近所のヒメハナバチを調べてみる ーヤナギの開花とともにー

ハチ目(膜翅目)
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ヒメハナバチとは? ~生態など~

ヒメハナバチとは、中型~小型のハナバチの仲間で「ヒメハナバチ科」に属するグループです。
日本からは2属85種ほどが知られており、春先に出現する種が多いことが特徴です。

アブラナの花を訪れるシロヤヨイヒメハナバチのオス

そんなヒメハナバチは他のハナバチと同様に各種の花を訪れますが、飛来する花は種ごとにある程度の傾向があり、中にはヤナギ類やウツギ類など特定の花にのみ訪花する種も知られています

ヒメハナバチの仲間はミツバチのような社会生活は送らず、単独生活を送ります。
巣は地中に穴を掘る形で作られます。交尾を終えたメスは、花から花へと飛び回り、花粉や花蜜を集めていきます。

花粉と花蜜が混ざった幼虫のエサを巣の中に貯蔵し、メスはそこに産卵を終えると巣にフタをしてその場を去っていきます。産まれた幼虫は親が残したエサを食べて成虫まで育つわけです。
これが単独性のハチの生活スタイルです。

真社会性のハチの例、モンスズメバチ

集団で幼虫の世話をしたり、女王バチのようなカーストが存在しないことなどが、単独性のハチの特徴です。実際のところ日本のハチの仲間は多くがこの単独性です

ヒメハナバチとコハナバチの違い

ヒメハナバチ科と雰囲気の似ているグループに、コハナバチ科があります。

ヒメハナバチとコハナバチ
ヒメハナバチ(左)とコハナバチ(右)

大きさや見た目はよく似ていて、慣れないと野外で見分けるのは困難です。
ヒメハナバチは個人的に、頭の形にけっこう特徴があるように感じます。

なお、この2分類群を見分けるだけであれば翅脈を見るのが確実です。

ヒメハナバチとコハナバチの違い
ヒメハナバチとコハナバチの違い

図で示すように、ヒメハナバチ科は前翅の中脈がほぼまっすぐですが、コハナバチ科では強く湾曲します。
ヒメハナバチかコハナバチで迷ったら翅脈を見るようにしましょう。
(ヒメハナバチでもコハナバチでもない場合もあることに注意)

ちなみにこの2科を見分けることにどういう意味があるのかというと……2科は同定の難易度が異なります(筆者の印象)。
日本のハナバチは『日本産ハナバチ類の同定の手引き』(渡辺・長瀬, 2022)を用いることで同定できる、はずですが……コハナバチは非常に難しいです。いつもLasioglossum属で止まってしまいます

それに対してヒメハナバチは、種までたどり着ける可能性がまだ高いのです。
コハナバチが同定できなくてもヒメハナバチは採って調べる甲斐がある……と思うのです。

ヒメハナバチの採集へ

そんなヒメハナバチの仲間に興味を持った2026年。
ヤナギの花にしか来ない種がいるから、それをぜひ探してみてほしい」とそそのかされたことがきっかけで……この春はヒメハナバチの採集に走りました。

以降はそんなご近所ヒメハナバチ調べのお話をまとめておきます。


2026.03.21

この日は晴れて気温も17℃くらいまで上がる予報だったため、ヒメハナバチ探しに出かけました。
午前10時頃に河川敷に到着し、まずは土手のアブラナ群落を覗いてみました。

堤防のアブラナ群落
土手のアブラナ群落

アブラナに訪れるヒメハナバチもいろいろといるようで、まずはそちらを見ておこうと思ったのです。が……

なんもいない

おそらく、10時時点ではまだ気温が低かったのでしょう(10℃くらいしかなかった)。
セイヨウミツバチも訪花しておらず、ホソヒラタアブなど一部のハナアブが活動していたのみでした。

ヤナギがある場所も見に行ってみました。
今日はまだ咲いていないかと思っていましたが、遠目に見ても新緑の黄緑色が見えたので……もしかしたらと思い。

ヤナギの若木
もう咲いて……咲いてるかこれ?
カワヤナギの雌株。花の時期は既に終わっていました。

まさかもう花が終わっているとは思いませんでした。
そんな中でも一応、明らかに花が咲いている株も見当たりました。

ヤナギの花
これもカワヤナギでしょうか……?

試しにスウィーピングしてみるとハエがそこそこ入ったので、ちゃんとアクティブな花のようですが……やはりハナバチの姿はありません。
少し離れた場所にある高木にもなんか新緑が見える……こっちはちゃんと花咲いてるのか?

シダレヤナギと思われる高木
シダレヤナギと思われる高木

遠くてよく分からなかったですが、スウィーピングするとおびただしい数のハエとナミテントウなどが入ってきたためこちらは今が最盛期のような印象でした。ハナバチいないけど

後日撮影した枝先。花をたくさんつけています。

もう少し気温が上がるまで待った方が良さそう、という事でしばらく近くでヤナギをすくったり別のポイントを探したりして時間を潰しました。

ゴマフヒゲナガ
ゴマフヒゲナガ

小さいながら美しいゴマフヒゲナガも発生しており、網に多く入ってきました。
ヤナギの花が咲く時期に現れ、花の周りを多くの個体が飛び交います。

少し場所を変えて、他のヤナギを探しました。

シダレヤナギ
花が咲いてるのかどうかは、すくってみなければ分からない

少し藪漕ぎが必要でしたが、きれいな新緑のシダレヤナギがあったのでこれをすくってみました。
時刻は11:30を過ぎ、気温も13℃くらいまで上がってきたところです。

ここでようやく……!

フクイヒメハナバチのメス
ハナバチの仲間が採れた

花はちゃんと咲いていたようで、ハナバチの仲間が2頭採れました。
見た感じどちらもヒメハナバチの仲間でよさそうな雰囲気です。

もちろん現地では同定できないので、どんなヒメハナバチに落ちるかは持ち帰ってのお楽しみです。

シダレヤナギから採れたヒメハナバチ

こちら同定したところ……フクイヒメハナバチ Andrena (Larandrena) ventralis Imhoff, 1832であることが分かりました。
本亜属Larandrenaはヤナギ類の花のみを訪花することが知られているグループでした!

つまりこれが今回探していたヤナギの花ならではのヒメハナバチだったのです。
いきなり目標のものが採れていたとは……!

やっとハナバチが動き出す時間になったということで、この後もヤナギの花すくいを続けました。

たぶん満開のシダレヤナギ

これは見るからに虫が集まっていそうなシダレヤナギですね。
この採集をやって初めて知ったのですが、ヤナギには雄株と雌株があり、違う形の花が咲くようですね。全体的に黄色っぽい木と緑色っぽい木があるような気がします。

シダレヤナギはけっこう大きな木なので、捕虫網も長めのものが必須でした。
この日は7m の網で来てしまったので下の方の枝しか届かず。11m で来ればよかったです。

写真をみるとうっすら状況が伝わると思いますが、そんなにすくいやすい場所に生えているヤナギばかりではないため、オギやノイバラの藪を突き進んでわずかな隙間から網を伸ばしてすくうようなシーンもありました……大変な採集でした(笑)

そんな苦労の甲斐もあり、ここでもヒメハナバチが採れました。

ここでは3頭のヒメハナバチが採れた

大きめの2頭は先ほども採れたフクイヒメハナバチのメスで、小さめの1頭は同種のオス……と思いましたが別種でした
小さめの個体はツヤマメヒメハナバチ Andrena (Micrandrena) sublevigata Hirashima, 1966という種で、7mm に満たない小型のグループに属します。本種はヤナギ特化型ではなく草本から木本までさまざまな花を利用する種のようです。

最初のシダレヤナギポイントまで戻ってきた

今日最初にすくいに来たシダレヤナギがなんやかんやアクセスも良く、届く枝も多くて一番いいポイントでした。
10時過ぎにすくった時はハナバチの影もありませんでしたが……気温が上がった今なら!

写真は無いですが、今度はちゃんとヒメハナバチが採れました。
さっきまでのと同じ見た目のヒメハナバチがポツポツ採れます。いくつか持って帰って調べましたがやはりすべてフクイヒメハナバチのメスでした。

これだけメスが採れるのに、オスが1頭も採れないのが不思議だ……と思っていたら

ふと足元をみると、なんか飛んでるんですよね

足元にはこれといって花は咲いていませんが、飛んでいるハチがちょこちょこ目についたので捕獲してみると……

やっぱりヒメハナバチだ!

ヒメハナバチのオスでした。しかもこれと同じものが何頭も飛び回っていました。
なおオスのハチは毒針を持たないため、このように素手でつかむこともできます。ヒメハナバチのオスは触角も長くて分かりやすいため、安心して触れますね。

フクイヒメハナバチのオス2頭とメス2頭
フクイヒメハナバチのオス2頭とメス2頭

ここで採れたオスはすべてフクイヒメハナバチでした。本種はオスの頭盾が黄白色です。
高所の花からはメスだけが採れ、木の下の地際でオスだけが採れる……活動場所がしっかり分かれているのには何か意味があるのでしょうか?

ヤナギの若木
最初に空振ったヤナギにもリベンジを申し込む

こちらからもやはりフクイヒメハナバチのメスが採れました。
ただしここはそれだけに終わらず、もう1種ヒメハナバチのオスがいくつか採れました。

ヒメハナバチ亜属のオス
Andrena亜属のオス

これは種まで同定できませんでした。
大あごは細長い鎌状で、基部に三角形の歯があることからヒメハナバチ亜属Andrenaだと思います。

この亜属にもヤナギに来るものがいくつかいるので、これだろういうものにたどり着けず……

ヤナギの花スウィーピングは今日はこんなもんかなというところで、最後にアブラナを見て帰ることにしました。

ほどよくアブラナが生えている土手へ

この辺りで30分ほど歩き回りながらヒメハナバチを採集しました。
時刻はもう14時を回っており、セイヨウミツバチもたくさん訪花していました。

3種くらい混じってそうという体感

結果、そこそこの数のヒメハナバチが採れました。
胸が茶色っぽいものはさっきヤナギで採ったものと同じヒメハナバチ亜属のオスみたいです。
白っぽいのもいて、それは別種でした。

シロヤヨイヒメハナバチ
シロヤヨイヒメハナバチ

白っぽく見えたのはシロヤヨイヒメハナバチ Andrena (Euandrena) luridiloma Strand, 1915でした。これはヤナギからは採れなかったヒメハナバチで、アブラナのほかウメなどの花に来る種のようです。

シロヤヨイと不明ヒメハナバチ亜属の他に、明らかに大型のヒメハナバチが採れていました。これも別種ですね……!

ササキヒメハナバチの背面
ササキヒメハナバチ、と思ったが違いそうです
ササキヒメハナバチの腹面
腹部腹面は一部明色

体長は10mm を超える、大型のこちらは……ササキヒメハナバチかと思いましたがイマイチしっくり来ていません。別種の予感がします。

アブラナから採れたヒメハナバチ
アブラナから採れたヒメハナバチ3種(?、?、シロヤヨイ)

ということでアブラナからは3種のヒメハナバチを採集できました。
不思議なことにメスは1頭も採れませんでした。やはり雌雄で活動場所が違っている?

ヒメハナバチは顕微鏡下で同定しなければならないほど似た種が多いグループですが、案外大きさや毛の色で「雰囲気が違う」個体を持ち帰れば種のダブりを少なく出来そうな気はしました。現地での「これ同じ種かも」という直感はほぼ当たっていました。

今日の成果

第1回ヒメハナバチ採集としてはここまでで、計5種のヒメハナバチを得ることができました。
平地の(に限らずですが)ヒメハナバチ採集はまともにやったことなかったのですが……狙う花や時期を変えればばもっといろいろな種類が採れそうな気がしますね!

持って帰ったヒメハナバチを調べて、これだ!ってちゃんと分かるのも楽しいです。
翌日も気温が高かったので、別のヤナギポイントに行ってみました(今度はお昼前から)。


2026.03.22

前日とは別の河川敷のヤナギポイントに来ました。
薄曇りですが気温は高いので、ハナバチも動いていそうです。

COOLPIX P950を持って来ればちゃんと花の写真撮れるんだけどな(忘れた)

どうやらこのポイントも株により花が咲いている状態のようです。
写真の木が一番まともに咲いていそうでした。

ヤナギは花だけでも同定できるみたいなのだが……

ヤナギハンドブック』を買って同定を少し試みたのですが、写真だけだと初心者には難しかったです。サンプリングしてしっかり調べてみようかな。

この木のスウィーピングではヒメハナバチも少ないながら採れました。
フクイヒメハナバチではなさそうな印象です。

採れたのはすべてオス
7mm 以下で小さい、つまり……

新しいヒメハナバチかと思いましたが、これは前日も得ているツヤマメヒメハナバチのオスでした。同じように見えるヤナギの花でも、場所や種を変えると採れやすいヒメハナバチが変わるものなのかもしれませんね。

このポイントではこれだけしか採れなかったので、移動……。
道中、アブラナが多い場所があったので立ち寄ったところシロヤヨイヒメハナバチが採れました。
(この辺りで、シロヤヨイヒメハナバチがアブラナの常連枠であることに気づき始める)

もう一つのヤナギポイントへ。

花が早めに出るタイプの種みたい(カワヤナギかも?)
終わりかけかも、というくらい咲いている

ここにも1本だけしっかり花が咲いているヤナギがありました。
ただ、ヤナギの木は枝の伸び型的にスウィーピングするのが難しいですよね。

いえ、何もスウィーピングしなくてもいいのです。
待っていれば勝手に飛んできてくれるのですから……

待ち構え戦法もアリ!

木が大きくない場合は、花に飛んでくるヒメハナバチを目視で確認してネットインすることも可能です。
実際、ここではその戦法で次々に飛んでくるヒメハナバチを採集することができました。

ぜんぶツヤマメヒメハナバチでした

まあ、採れたのは既採集のツヤマメヒメハナバチのみでしたが……
この木からはまだ採れていなかったメスも複数得ることができました。本種は雌雄そろって同じ時期に同じ花に来るタイプのヒメハナバチなのですね。

紫の花はショカツサイ

林縁にはショカツサイも咲いていたので、この花も見ていくことにしました。
ズマルツヤコハナバチなどコハナバチが来ていた中に、ヒメハナバチの姿もありました。
これは新しいヒメハナバチですね……!

一見するとよくあるヒメハナバチの姿ですが

ここで採れたのはミツクリフシダカヒメハナバチでした。
ちょっと同定に迷いかけましたが、本種の特徴がしっかり捉えられたのでなんとかなりました。

本種はお腹が”フシダカ”状になっている

本種は名前の通り、腹部が段々状に盛り上がる「フシダカ」の特徴を持っています。
この個体は図鑑の写真と比べると発達がかなり弱い気がしますが、それでも特徴は出ていますね。

ここではこの1頭のみでしたが、この後もショカツサイやアブラナを見ていきました。

もうナミアゲハが飛んでいました

アブラナが生えるこんな環境ではやはりシロヤヨイヒメハナバチが見られました。
もうそろそろ野外で見ても「これどうせシロヤヨイだろうな」という感想を抱くようになりましたが……違う種の可能性も考慮して、場所ごとに一応少しだけ採集するように心がけています。

それにしても、アブラナで見つかるのは全てオスで、メスのヒメハナバチが全然いませんね。
時期とかの問題もあるのかな?

広大なアブラナ群落

最後に広いアブラナ群落を見ていきました。
ここにはもはやシロヤヨイヒメハナバチすらおらず、何の成果もありませんでした。

なんとなく感じていたのですが、ヒメハナバチは近くに樹林がある場所の方が豊富なような気がしました。彼らの営巣地は地面(裸地)なので、樹林の存在はそんなに関係なさそうにも思えますが……何となく林縁を選ぶといろいろ採れる印象を受けています。

最後のアブラナ群落では、ヒメハナバチの代わりにマルクビツチハンミョウに出会えた

という感じで、第2回ヒメハナバチ採集では2種のヒメハナバチを採集できました。
たぶんヤナギの最盛期はまだだと思うので、また時間を置いて探しに来てみようと思います。

まだ、探しているあのヒメハナバチが採れてないですからね……!


2026.03.28

サクラにはヒメハナバチの姿はなかった

桜も咲いて、本格的な春を迎えました。
ヒメハナバチ探しもそろそろ終盤かな? というところで、目標としているヤスマツヒメハナバチをピンポイントで狙いに行きます。

ヤスマツヒメハナバチは8-10mm くらいの中大型種で、メスの腹部には黄色い模様があり美しい種です。アブラナやヤナギの花に来るとされています。
どうやら河川敷の砂地環境でよく得られるようなので、近所でも砂地が多いエリアを目指しました。

(道中いつものシダレヤナギをすくいに行ったが、時間帯が早く何も採れなかった)

新緑を目印に藪の中を進む

目的地の砂地エリア周辺にも一応ヤナギは生えていましたが、花が終わっているカワヤナギばかり。
カワヤナギの花をすくいたかったら3月上中旬頃に来なければならないのかな……

緑色のヤナギの中に、ちょっと黄色っぽく見えるものも生えていて……それが今の時期に満開を迎えているタチヤナギであることが多かったです。

タチヤナギ
今回の採集ではこのタチヤナギに助けられました
タチヤナギの花
本数が限られている分、一カ所に虫が集まっている感じです

タチヤナギは低い木なのでじっと眺めていると、時折ハナバチが来ているのが見つかりました。
ただ、見つかるのは小型のコハナバチばかりでした。現地では正直ヒメハナバチと区別がつかないので採って帰るのですが、持ち帰っても同定はできない……

川岸のヤナギ群落

しばらく歩くと、川岸にまとまってヤナギが生えている場所にたどり着きました。
カワヤナギとタチヤナギが混じって生えていて、3割くらいは花の咲いたタチヤナギでした。

ここでは網を使って花すくいを行い、ヒメハナバチをいくつか採集できました。
低い木は目視採集の方が良いかと思っていたのですが、意外とスウィーピングの方が効率が良さそうです。

ひとすくいで3種ほどのヒメハナバチが入ることも

タチヤナギからもフクイヒメハナバチのメス(ヤナギ特化型)が採れましたが、これが優占するという訳ではなく、いろいろなヒメハナバチがバランスよく採れる印象でした。

中には初見のヒメハナバチもいました!

ヤマトヒメハナバチのオス
ヤマトヒメハナバチのオス

ヤマトヒメハナバチ Andrena (Simandrena) yamato Tadauchi & Hirashima, 1983はアブラナによく来るヒメハナバチのようですが、今回はタチヤナギでした。ナカヒラアシヒメハナバチと似ていますが腹部腹板(S8)の形で識別可能です。しっかり確認しました。

初見のヒメハナバチはもう1種!

チビヒメハナバチのオス
チビヒメハナバチのオス

頭盾が黄色く、前翅の亜縁室が2つ……この特徴はヤスマツヒメハナバチの!
とぬか喜びさせられましたが、明らかに雰囲気が違うこちらは……チビヒメハナバチ Panurginus crawfordi Cockerell, 1914です。

日本産ヒメハナバチは2つの属に分かれます。
これまで紹介してきたヒメハナバチは全てヒメハナバチ属Andrenaでしたが、チビヒメハナバチは日本産種で唯一の別属、チビヒメハナバチ属Panurginusに属します。

両属は縁室先端の形を見て見分けます。

ヒメハナバチ属とチビヒメハナバチ属の違い
ヒメハナバチ属とチビヒメハナバチ属の違い

タチヤナギから1頭だけ採れていました。
チビという名前ではありますが、マメヒメハナバチの仲間より少し大きい個体もいるくらいで、そんなに小型の印象は受けませんでした。

残りのヒメハナバチは見たことのある種類でした。
フクイヒメハナバチのメス、ツヤマメヒメハナバチ……それと、

大型のヒメハナバチ

先日はアブラナから採れた大きいヒメハナバチが、今回タチヤナギからも採れました。
同定に再チャレンジしたものの……やっぱりササキヒメハナバチに落ちてしまいそうで、よく分からず。頭盾の雰囲気が図鑑のササキとは全然違うんですよね……難しいです。

タチヤナギの花に来た……これはコハナバチかも

そんな感じで、目標のヤスマツヒメハナバチには出会えませんでしたが……新しいヒメハナバチを2種得ることができました。
ご近所のヤナギすくいはそろそろ限界を感じますね。場所か、時期か、花か、、何かを変えなければ新しい種には出会えなさそうです。

それでも3回の採集でフクイ、シロヤヨイ、ツヤマメ、ミツクリフシダカ、ヤマト、チビ、不明種2つと計8種に出会えたので、ほぼ初めてのヒメハナバチ探しとしては十分かなと思います。

来年はカワヤナギの開花期に合わせて河川敷を訪れたいですね。
そうすれば花いっぱいでより楽しめそうな気がします。

ヒメハナバチの誘惑

実際にいろいろな花からヒメハナバチを採集して同定して、種が分かる喜びに触れるにつれて……ヒメハナバチの魅力に引き込まれていきますね。
ハナバチを調べる資料としては『日本産ハナバチ類の同定の手引き』(渡辺・長瀬, 2022)がありますし、日本産ハナバチ図鑑も2026年4月に第2版が出ます。

調べるための資料は充実しているので手を出しやすいグループですし、送粉者ということで調べる重要性も高いです。ヒメハナバチ以外にも魅力的なグループは多いので、是非身近なハナバチを調べてみてください。

今回はまず、ご近所の河川敷で重点的にヒメハナバチを採集しましたが、環境が違う遠くの河川敷でもやってみたくなりました。
ということでやりました↓

また、山地の方に行くと採れるメンツもがらりと変わってくるので……余力があれば山の方でもヒメハナバチを調べてみたいです(ミカドヒメハナバチのメスとか見てみたい)。

ヒメハナバチの標本作り
採集したヒメハナバチたちはしっかり標本にします

3月中下旬くらいだと低地もまだ樹木の葉がほぼ出ていなくて、フチグロトゲエダシャクが終わってしまうとわりと暇な時期ですが……この時期にハナバチ探しというやることができたのは大きいですね。

おかげさまで土日フル出動で採集に励んでいます。
仕事も去年より忙しそうな今シーズン、私の体はついてこれるでしょうか……?


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