中流域の水上戦

2021.05.30
さて、どうするよ今日。
今日は親の車を借りられる日だけど……天気は夕方で崩れるようです。
本来はホソツツタマムシの生息環境を掴むために、過去の記録を参考にもう少し上流側の河川敷に行く予定でしたが……ホソツツタマムシが昨日採れてしまったのでやることが特に思いつかないという事態。

初夏の河川敷とシャーペンの芯

2021.05.29今日は比較的天気もいい。そろそろ6月だし、新しい虫もいろいろ出てきているだろうか……昼からここ最近マークしているポイントを巡っていこう……

今日せっかく車が使えるように用意してくれていたので、どこにも行かないってのもなあ……。
比較的近場で狙いたい虫、か___

結局河川敷に来てしまった。
しかしこの場所は、普段私が訪れているエリアよりかなり上流側にあたる場所で、礫河原が広がっています。
(なぜ礫河原の写真撮ってないのか……)
ホソツツタマムシの産地かどうかは正直分かりませんが、この辺りは一度見に来たかったので。
あと、ここで狙いたい虫もいます。この時期、この環境なら……と期待しつつ。
(今回はあまり真剣に下調べしてないので割と爆死を覚悟している)

コニワハンミョウ
Cicindela (Cicindela) transbaicalica japanensis Chaudoir, 1863
水辺から離れると砂質の道も多く、足元に注意しているとコニワハンミョウがよく見つかりました。
近所ではまだ見つけられていませんが、いそうな場所に心当たりはある。
ハンミョウ類は少し前までオサムシ科の中に入っていたのですが、また『ハンミョウ科』として独立したみたいです。行ったり来たりしないで……
河原に出たら水際の浅い部分を歩きながら進めるだけ進んでいきます。
今回は長靴を持ってきたので浅い水であれば多少は突き進めます。
狙いの虫は多分川岸を歩き続けていれば出会えると思うんだけど……まるで気配がない。
それより段丘斜面に大きなエノキの林が成立しているのが気になる。
今日はちゃんと見ないけど、これはこれでまた調べに来る必要があるかもしれない。
やばい……全然何も採れない。
殺風景な河原を歩きながら時間だけが過ぎることに焦りを感じ始める。
本流に流れ込む小さな支流があったので、覗いてみる。

左:ドウイロミズギワゴミムシ
Bembidion (Bracteon) stenoderum stenoderum (Bates, 1873)
右:ホソチビゴミムシ
Perileptus (Perileptus) japonicus Bates, 1873
水際の砂地にゴミムシがいました。
ホソチビゴミムシはこういう環境にいるものだったか……正攻法で見つけられたのは初めてでした。
やがて河原の端に到達し、水際まで植物のある環境に続きます。

確か……こんな感じだった気がする。
今日狙っている虫の一つは、このような環境でみられる種……というか、こんな環境で採集している方の採集記をかなり前に読んだ覚えがある。
そんな事を思い出しながら水際を眺めていると……まさしくイメージ通りに黒い翅を羽ばたかせる者の姿が。
これ……だったりする!?

飛ぶのはゆっくりなので、捕獲も難しくはない。
さてこれはハグロトンボかアオハダトンボか……どこがどう違うんだっけ(笑)

ハグロトンボ久しく採ってないから自信持てないけど、この青みがかった美しい翅の色は……!!
その場でググって調べてみる……。
アオハダトンボ
アオハダトンボ
Calopteryx japonica Selys, 1869

少し離れた場所に別個体が止まったので写真を撮りました。
翅の色は青味が強く、腹部の先端付近(下面側)が白くなるのが特徴の本種は……紛れもなく狙っていたアオハダトンボでした。
よく似ているハグロトンボがかなり水が汚そうな水辺や水路でもみられるのに対して、アオハダトンボがみられるのは河床が砂質で抽水植物や沈水植物が豊かな水の綺麗な河川に限定されます。
そのため水質の悪化や護岸工事の影響を受けやすい種であり、埼玉県RL(2018)で絶滅危惧II類(VU)、環境省RL(2020)で準絶滅危惧(NT)に指定されています。
ちなみにハグロトンボとよく比較される本種ですが、分類的にはミヤマカワトンボの方が近縁みたいです。
※アオハダトンボとミヤマカワトンボは同属(Calopteryx:アオハダトンボ属)、ハグロトンボは別属(Atrocalopteryx:ハグロトンボ属)。全然知らなかった。
アオハダトンボはずいぶん前から憧れの虫の一つだったので、今回出会えて本当ににうれしかったです。
航空写真からの雑な予想ではあったけど、ちゃんと本種の生息環境を正しく認識できていたようでよかった。
全く探しに行かなかったけど長野県の大学の近所にも普通にいたのかな。いたんだろうな……。

アオハダトンボはその後も水際の植物付近を飛ぶ個体を何頭か確認できましたが、サナエトンボの仲間は……
あっ、いた。 これだ!!
茂みから飛び出したサナエトンボは、旋回して私の方に___
ちょっと、距離が近すぎる……!!

「ええ…………」
構えていた網の柄の部分に彼は止まった。
間違いなく今日の大本命であるアオサナエなのですが、この状態になったら無理でしょ、
無理でした……。
この後も水際をぐるぐると飛んでいたのですが、水上で網を振り回すのが思いのほか難しく、何度も逃げられた挙句とうとう採れませんでした……。
今気づいた。
川の中でトンボ採集するのに9mの網は必要なかったんでは……!!(遅すぎた気づき)
水に入って虫採りする経験が浅すぎて気づきませんでしたが、取り込みの時に三角缶の存在意義を理解させられたり(タッパー派)、網持ったまま写真撮るの難しかったり、網の底が抜けてパーツ流されそうになったり……大変でした。
トンボ屋さんも大変な採集してるんだな……。
ホンサナエ
ホンサナエ
Shaogomphus postocularis (Selys, 1869)

アオサナエには逃げられてしまいましたが、水際のヤナギに止まっていたホンサナエを採集。
仕事で訪れた現場で見たことはありましたが採集は初めて。太太短い体形が特徴のサナエトンボです。
アオサナエは底質が砂礫の河川中流域~上流域で主にみられるのに対して、ホンサナエは底質が砂泥質の河川中流域~下流域でみられる種とされていて、両者が好む環境が重なる中流域では同時にみることができる場合もあるのだそうです。

ここ、なかなか良い環境だったんだな……。
ホンサナエは埼玉県RL(2018)でVU。アオサナエ(NT1)より生息環境の主体が下流側にあることで水質の悪化による影響をより受けやすかったのでしょうか……。
なお、下流域にもいるホンサナエは実家近所の河川敷でもおそらくみられる種だと思っているのですが……まだ見つけられていません。
今年のシーズンはもう遅いけど、来年は川に入って探してみようかな。
その後もアオサナエが諦めきれず川の中に立ち尽くしていると、こちらに向かって飛んでくるトンボのシルエットを確認。
これなら___いける!!
コヤマトンボ
コヤマトンボ
Macromia amphigena amphigena Selys, 1871
アオサナエじゃないんだけど何これ、は?……コヤマトンボか。
本種も河川中流域に生息するトンボの一つ(近所の河川敷でも採れたけど)。姿が似ているオオヤマトンボは池を周回している種で、生息環境が全く異なります。
コヤマトンボの採集は人生4回目くらいだったと思うけど、初めて正しい環境で採れた気がする。
今までのはみんな変なところで摂食飛翔してる個体だった。
綺麗な個体だったが、色残しはめちゃくちゃ失敗してしまった……。
しかし水の中に入ってトンボを採るというのも新鮮で楽しいですね。
このポイントだけで一日が終わってしまいそうになってきた……もっといろいろ見て回りたいのでアオサナエは諦めます
また来年こよう!
アイヌテントウ
アイヌテントウ
Coccinella ainu Lewis, 1896
川岸を歩きながら戻る際、アイヌテントウを何頭か見つけました。県内では初遭遇でした。
礫河原に生える植物(河原植物に限定されない)についているのを見ることは多いですが、その他の環境では全く見かけないので礫河原の喪失は本種の生息地喪失に直結してしまうかも……?。埼玉県RL(2019)ではNT2です。
その後は一度車に戻り、少し場所を変えて別の河原を目指します。

道中、カモジグサの多い場所がありました。
草原の構成種を見る限り……前日採った環境とほぼ同じ。ここなら採れるはず!

ホソツツタマムシ
Paracylindromorphus japanensis E. Saunders, 1873

え、ほんとに採れるじゃん
今回はこの一頭しか採れなかったけど、マジでこんな環境でいいんだな……
さらに草原のスウィーピングを続けていると、再会したかったあの虫が入りました。

クロトゲハムシ
Hispellinus moerens (Baly, 1874)

いつぞやの東京クロケシタマムシ採集の時に目視で発見し、確保前に落としてロストした因縁の虫……。
ススキにつく虫ですが、山地帯のススキにみられるのは大抵、というか全部クロルリトゲハムシ(棘がより長い)で、本種は低地帯の虫というイメージでした(実際どうなのかは知らない)。
今回は無事に確保し、ようやく初採集となりました。
でもススキらしき植物をすくった記憶はない……どこかに混じって生えていた?
それから無事河原に到着し、同じように水際を歩きましたが……

こちらではアオハダトンボの雌を一頭見たのみでした。
しかもこのあと捕獲後に逃げられるという……
※ハグロトンボの雌は翅に白紋を持たないので、この見た目ならアオハダトンボの雌で確実です。
時刻は15時頃。
そろそろ天気が悪くなってきたので本日はここまでで切り上げて帰宅することにしました。
採り損ねたものもあったけど……アオハダトンボを始めとする中流域のトンボにしっかり出会え、かつホソツツタマムシもちゃんと採れた今日は『うまく当てられた』感じがして、行ってみた甲斐があったなと思いました。
今日は回り切れなかったけどよさげな河原ポイントはまだたくさんあるので、またいずれ行きます。
ムカシトンボのおかげかトンボ採集モチベーションがかつてなく高い2021年。
今回は珍しくトンボを主目的とする採集に出ましたが、やっぱちゃんと採れると楽しいですね。
もう、少しづつ美しいヤンマ類が出てくる季節です。
今年は黄昏採集というものをちゃんと成功させてギンヤンマ以外のヤンマも採ってみたいです。
そして今年こそあのヤンマを採るんだ。
なんとか近所で見つけたい……!!

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