スマホアプリを活用した野鳥フィールドノートの書き方【eBirdの使い方】

野鳥の観察記録をアプリで電子化しよう

野鳥観察を行っているそこのあなた、フィールドノートはつけていますか?
なんとなく鳥を見たり写真を撮ったりするだけでなく、観察した記録を形に残すことには大きな意味があります。
ある地域における野鳥の分布や移動の時期、季節による行動の変化などの記録は貴重なデータです。
自分自身が振り返れるだけでなく、第三者が参照できる形で保存することが望ましいでしょう。
そんな目的で作成するのがフィールドノートです。
野鳥観察において、フィールドノートには観察した野鳥の種類や個体数、行動などを記録するのが一般的です。
しかし、現場で手書きでまとめるのは時間がかかるし大変ですよね。
書いたノートもしっかり整理しないと後から参照するのが難しくなってしまいます。
私は野鳥観察を始めてからそろそろ4年が経ちますが、この手間が耐え難くてずっとフィールドノートをつけずにいました。
しかし最近、スマートフォンアプリの「eBird」を使って野鳥の観察記録をつけ始めまして、これが思いのほか良かったので本記事で使い方を紹介しようと思います。

eBirdでできること

eBirdはインターネットを介して世界中のバードウォッチャーの記録を集約する、世界最大の市民参加型の野鳥観察記録データベースです。
無料のアカウントを作成すれば誰でも探鳥記録を投稿でき、そのデータをシェアできます。
以下のスマートフォンアプリを使えば、野外でバードウォッチングを行いながら簡単に記録を取ることができます。

eBird

eBird
開発元:Cornell University
無料
posted withアプリーチ

探鳥データを詳細に記録

eBirdを使うと、たとえば以下のようなバードウォッチングの情報をまとめて記録できます。

  • 観察日時(所要時間)
  • 観察した野鳥の種類、種数
  • 観察した野鳥の個体数
  • 野鳥の写真、音声データ
  • 歩いたルートと距離


記録した野鳥観察のデータ
アプリのインストールからの設定などの細かいところは日本野鳥の会のページ(「eBird」の使い方)を参照していただくとして、ここではアプリやウェブサイトの画面を示しながらできることを紹介します。

種名と個体数をあわせて入力していく
アプリでの入力画面はこのようになっていて、上部から種名を検索し、個体数は回数タップまたは直接入力で入れられます。
野鳥観察を行いながら効率的に入力できるような構成になっていて、観察の妨げにはなりません。

種名欄をタップするとさらに詳細が入力できる
詳しい行動の記録も行えます。
下の繁殖コードから選んでもよいし、自分で詳細を入力することでも記録できます。
写真と音声データの登録は、ウェブサイトからのみ行うことができます。

自分のチェックリストを表示し、「視聴覚メディアの追加」を選ぶ
ウェブサイトでできることはいろいろあるのですが、なかなか構造が複雑で目的のページにたどり着くのが大変な印象があります。
私もまだ、ウェブサイトの全体像をつかめていない感じがある……

観察記録の確認とCSVダウンロード


ライフリストや観察記録のリストはまとめられ、検索できるようになる
さまざまな条件で抽出をかけて観察記録を表示できます。

  • ある「種」における観察記録
  • ある「場所」における観察記録
  • ある「期間」における観察記録

など……

種単位での自分の観察記録の表示。マップ表示はできないみたい。

場所単位での観察記録を棒グラフにしたもの。まだ1ヵ月しかやってなくて……
パソコン上でこうして表示したデータは、CSV形式でダウンロードできます。
ダウンロードしたCSVデータはExcelなどで開くことで表にできます。
ふつうに開くと文字化けする場合があるので、以下の手順で開くといいでしょう。

新しいブックを開き、「データ」から「テキストまたはCSVから」でファイルを開く
ダウンロードしたCSVファイルを指定して開いたら、文字コードを指定します。

「元のファイル」のところがUTF-8になっていればOK

こんな感じの表ができます
観察記録をデータベース形式にまとめたり整理する上で非常に役に立つと思います。
自力でこれをまとめようとすると膨大な労力がかかりますよね。
逆に、すでに観察記録のデータベース化を行っている場合は所定のフォーマットに合う形に変換することでeBirdに取り込むこともできます。
過去の観察記録を全て投稿して、ライフリストをeBird上で確認することも可能です。

観察記録は世界中と共有される

eBirdに送信した内容はもれなく全世界に公開されるオープンデータとなります。
これにより、学術研究に活用される可能性を簡単に生み出すことができます。
研究以外にも、バードウォッチャーの情報収集に利用されます。
たとえば珍しい鳥を観察した時など「自分用に記録は残したい、だが公開はしたくない」というシーンでは観察記録を非公開にもできるため安心です。

チェックリスト・ツールの「eBirdのアウトプットから非表示にする」で非公開にできる
ほしい機能はほぼ入っていて、野鳥フィールドノートの代わりとして使うにはこれ以上ないくらいオススメできます。
唯一欠点を挙げるとすれば、野鳥以外の生物の記録に対応していないことでしょうか……

その他のフィールドノートアプリなど

野鳥の観察記録を投稿したり整理したりできるWebサイトやスマホアプリはeBirdのほかにもいくつかあります。
eBirdが合わないなあ、と感じたらほかの選択肢も検討してみてください。

バードリサーチのフィールドノート

NPO法人のバードリサーチが公開しているウェブサイト上には、フィールドノートの機能があります。
利用登録(無料)を行うことで観察記録を投稿することができます。
スマホアプリは存在しないため、スマホから都度ウェブサイトにアクセスして使います。
フィールドノートのページをブックマークしておくとよいですね。

基本的な入力方法はeBirdと似ている(種名と個体数)
eBirdと違うのは、写真や音声データの紐づけができないことです。
写真整理の目的では利用できないことに注意が必要です。
なおバードリサーチのフィールドノートにも非公開の設定があります。
ふつうに投稿したデータはオープンになり誰でも検索できますが、非公開にしたものは他者に表示されません。
種別に非公開にもできますし、調査地点単位ですべての記録を非公開にもできます。

公開したくない観察記録は非公開にできる
また、「今シーズン初認」の欄もバードリサーチならではですね。
バードリサーチは季節前線の追跡に力を入れていて、集まったデータもまとめて公開しています。

バードリサーチのホームページで公開されているヒバリの初鳴き記録
https://www.bird-research.jp/1_katsudo/kisetu/index_kisetu_kekka.html

eBirdは世界規模のプロジェクトなので、日本国内で集められたデータが具体的にどう活用されているのかが見えづらい部分があります。
それに対して国内向けのバードリサーチは分かりやすく活用事例を示してくれます。
活用例が示されていれば、投稿するモチベーションにもつながりやすいですね。

iNaturalistをフィールドノートにしてしまう

iNaturalistは言うなればあらゆる生物に対応したほぼeBirdです。
ふつうは写真か音声データとともに観察記録を投稿するものですが、なくても投稿はできるためこれをフィールドノート代わりに使うことも可能です。
スマホアプリがあるので、野外で観察を行いながらの入力も苦ではありません。

位置は勝手に取得してくれるし、位置情報の公開・非公開も選べる
生物のカバー範囲が広いかわりに野鳥の記録に重要な個体数の入力欄が存在せず、メモ書きとして残す程度しかできません。
しかし野鳥以外の生物についても包括的に観察記録を残し、確認や整理を行いたい場合はiNaturalistがオススメです。
iNaturalistの使い方は別記事で解説していますので、よければそちらもご覧ください。
私は主に撮影した生物写真の整理目的でこのサイトを利用しています。

「iNaturalist」の使い方 〜生物写真・観察記録の整理と共有〜

「iNaturalist」の使い方 〜生物写真・観察記録の整理と共有〜

写真も立派な「観察データ」野外に出て動植物の採集や観察を行う方々は、明確な目的がない場合でも何らかの観察記録を取ることが多いと思います。フィールドノートを書くとか、採集して標本を作るとかありますが……その中でもお手軽なのは「写真撮影」ですよね…

Zoopickerは観察記録をバードウォッチャー間でシェアする場として

Zoopickerは野鳥の観察記録を写真付きで投稿できるウェブサイトです。
スマホアプリもなく、現地記録するというよりは帰宅後に写真と合わせてまとめて記録するのに向いています。

Zoopickerでのフィールドノート記入例
一応個体数も記録できるようになっていますが、Zoopickerに投稿した内容は基本的にバードウォッチャーの情報収集にしか使われていません
投稿にあたって使える位置情報も、有名探鳥地でなければ市町村くらいまでで細かい指定ができないなどの問題もあります。
観察データを整理する場、というよりは純粋に観察記録を同好の士にシェアする場所として考えるのがよいかと思います。

投稿した写真の撮影設定なども自動で公開される
撮影の設定や探鳥の内容をシェアするブログに近い感じですね。

フィールドノートアプリ「Nレコ」を使うのも手

フィールドノートアプリの話をする以上は無視できない存在が、「Nレコ」というスマホアプリです。

Nレコ | フィールドノートアプリ

Nレコ | フィールドノートアプリ
開発元:Tohru Miyahara
無料
posted withアプリーチ

Nレコはスマホアプリがメインのサービスで、基本的にどんな生物でも記録ができるようになっています。
投稿データは公開されず、個人的な観察記録の蓄積用に使えます。

Nレコにおける入力画面(個別)
Nレコには無料プランと有料プランがあり、両者で機能がだいぶ異なります。
無料版には個体数を入力する欄がありません。
個別の観察記録にはメモ欄もなく、行動などの記録もできません。
個別に写真を紐づけることもできず、無料版を野鳥記録のフィールドノートとして使うには都合が悪いです。

機能比較。右が有料プランで使える機能
写真や音声、コメントの追加は有料プラン(2,200円/年)で解放されます。
お金に余裕があれば使ってみてはいかがでしょうか……
eBirdやバードリサーチとの違いは、1データごとにポイントを記録できるところです。

種ごとに位置を分けて記録していくことができる
iNaturalistでは同様に種別にポイント記録が行えますが、eBirdやバードリサーチのフィールドノートでは代表地点を指定して、観察記録をまとめる形式です。
よく移動する野鳥の記録としては代表地点で問題ないでしょうが、ピンポイントな観察位置を記録したい人には1地点ずつの記録形式がいいですよね。
Nレコには記録データのCSV出力という機能がありますが、これも無料プランではできそうでできません。
まだ機能が少ない上に無料でできることにも制約が多く、このアプリをオススメできる要素が今のところ見いだせていません
iNaturalist使えばいいし、何ならスーパー地形の方が無料でできることが多い気がする。
ただし、機能の拡充やアップデートが最近でも行われていて、今後良くなる可能性も秘めています。
SNSやレビューなどでたくさん文句感想を言って改善してもらうのがいいのかもしれません(笑)

まとめ

本記事では野鳥のフィールドノート代わりに使える5つのサービスについて紹介しました。
結局どれがいいのかというのは各々の目的によりだと思いますが、私は野鳥のフィールドノートとしては総合的に自由度が高いeBirdを利用することをオススメします。
各サイト・アプリの比較を以下の表にまとめてみました。
フィールドノートアプリの比較
〇が多いほどオススメ度が高いです
オススメ度はeBirdが一番高いですが、何も一つだけに絞って利用する必要はありません
季節前線の投稿だけバードリサーチでやるのもアリだと思うし、ブログの代わりにZoopickerで投稿して他のバーダーと交流を図るのも良いと思います。
私は今のところeBirdで野鳥観察の記録を投げつつ、写真を撮った生物はiNaturalistに投稿するという二刀流スタイルで観察記録の共有・整理を試みています。
(バードソンの時だけバードリサーチ使った……(笑))
eBirdでの観察記録の投稿
今回紹介したeBirdほか4つ以外にも、観察記録を投稿するアプリとしてはいきものログやBiomeなどがあり、植物専門のアプリもいくつかあるようです。
今回は野鳥のフィールドノート代わりに、というテーマだったためそこまでは紹介しませんでしたが、興味があれば調べてみてはいかがでしょうか。
↓今回紹介したアプリとウェブサイトのリンク集

eBird Japan

日本野鳥の会 : 「eBird」の使い方

日本野鳥の会 : 「eBird」の使い方

ここでは、eBirdの使い方をご紹介します。これからeBirdを始める方は、ぜひご覧ください。 eBirdの使い方(動画) eBirdの概要と、基本的な使い方を、15分ほどの動画でご紹介しています。 1.アカウントを作成 […]

eBird

eBird
開発元:Cornell University
無料
posted withアプリーチ

バードリサーチのフィールドノート

フィールドノート&バードソン

フィールドノート&バードソン

スマートフォン、タブレットパソコンで利用できる野鳥記録データベースです。バードリサーチの会員IDでログインして野鳥記録を入力できます。非会員の方は、フィールドノートのメニューで利用者登録をしてくだい。

iNaturalist

「iNaturalist」の使い方 〜生物写真・観察記録の整理と共有〜

「iNaturalist」の使い方 〜生物写真・観察記録の整理と共有〜

写真も立派な「観察データ」野外に出て動植物の採集や観察を行う方々は、明確な目的がない場合でも何らかの観察記録を取ることが多いと思います。フィールドノートを書くとか、採集して標本を作るとかありますが……その中でもお手軽なのは「写真撮影」ですよね…

iNaturalist

iNaturalist
開発元:iNaturalist, LLC
無料
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ZooPicker

バードウォッチング/野鳥観察のことならZooPicker | ZooPicker

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Nレコ | フィールドノートアプリ

Nレコ | フィールドノートアプリ
開発元:Tohru Miyahara
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