2021.03.24
長野県の下宿先から完全撤退し、新天地に到着したのが16時くらい。
これ採集いけるなあ、行くか。
糖蜜が余っていたので消費しようということで、近くの手ごろな河川敷にやってきました。
見覚えしかない景色だなあ……
「ただいま……(笑)」
そう……ここは中学生の頃から散々通ってきた埼玉県の河川敷です。
就職を機に埼玉に戻ってきてしまいました……
今後転勤とかあると思うけど、スタートはここから。
ということで今回はそういう節目になるたびに訪れていたポイントに来ました。
↑2013年の同地
ここに初めて来てから7年以上が経ち、ハンノキも大きくなって少し雰囲気が変わったなと思います。
長野ではようやく桜の開花が確認されたくらいでしたが、こちらでは梅の花も散り、桜が満開に近い今の時期の糖蜜採集はもう厳しいかも……でも一応やってみます。
糖蜜を撒き、適当な位置にライトトラップをセット。
何か来るのかな……?
この河川敷でライトトラップやったことはもちろん一度もないので、未知の領域です。
場所としては全然、新天地でも何でもないんですがかつての河川敷採集ではやっていなかった事やスルーしてきた分類群が多々存在します。
長野県にいる間に覚えたいろいろな経験値を活かしながら、通いなれた場所の新しい魅力を開拓していきたい……!!
と、そういう気持ちで……
なんだ? 新しい看板が建ってるな。
思えば前からそこにあったような気もするが、ここ1、2年くらいの間に建てられたものの感じがする。
これは……『お願い』?
「な……」
これまで自分が採集を行ってきた場所のほとんどが範囲に含まれており、その範囲内での昆虫採集は『しないで下さい』との事でした。
ミドリシジミやウスミミモンキリガが採れたハンノキ林も、
チビアオゴミムシやヤマトトックリゴミムシが採れた湿地も。
フチトリヒメヒラタタマムシや各種ナガタマムシの採集を行ってきたクヌギ林も。
初めてマイマイカブリを採ったこの場所も。
全てが『お願い』の範囲に含まれていました。
法的拘束力のないこの文言は、国立公園の特別地域とかと同じ。
許可とって趣味の採集するのもなんかおかしい(というか取れない)気がするし、グレーゾーンと言われても私はもうここで採集する気にはなれないだろう……
今後もいろいろ開拓していきたかったですが、それも叶わなくなりました。
でも自分より然るべき立場の人間が、然るべき能力を持った人が、この場所の環境を守ってくれるなら……
……これでいい。何も悲しむ必要なんてない。
自分が『良い環境』だと思っていた場所が、これから守られていく方向に進んでいるのだから……当然喜ぶべきです。
趣味でやっているだけの私は、また他の採集地を開拓して同じような採集ができるよう、頑張ります……
とりあえず今回の糖蜜やライトトラップに来た虫は観察するだけにとどめることにしました。
(最も、採集したいと思えるような虫は見られなかったのですが……)
糖蜜にはスモモキリガやキバラモクメキリガ、ヨスジノコメキリガがそれぞれ1頭ずつ飛来しましたが、どれもボロボロ……
Conistra属は一切飛来せず、ナシケンモンやクチバ類などが来ていたことからも、この辺りのキリガシーズンは終わりの感じでした。
(左: トックリナガゴミムシ 右: ニセトックリゴミムシ)
日没後も15℃近くある暖かい夜で、草地では各種のゴミムシ類が活動を始めていました。
19:30くらいにはやるせなくなったので終了しました。
うーん、結構辛いな……理解はできるんだけど、辛いわ……
2021.03.26
ならば次は大丈夫な場所でやろう。
ということでこの日は何度か夜間ルッキングでお世話になった公園に来ました。
意外と面白いゴミムシがいて、楽しいところです。
(⇓過去の採集記)
2017.09.14免許があと少しで採れそうなので帰省の日程を遅らせることにした。標本の整理や部屋の片付けが落ち着き、絶望的な量を溜め込んでしまったデータ入力、ラベル作りにも終わりが見え始めた。この日の夜は涼しくて雨の予報もなく…夜間ルッキングには良さげだなーと色々考えていたら…
ここではまだ見つけられていないムネアカセンチコガネを今年こそは見つけたいですね。
探し方は心得たので、採れるような気がする……!
なんだ?
新しい看板が建ってるな……(悪寒)
『禁止されている行為』……?
2020年に建てられたこの看板には、禁止行為がイラストで示されていました。
ゴミのポイ捨て禁止、自転車の乗り入れ禁止、キャンプ禁止……

「なんだこれは……一体どういう意味なんだ……?」
チョウ類の捕獲禁止? 蛾類は、ゴミムシはセーフかもしれない。
文章じゃないと、わからないよ……(泣く)
この公園……何年か前に雑木林破壊してバーベキュー場とか駐車場とか作ってなかったか?
河川敷は分かる。でもここで昆虫採集禁止にするのは一体何の意味が……
なんだろう、クワガタ狙いのトラップの放置とかがあったからなのかな。
私みたいな採集者はともかく、カブト・クワガタとか採りたい子供たちにとっては結構酷い規制だよなあ……
……もうそんな人間いない!?
そういう時代は終わったのか!?
とにかく、納得できなくてもルールには従うしかない。
公園を後にして河川敷に向かいました。
河川敷の中で採集規制のかかっていないエリアへ。
枯れ草を起こしたり、ムクノキの樹皮めくったりでお世話になったポイント。
規制範囲からは辛うじて外れていた(救い)。
エノキやクヌギの他、シロダモを始めとする常緑樹も目立つ環境。
ダメ元で糖蜜とライトトラップをやりました。
……マジで何も来ませんでした。
あまりにも何も来ないので、近くを歩いているゴミムシを探すことに。
ツヤアオゴモクムシ
Harpalus (Harpalus) chalcentus Bates, 1873
グラウンドの脇みたいな場所の荒れ地ではツヤアオゴモクムシが見つかりました。
春によく見られる美しいゴモクムシで、芝地や荒れ地のような人的撹乱の影響がかなり強い環境に多い種です。
他は真ゴミムシやマルガタゴミムシなど……
元は水路だった場所が干上がっていました。
結構いい感じに枯れ草が積もっていたので、昼間に改めて調べに来るのもよさそう。
ちなみに、水の残っている場所もあり、そちらにはヒメゲンゴロウと多数のエビ(ヌマエビ?)がいました。
この辺の地域で水生昆虫がちゃんといる水場は一時的な水たまりに限定されます。
干上がったものの湿っている泥の上を見ていくと、見覚えのあるゴミムシを発見。
カジムラヒメナガゴミムシ
Pterostichus (Eurythoracana) kajimurai Habu et Tanaka, 1957
湿地性の小さなナガゴミムシであるカジムラヒメナガゴミムシ。
埼玉県に基産地が存在する種です。
こんなところにも居たのか……!!
ここより上流部の湿地や、下流部の洪水ゴミの下から得ていたので中間のこの場所にいるのも不思議ではないですが……いい感じの湿地に限っているわけではないんですね。
(この個体もまた、洪水で流されて偶然ここに来た個体なのかもしれない)
さらにルッキングを続けていると……かなり大型のクモを発見。
地面に空いた穴にすぐに隠れてしまいましたが、何となく気になった私は穴の中を覗いてみたところ……
穴の中にいるクモの腹部には黄色い模様が見えた。
まさか……!!
頭の片隅にあった、『あの種』かもしれない。
穴の中に適当な枯れ草を突っ込んでみると、中から飛び出し姿を現したのは……
スズキコモリグモ
Lycosa suzukii Yaginuma, 1960
河川敷などの草地や荒れ地に生息するとされる大型のクモで、埼玉県のレッドデータブック(2018)では情報不足(DD)に指定されています。
何年か前に関東某所の有名な採集地で多産することが発覚して、多くの虫屋がゴミムシと一緒に本種も採集してTwitterに写真を上げていました。
そんな訳で普段クモを全く採集しない私の記憶にも残っていました。
近所にもいるクモだったんですね……。
似たような姿のコモリグモの仲間(?)はこの時期、無数に見かけるのですが……本種は頭一つ抜けてデカくて、ちょっと恐怖を感じるほどでした。
腹面から見るとご覧の通り……黄色い模様が目立ちます。
クモ見て『格好いい』って普段あんまり思わないけど、本種は納得の格好良さでした。
とはいえ飼育できる自信ないので、しっかり持ち帰って液浸標本にしました……
こんな感じでこの日の採集は終わり。
公園の採集禁止は絶望しましたが、採集できる範囲内にもまだまだ希望が残されていると感じることができました。
長野県という自然環境の豊かな地域に頼って採集してきた自分にとって、埼玉県の近所で採集を行うにあたっての現実の厳しさをこの数日で思い知らされました。
今までが恵まれ過ぎていた?
これくらいのハンデは背負って然るべき?
もちろん近所にこだわる必要はないけど、近所でできそうなことはできるだけ近所でやっていきたいので……限られた時間とフィールドで、この地の魅力を可能な限り引き出せるようにこれから頑張っていきます。
かつてのように全部を採集記化はしないので(適宜Twitterで昇華するつもり)、あんまりいい結果が出ず採集記ほとんど書けないんじゃないかとすでに不安です……
しかし採集記じゃないものでも書きたい記事はいくつかあるので、ブログの更新自体はこれからも不定期的に続けていきます!



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