生物分類技能検定2級(動物部門)の勉強法と参考書の紹介

生物分類技能検定とは、 取得するメリットは

生物分類技能検定とは、生物にまつわるさまざまな知識を問う資格試験です。

引用:各級のレベル一覧(自然環境研究センターHP)
http://www.jwrc.or.jp/service/approval/examinee/class_list.htm

4級から1級まで、大まかに4段階に分かれたレベルが設定されており、2級以上は生物のプロレベルとされています。
1級を受験するためには2級の合格と3年の業務経験が必要ですが、2級までは受験資格の制限がありません。いきなり2級を受けても良いのです。2024年試験において2級の最年少合格者は、なんと15歳でした。
生物分類技能検定は2級以上の資格を持っていると、国や自治体が発注する業務を会社が成約する上で有利に働くことがあります。
「この業務は生物分類技能検定2級以上の技術者を配置すること」みたいな条件が業務に設定されることがあるためです。
生物系の仕事をしようと考えている方にとっては就活で有利に働きますし、もう既に働いている方でも自分の専門性の高さを証明するものとして活用できます。
資格としての知名度が低いので、本当に生き物専門の会社とかでないと「なんか面白い名前の資格持ってるね(笑)」で済まされてしまうこともあるようですが……2級取得の難易度はかなり高いです。(5~15%ほど)
したがって、この資格(2級以上)とその難易度を知っている者からは一目置かれる存在になれる……それが生物分類技能検定2級の魅力です!
私は2021年から環境コンサルに勤務している者で、入社後にこの試験のことを知り受験を強制され勧められ……2022年の試験で動物部門の2級になんとか合格できました。
本記事では当時のことを振り返りながら、動物部門の2級でどんな勉強法が有効なのかについて述べていこうと思います。

過去問を買い、それをベースにする

生物分類技能検定2級では、部門ごとに過去問が毎年販売されます。
最新の過去問をとりあえず買いましょう。
実際に試験問題に触れることが何より重要です。

2025年度 生物分類技能検定 試験問題集 2級 動物部門

生物分類技能検定の受験対策に欠かせない過去問題集! 2021~2024年度(最近4回分)の2級動物部門の試験問題と解答を掲載。

過去問をまず解いたら、まず絶望すると思います。
合格ラインは65点~70点以上とされていますが、一発でこのラインに到達できる人はバケモノです。
私もはじめてやった時は得意の昆虫ですら「なんだこれ……?」って問題もあってかなり焦ったのを覚えています。
でも大丈夫です。問題は毎年変わりますが、出題の傾向はある程度定まっているので過去問で出た話題+αの勉強を続けていればいつかは太刀打ちできるようになります。
正答を覚えるのではなく、問題で問われている内容と、関連情報をセットで勉強していくことが大切です。
例えば、以下のような問題があったとします。

問1. 成虫で越冬しない種を1つ選びなさい。
1. ツヤアオカメムシ
2. ツノアオカメムシ
3. アオモンツノカメムシ
4. チャバネアオカメムシ

この問題の正解は……2. ツノアオカメムシです。
この時「ツノアオカメムシは成虫越冬しないカメムシで、幼虫越冬だ」とだけ覚えても良いですが……成虫越冬するカメムシを一緒に覚えられればより良いです。
(実際この「カメムシ成虫越冬するかどうか」は過去何度か出題されている典型的な問題です)
まあ、成虫越冬するカメムシを覚えるのは容易ではないのですが……(笑)
この問題の肝は「ツノアオカメムシ」という虫がイレギュラーであることを覚えているかどうかです。
日本には「アオカメムシ」と名のつくカメムシが4種ほどいます。
ミナミアオカメムシ、ツヤアオカメムシ、チャバネアオカメムシ、そしてツノアオカメムシ。
この中で成虫で越冬しないのはツノアオカメムシだけです。こいつが「アオカメムシ」シリーズの異端児なのです。
さらに、少なくとも末尾にツノカメムシとつく種(ツノカメムシ科)はほとんどが(全部か?)成虫越冬で、他(カメムシ科)は種によりけりです。
この辺りを抑えておけば、この問題の正答は簡単に導けます。
まあ私がこの問題を正答できるのは、知識として知っている以上にツノアオカメムシ成虫の採集経験が夏にしか無いからだし、ほか3種全ての成虫を冬季採集で出した経験もあるからですね。
この資格試験の勉強に置いて、実地経験に勝るものはありません
もう1つ例を挙げましょう。

問2. 小笠原諸島の固有種でないものを1つ選びなさい。
1. オガサワラセスジゲンゴロウ
2. シマアカネ
3. オガサワラヒゲヨトウ
4. シラフオガサワラナガタマムシ

この問題の正解は……3. オガサワラヒゲヨトウです。
小笠原に関連する問題は、(記憶の範囲では)見たことがありませんが、将来こんなのが出るかもしれません。
自然環境研究センターという組織は、こういう和名に騙される系とか異端児とかの問題を好みます。
「シマ」と名はつくが北海道外にもいる野鳥とか、蝦夷と江戸の勘違いの産物であるトウキョウトガリネズミとか、スズメガ科でないフクラスズメとか、シロチョウ科でないウスバシロチョウとか。
このように……出題のウラにある「この辺の知識を試しているな」という意図をくみ取って、対策をしていくのです。
これが基本の勉強法です。
これ以降は分野別に参考書を紹介します。

哺乳類:『増補改訂 日本の哺乳類』


21問目から始まる専門問題のトップに待ち構えるのは「哺乳類」カテゴリの問題です。例年10題前後の出題ですが、2024年は7題でした。(ただし最後の観察問題がコウモリでした)
私は哺乳類の参考書としては小宮輝之著『日本の哺乳類』(学研)を使いました。新しい図鑑に程よいのがなくて困ったんですよね……

日本の哺乳類 (フィールドベスト図鑑 Vol. 12)

陸上哺乳類を扱った図鑑は数多いが、本書は海生のクジラ、イルカ、トドなどまで網羅した、ポケット型では初めての図鑑。さらに、哺乳動物を観察したい愛好家のために、動物が残す痕跡から目的の動物を見つけ出す方法を詳しく解説した。

今思えば、山と渓谷社の『くらべてわかる哺乳類』でも良かったような気がします。
よく似た種を比較しながら覚えていく方が良いと思うので、こっちの方がオススメできるかも(より新しい図鑑だし)。

くらべてわかる哺乳類 (くらべてわかる図鑑)

日本の哺乳類全種の見分け方を紹介した待望の図鑑。クマ、キツネ、タヌキの仲間、モグラ、コウモリ、ネズミ・リスなど様々な生き物が含まれる「哺乳類」。
近年拡大を見せる外来種の情報も豊富に掲載しています。

鳥類:『鳥くんの比べて識別!野鳥図鑑』

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「哺乳類」カテゴリの後に待ち受けるのは「鳥類」のカテゴリ。2024年は12題の出題がありました。
勉強のために読み込むというよりは野外で見た種の識別のために買ったものですが、最新の分類体系に沿っていたためこれで十分でした。Kindle版をスマホに入れて使っています。

♪鳥くんの比べて識別!野鳥図鑑670 第4版

普通種から珍鳥まで、齢や性、夏羽・冬羽など羽衣のバリエーション写真を誌面いっぱいに詰め込んだ識別図鑑。
2019年刊行の第3版から300枚以上の写真を追加・差し替え。

両生類・爬虫類: 『野外観察のための日本産両生類(爬虫類)図鑑』


「鳥類」カテゴリの後は「両生類・爬虫類」カテゴリです。2024年は12題の出題がありました。
両生・爬虫類はこの試験のために以下の図鑑を買って、ほぼ1から勉強しました。

野外観察のための日本産両生類図鑑 第3版

最新の研究成果を反映し、日本に生息する両生類全100種を網羅した両生類図鑑の決定版。
体の特徴がわかりやすい切り抜き写真、生息地での生き生きとした姿をとらえた生態写真とともに
生物学的特徴や生息地の情報などを詳細に解説。

野外観察のための日本産爬虫類図鑑 第3版

最新の研究成果を反映し、日本に生息する爬虫類全110種を網羅した爬虫類図鑑の最新版。体の特徴がわかりやすい切り抜き写真、生息地での生き生きとした姿をとらえた生態写真とともに生物学的特徴や生息地の情報などを詳細に解説。

これらの図鑑には近縁種を分類・分布などと合わせて白バックで並べたページがあり、違いを比べながら覚える上で非常に役に立ちました。
2022年発売の比較的新しい図鑑ですが、発売後にもムカシツチガエルとかヒガシニホンアマガエルとか分類の動きがあったため最新の情報も合わせて集めるか、より新しい図鑑があればそれを買った方が良いでしょう。

魚類:『山溪ハンディ図鑑 日本の淡水魚』


「両生類・爬虫類」カテゴリの後に続くのは「魚類」カテゴリです。2024年は13題の出題がありました。淡水魚の図鑑があれば対応できます。

山溪ハンディ図鑑 日本の淡水魚 第4版

日本の淡水魚を網羅する基本図鑑の最新版!
淡水魚図鑑の決定版、『ハンディ図鑑 増補改訂 日本の淡水魚』がさらにバージョンアップして第4版に!

私は野外でも使えるようにとKindle版を買ってスマホに入れましたが、Kindle版のこの図鑑はとにかくページめくりが面倒なので勉強のためには紙版を買った方が良いです。
それとこの図鑑は1種1ページの解説が基本で、比較がやりづらいところがあります。
ちょっと情報過多な感じもあるため、『くらべてわかる淡水魚』の方が使いやすいかもしれません。

くらべてわかる 淡水魚

ひれの違いや体のカタチなど、見分けに役立つポイントが「くらべてわかる」!
釣りや採集で目にする機会の多い種を中心に、
日本の淡水魚約120種の見分け方を紹介した待望の図鑑。

昆虫類ほか:『日本の昆虫1900』


「魚類」カテゴリの後に待ち構える最後のカテゴリは「昆虫類+その他の節足動物」です。
2024年は昆虫類で15問、その他節足動物を絡めた問題で7問の計22問の出題がありました。かなり大きな割合です。
そして年によっては最後の観察問題にセミやトンボの問題が出るため、このカテゴリの対策が勝負を分けるといっても過言ではありません。
そしてそんな「昆虫類+節足動物」に対して私が使った参考書は……ありません!
必要なかったからです!!!
私の場合はもともとの知識と、ネットで調べた情報だけでこのカテゴリは太刀打ちできました。
では参考書としては何がよかったのか……少し考えてみました。
学研の図鑑LIVEは掲載種が多すぎるような気もするので……もう少し「よく出会う」種に絞った図鑑が良いと思います。
例えば、こちら↓

新 日本の昆虫1900(1)チョウ・バッタ・セミ (ポケット図鑑)

野外で“本当に出会える”昆虫、約1900種を掲載(1-2巻合計)。定評の白バック写真をより自然な姿勢のものに変更し、解説文の増強や部分図の追加などで識別をより意識した構成にパワーアップ。

新 日本の昆虫1900(2)トンボ・コウチュウ・ハチ (ポケット図鑑)

野外で“本当に出会える”昆虫、約1900種を掲載(1-2巻合計)。定評の白バック写真をより自然な姿勢のものに変更し、解説文の増強や部分図の追加などで識別をより意識した構成にパワーアップ。

野外で出会う種を見分けるための解説も豊富な印象を受けるので、オススメできます。
これと、ネット上で調べた情報があればほとんど戦えると思います。
問題は……膨大な情報をどこまで頭に入れられるか、ですね。

自分で参考資料を作るつもりで


あまり具体的な勉強方法が示せていないような気がしますが、役に立った図鑑類をご紹介しましたので、参考にしていただければと思います。
実際の試験対策は紹介したような図鑑類を読むだけ完結するものではなく、ネット上の情報を調べて補足情報をまとめたり、図鑑に追記したりしていくことになると思います。
それでも対応できない問題が出る場合もあります……そんなものは諦めましょう
100点を目指す試験ではないので、上手に対策して合格ラインへの到達を目指してください。
あ……ちなみに、採集記ブログや生き物系YouTuberの動画を見て勉強するのは要注意です。
情報の精度は人によりけり……けっこう間違いがあります。
間違いがあってもそれを見抜けないと、誤った知識を植え付けられることになります。
発信する情報が信頼できる方ももちろんいらっしゃいますが、そういう方は南西諸島や海外にばかり行っていたり、試験に出ないような変な環境の生き物に走ったりする傾向がありますので……(笑)
両爬と淡水魚なら「チャラリ-マン」が、鳥類は「野鳥撮影沼【とむチャンネル】」が私的にオススメです。
どちらのチャンネルも単に生き物を探すだけじゃなくてその生息環境や生態などのバックグラウンドを毎回丁寧に解説してくれる印象です。
ただ……情報収集はなるべく自力でやりましょう。
自分で調べ、近縁種との違いを見極め、生息環境を肌で感じながら覚えていく……それがきっとベストな勉強法です。
2025年の試験まで残り1カ月を切りました。
私も今年は昆虫1級の試験を受けるので、お互いに頑張りましょう!

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