
Aphodius (Phaeaphodius) rectus Motschulsky, 1866
普通のマグソコガネも出たのでついでに採集しておいた。
結局この他には何もなく、何も出来ず…この日の採集は終わりました。
例年の年末河川敷採集と比べるとかなーり地味な内容ですが、一応目標は達成できたので私はこれで満足です。
来年こそはこの河川敷で採れる(はず)の未採集タマムシ…ホソツツタマムシを見つけたいです。
(あと、完全に忘れてたけどヒラタクワガタもいい加減ちゃんと探したい)
次が今年最後の採集になる。
やりたいと思った採集はただ一つ…未採集のトゲフタオタマムシ♂を求める採集。
あれから1ヶ月経ち、心身に受けたダメージも回復しつつある今なら大丈夫、なはず(汗)
04:43にアラームをセットして、眠りにつく…
2018.12.30_05:10 a.m.
シジミ起き失敗してんじゃねえか…(おかげさまで始発逃した)
電車とバスで本日の目的地…神奈川県の某所へやってきました。
ここはかつて一度訪れ、トゲフタオの採集にも成功した場所(→採集記)。
状況次第ではトゲフタオ以外の未採集種狙いにもシフトできるように、
そして前回掴みきれなかった、トゲフタオが多産する環境を掴むため…再びこの場所を訪れることに決めました。
登山を開始してから、しばらく。
前回トゲフタオをとった場所は確かこの辺り…という所まで来た。
モミの落ち枝を1本拾い上げ、いつもの脱出孔を確認する。
ここぞ、という所で林に入ってみる。

そこはモミと共に立派なスギが多くある林でした。
思い描いていた理想的な環境と完全に一致する…これで採れない訳がない、そう思った(笑)
前回の一頭も奇跡的に思えたけど、環境がドンピシャな事に気付いていなかっただけだったんだな…
唯一、不安だったのは他の採集者に調べ尽くされている可能性でしたが…道から逸れていけばめくれが残されている(新しくめくれが出来ている)スギの木もそれなりにありました。
一本一本丁寧に調べていく…

「んん!?」
めくり始めてから一時間も経たずして、その時は訪れた…

トゲフタオタマムシ
Dicerca tibialis Lewis, 1893
まさかこんなに早く出てくれるとは…これが多産地の本来の力か(汗)

そしてこの個体…目標だった♂でした。
♂は♀に比べるとやや少ないようで、一発目で引けたのは本当にラッキーでした。わざわざここまで来た甲斐があった…
トゲフタオタマムシの♂の中脚には、本種の名前の由来である(らしい)棘が有ります。
♂中脚の棘自体は日本のフタオタマムシ類には共通であるものなので、名前とは関係ないのかと思ってたけどやっぱりこれで合ってるみたい…

出たのはこんな木。
細い樹皮を剥がしたらその下の隙間に寄り添うような形で越冬していました。
とりあえずこれで無事に目標は達成。
まだまだ時間は残されている…こんなにも気持ち的に余裕があるトゲフタオ採集は初めてだ(汗)
もちろん追加を狙って樹皮めくりを続行します。
だいたい30分後。

「こんな感じで、いい樹皮めくれがあるスギの木もたくさんありました」
という文を書くのをイメージして良さげな木の写真を適当に撮ったのですが、なんと…

確かにいい樹皮めくれだなとは思ったけど…

トゲフタオタマムシ
Dicerca tibialis Lewis, 1893
めくる前に写真撮った木から出るという、ちょっとしたミラクルが起きてしまった。
トゲフタオが入る樹皮(めくる前の状態)って普通写真に撮れないから、かなりラッキーだった。
今回の個体は♀でした。これで1ペア…1日で複数採れたの初めてです。
そして、これで終わるはずもなく…
10分後。

根元のショボい樹皮めくれの下で越冬していた♀を1頭追加。
写真撮った後落としたけどちゃんと回収できました。
さらに10分後…


めくった樹皮の少し横くらいの位置にいた♀を追加。
樹皮下で越冬している事が分かる…雰囲気のある写真が撮れました。
これで1♂3♀になりました。
別に、二桁採集したいとか思うほどの欲は無いので、程よいところで切り上げて別の虫の採集にシフトしたいなと思っていたのですが…切り上げどころが分からなくなってきた。
ここでトゲフタオしか採らずに帰ってしまったら、この場所を選んだ意味がない(汗)
しかし、いつもいつも苦行、挙げ句の果てには死にかけるようなトゲフタオ採集で、こんなに楽しい思いが出来ることはそうそう無い…この幸せを噛み締めていたい(笑)
とりあえずこのスギ林を脱出したら終わりにしよう。
それまでにまだ追加が得られるはず…!
しかし…ここで完全に勢いが止まってしまった。
これは出るでしょという樹皮めくれをいくつ調べても、全く出てこなくなった…

最後にトゲフタオを出してから1時間後…ようやく5頭目となるトゲフタオタマムシが出ました。
幸運な事にこの個体は♂、これで2♂3♀となりました。今度こそこれで何も悔いは無いな!
昼飯を食べながら今日の採集で新たに得られた知見を整理する。
・越冬する位置(高さ)に決まりは無い。
→ただし根元の方に隙間のある樹皮めくれが出来やすいので、根元で出る事が多かった(3/5)
当たり前のことだけど、樹皮下に十分なスペースがあることと、そこに外側から入る事ができるだけのめくれが存在する事は大事なように思えました。
・越冬する場所(方角、日当たり)にも法則は見出せない。
→1本1本というより、斜面の向きとか尾根とかそういうもっと大きなレベルで考えなきゃ意味の無い事にも思えるけど。
一応挙げておくと、北×2, 西×2, 東×1でした。
ナミテントウは気温の変化が少ない西側を好むという研究結果があるらしい…
・モミとの位置関係。
→夢中になってて途中は完全に失念してたけど、やっぱり直近(人間が目視で確認できる範囲)にモミが生えていないと、いくら良さげな樹皮めくれがあってもそこに入る(そこまでわざわざ飛んでくる)ことは多くないのかも。
しばらく出なかった時は周りにモミが無いスギ林の真ん中でやってたし、出た時は必ず近くにモミが見える位置だった。
短時間で連続的に採れた3頭はモミが多い尾根のすぐ近くに生えるスギの樹皮めくれからでした。
こんなところでしょうか…

なんといっても採れる数が少なすぎるのでただの推測に過ぎない話にしかなりませんが、自分の目にしっかり焼き付けたあの場所の環境は、確実に今後の採集のヒントになることでしょう。
スギ林を脱出し、トゲフタオ採集はここまで。
ここからはコガネナガタマムシやホソツヤルリクワガタを期待して、山を登りブナ帯を目指す。
結果から言うと、この後何も採れませんでした(笑)
ブナはあったけど…
落ち枝をいくつ調べてもそれらしい脱出孔は無い。
割ってみてもガガンボの幼虫みたいなのが出るばかり。
材はほとんど乾燥してるし、産卵マークもごく僅かしか見つけられなかった。幼虫すら出せなかった…
なによりエグい急斜面ばかりであまり変な所に進む気になれなかった(汗)
そういうわけで午後からは普通に登山して、ちゃんと登頂して(笑)、普通に下山して…それだけでこの日の採集は終わってしまいました。


左: 2014年 右: 2018年
前回と同じ場所で写真撮って並べてみました。
今年は天気も良く、頂上からの景色はとても綺麗に見えました。海まで見えるんだな…
今回のトゲフタオタマムシ。
手前の2頭が♂。♀は♂に比べて少し大きく、赤みが強いように感じます。
トゲフタオでこういう写真を撮る事ができてしまうのが、今の私にはとても贅沢に思える…

これで2018年の私の昆虫採集は終了となりました。
後半の登山は無駄に終わったようにも思えますが、久々に凄くいい景色が見れたので満足です。
採集の方は結局、有名産地に行ってそれ(トゲフタオ)しか採れない、という結果に終わってしまって…情けなかったなと思う所もありますが、最後に楽しい採集納めが出来たことは本当に良かったと思います。ただ膝にめちゃくちゃダメージが入ったようで、筋肉痛とともに苦しめられています(笑)
先月、谷底に落としてしまったものは、トゲフタオと一緒にちゃんと見つけられたかな…
自分がやりたい採集、楽しい採集が出来ることがやっぱり一番。
振り返りは次の記事(すぐ上がるだろうけど)に回すのでここでは語りません。
【結果】 ※色付きは自己初採集
2018.12.29
ホソケシマグソコガネ
Trichiorhyssemus asperulus (Waterhouse, 1875)
1ex.
マグソコガネ
Aphodius (Phaeaphodius) rectus Motschulsky, 1866
1ex.
2018.12.30
トゲフタオタマムシ
Dicerca tibialis Lewis, 1893
5exs.

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