クワコの幼虫を見つけたので飼育して成虫を羽化させてみた【カイコの原種】

クワコ幼虫の発見

5月4日に河川敷に出かけた時のことです。
道沿いに生えているヤマグワにクワコの幼虫がいました。
クワコの幼虫
若いクワコの幼虫はアゲハの幼虫に似ている
クワコ Bombyx mandarina mandarina (Moore, 1872) はカイコガ科のガの一種で、養蚕に用いられているカイコ B. mori (Linnaeus, 1758)の原種(野生種)=祖先と考えられています。
クワコの分布は広く、国内では北海道からトカラ列島まで各地に広くみられ、台湾、朝鮮半島、中国にも分布します。
別名を「クワゴ」ともいい、卵から成虫に至るまで毒はありません。
クワコとカイコは色が異なるものの見た目はそっくりで、どちらもかわいい成虫になります。
最近、SNSやYouTubeなどでカイコ成虫の「かわいさ」が注目されるようになりました。
その影響で母がカイコの飼育に興味を持っており、私もクワコに出会えないか気にしていた所でした。
同じ木にいた3頭のクワコ幼虫を持ち帰り、家で飼育してみることにしました。
本記事では幼虫飼育から成虫羽化に至るまでの過程をご紹介します。

クワコ幼虫の飼育

クワコの飼育にまず必要なものは、幼虫の食べ物となるクワの葉っぱです。
ヤマグワでもマグワでも、どちらでも飼育できます。
ヤマグワ
明るい雑木林に生えていたヤマグワ
マグワ
道端に生えていたマグワ
クワは林縁や川沿い、住宅地の公園など至る所にふつうに生えている樹木です。
深く切れ込む特徴的な葉っぱの形を覚えれば、見つけることはそう難しくありません。
いくつか調達先を確保しておけば、幼虫のエサに関して困ることはないでしょう。
クワの枝ごと飼育する場合、容器は縦置きした虫かごや縦長のケージがいいでしょう。
たくさんフンをするので、蒸れてカビが生えないように風通しのいいケージを使うことがオススメです。
クワコの飼育ケージ
私はニホンヤモリの飼育で以前使ったこのケージを使いましたが、水替えや掃除などのメンテナンスがしやすくて都合がよかったです。
ジェックス EXO TERRA (エキゾテラ) グラステラリウム ナノ PT2601 フロントドア 爬虫類飼育ケージ W21.5×D21.5×H33cm
ガラス製のケージなので観察もしやすくていいですね。

ケージの底にはペーパータオルを敷いて使いました。
クワの枝を交換するのに合わせて取り換える感じです。
エサとなるクワの枝を長持ちさせるためには、水替えを毎日行うことが大切です。
(毎日葉っぱを採ってきて入れる、でも良い)
今回は水容器として、ペットボトルの口部分を切ったものとコップを合体させたものを使いました。

枝を水替えの度に固定しなおす必要がない
このスタイルは幼虫が水に落ちる心配がなく、かつ水替えが非常に楽で良かったです。
持ち帰った幼虫はすぐに脱皮をして大きくなりました。
この時、うまく脱皮できなかった1頭が死亡してしまいましたが、残り2匹は最後まで飼育できました。
クワコの幼虫
鳥糞っぽかった見た目も変わった
クワコの幼虫は小さいときは鳥糞に擬態して、大きくなるとクワの枝への擬態に変わっていくようです。

クワの枝にそっくりな見た目で、うまく溶け込んでいます
最初1匹しか見つけられなかった(笑)

クワコの幼虫といえば、威嚇のポーズが有名です。
今回の飼育でそれを見せてもらうつもりだったのですが、もたもたしていたら見る前にさっさと蛹になってしまい……見そびれました。

しかし後日、野外で再びクワコの幼虫に出会えた
この子を少しつついて威嚇を見せてもらうことにしました。
クワコの威嚇
ヘビの頭みたいに見える?
幼虫自体が小型だったため迫力はそこまでなかったですが、胸部を大きく膨らませて威嚇する姿を見せてくれました。
この姿で捕食者を驚かせている……らしいです。効果あるのかな。

クワコの繭づくり

飼育開始からちょうど1週間がたった日、早くも1頭目が蛹になる準備を始めました。
クワコの蛹化
糸を吐いて葉をつづる幼虫
クワコの幼虫は吐き出した糸でクワの葉をつづり、そこに繭を作って蛹になります。
飼育下では葉がなくてもケースの隅などで蛹化できるようです。
蛹化のために土の用意がいらないのは楽でいいですね。
2頭目も翌日に蛹化の準備を始めました。

1頭目に比べると雑な蛹化位置
ということで、幼虫の飼育はたった一週間で終わりました。
あとは羽化を待つだけです。
蛹化完了まで数日待ってから、余計な枝を取り除いて蛹だけをケージに残しました。

2頭目の繭は左側の巻かれた葉っぱの中
クワコの繭
クワコの繭が出来上がりました
これがクワコの繭です。繭の糸が絹糸、シルクの原料です。
カイコとクワコの繭の違いは色です。カイコの繭は白色ですが、クワコは黄色い繭を作ります。
この繭から絹糸をとるためにクワコを家畜化していった結果、今のカイコになったと考えられているわけですね。

クワコの羽化

クワコの成虫は野外では6月半ば頃から出るとされていましたが、飼育ケージを除いても変化の無い日が続き、気づけば7月半ばになっていました。


2024.07.17
1頭目のクワコが羽化したのは、蛹化から64日もたった日のことでした。
死んだかと思ったよ……
(2頭目は現時点ではまだ羽化していません)
蛹になってから羽化までの日数には個体によって幅があるそうです。
ふつうは2,3週間程度で、長いと3,4カ月にも及ぶという……
私の個体の蛹期間はまあまあ長かった方ということですね。
クワコの成虫
クワコの成虫
カイコは真っ白ですが、クワコの成虫は褐色の見た目をしています。。
クワコとカイコは別種の扱いではありますが、容易に交雑させることができるといいます。
雑種はどんな色をしているのでしょう……?
クワコ
クワコもかわいい
クワコの成虫には口がありません。
これはカイコも同様で、成虫になってからは何も食べずに生きる昆虫です。
クワコの雌雄は触角の大きさ(♂は大きくクシ状)や腹部の太さ(♀でより太い傾向)で見分けることができます。
触角や腹部の大きさを見る限りこの個体は♂のようです。
カイコ成虫の寿命が一週間程度と言われているので、クワコ成虫の寿命も同じくらいなのだろうと思います。

クワコの生態や探し方について

最後に、クワコを見つけたい方に向けて生態や探し方をまとめてみました。
カイコとクワコの大きな違いの一つに、飛翔能力を持つかどうかがあります。
カイコの成虫に飛翔能力はありませんが、クワコの成虫は活発に飛ぶことができ、灯りによく飛んできます。
かなり寒くなる11月頃のライトにもわりと来る印象です。
ライトトラップや街灯巡りを行っていれば、どこかのタイミングで遭遇できるはず!
個人的には11月の寒い日が一番出会いやすい気がします……そんな気がしませんか?
クワコの発生は年3回ほどと考えられており、成虫の発生時期は6月~11月頃とされます。
今回飼育したのは1回目の発生個体群になるのでしょう。
幼虫を探すなら5月頃~10月頃が見つけやすいはずです。
秋に出たクワコは産卵後に生涯を終え、卵で越冬します。
冬季に卵を探すのは少し大変かもしれませんが、羽化後の繭が枝からぶら下がっている場合があるため、発生木探しは冬でも行えるでしょう。
マグワ
農耕地のマグワ
クワコの生息地としては、河川敷や農耕地などクワが多く生えている場所が好まれるでしょう。
幼虫は生えているクワの数に対してさほど見かけない印象はありますが、珍しい虫ではありません。
公園にポツンと生えているクワでも幼虫を確認しているので、街中で見つけることもあり得ます。

ということで今回は、身近な所にもみられて妖精のようなかわいさをもつクワコを紹介しました。
見たことがないという方は本記事を参考に探してみて、幼虫飼育もぜひやってみてください。
かわいい成虫を拝みましょう!

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